タロット柊

考えること、感じることの記録

20日(水)カップのナイト(逆)「思い出」

2019-03-20 23:20:18 | タロット2019・3月

もうすぐ、新しい季節がくる。

新しい職場、新しい住所、新しい制服や新しい出会い。

別れの季節が過ぎ、湧き上がるような始まりの季節。まさにスプリングだ。

 

スプリングは、春や泉、跳ねるという意味があるが、

泉を手にしたカップのナイトは逆位置で、馬も跳ねる様子はない。

彼には、春がやってこないのだろうか。

 

ずっとずっと前、桜吹雪は、まさにこういうことだな、という経験をしたことがあった。

私にも恋する季節はあって、桜吹雪は、失恋と同時にやってきた。

出会いの季節に別れが訪れて、桜吹雪は、それを全部、巻き上げていった。

今思うと、ほんとに漫画みたいにドラマチックなことってあるんだぁ、なんて思うけど、

そのときは、悲しいやら、土埃が目に入るやらで、涙が止まらなかった。

 

それから幾年月。

今や、カップのナイトを見ても、白馬の王子様などとは思わない。

結局、ナルシストなのよ。繊細なふりして、ほんとは、嫌なことしたくないだけでしょ、なんて

物事を常に斜めから見る癖が。

だけど、今日は、突然あの桜吹雪の日を思い出し、

逆位置のカップのナイトをじっと見つめる。

 

あの日、学校の裏庭で、古い、大きな桜の木の前。

随分年を取ったその桜の木は満開で、黒い幹と白い花びらが美しかった。

風が本当に強くて、ずっとスカートを押さえていたっけ。

 

じっと思い出しても、もう、あのときのように、美しい気持ちは湧き上がらない。

逆位置のカップのナイトは私自身。

自分に自信はなくても、好きな気持ちを伝えずにはいられない、

湧き上がる泉のようにきらきらして、透明で、繊細だった私の心。

いつの間に、こんなに鈍くなったのかしら。

 

何かに夢中になって、心を揺らして、

花びらや風と呼応するように咲いたり、舞ったり。

あの桜の木ように、うんと年をとっても、美しい、白い花を咲かせる心。

もう一度、あのときのように思いを胸に刻みたいと思うけれど、

なぜだろう、刻めるほど、もう柔らかくないんだよね。

 

なんで、こんなこと、思い出させたんだろうね、タロットよ。



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