津軽ジョンがる電源日記

『KOJO TECHNOLOGY』 電源メーカースタッフ日記

ショットキーバリアダイオード

2008-06-05 19:27:07 | テクノロジー

こんばんは、ジョンがる隊長です。

今日は先日のブログで説明した「オーディオ機材の入力段」の番外編にあった、ショットキーバリアダイオードのお話だ。(>_<)

ショットキーバリアダイオードは、一般の整流ダイオード(シリコン系のダイオード)に比較し、オン電圧(ダイオード導通時のドロップ電圧:フォワード電圧/順方向電圧とも言う)が非常に小さく、さらに高速スイッチングに優れている。

一方でショットキーバリアダイオードは、耐圧(逆方向に電圧が印加されたときの破壊耐量)を高くすることが構造上難しいとされ、同時に漏れ電流(逆電圧印加時に逆方向に流れる電流)が大きい難点があった。現在も日夜研究が行われ、改善の一途を辿っている。

オーディオ機器内の入力電源部は、先日のブログでも話したように、AC100Vから機器内で必要とされる電圧(数十V)に降圧し、ダイオードを使った整流回路によって電解コンデンサで(直流に)平滑される前処理が行われる。

このとき、ダイオードには交流の0Vをクロスするタイミング毎に逆電圧が印加されるが、ダイオードはこれまで導通(オン)状態にあったものに、急激に反対方向に電圧が印加されると、一瞬だけ逆方向にショート(短絡)電流が流れ、ノイズを発生することがわかっている。

逆を言うと、ここに高速なダイオード、専門的にはリカバリー(逆回復)時間の速いダイオードを使うことで、ノイズを低く抑えることができるのである。

つまり、オーディオ機器内の電源(整流)部にショットキーバリアダイオードを使うことは、損失を抑えることができるとともに、ノイズも低減できることを意味し、少し凝ったオーディオ機材には多用されている。半導体メーカもオーディオ向けとして製造しているショットキーも少なくない。

うーん、本来なら絵や波形(写真)も交えて話したいところなんだけど、隊長にも準備するのに限界あり・・・ごめんなさい。

わからなかったり、もっと知りたいって方がいらっしゃいましたら、コメントなりお問合せください。

※7月展示会出るぞーーーーー。(東京)(>_<)


オーディオ機材の入力段

2008-05-26 18:33:12 | テクノロジー

こんばんは、ジョンがる隊長です。

今日は少しだけ学術的?に・・・

ご存知の方も多いと思いますが、オーディオ機材(代表的なのはアンプかな?)の入力は、商用電源からAC100V(とりあえず国内仕様ということで)が供給されます。

AC100V(交流)は大型のトランスを介在して、トランス2次側の電圧は、後段の増幅回路やコントロール回路が、動作・機能できるような電圧まで減圧(降圧)されます。(この時点ではまだ交流です)

低い電圧になった交流電圧は、整流ダイオード(交流を直流化するために波形の流れを整える部品)を経由し、平滑用のコンデンサに供給されます。

コンデンサは、波状の波形を平均化(平滑化)する働きがあり、ここで初めて直流電圧となるわけです。この構成のことを「コンデンサインプット型」と言います。

大型のアンプや電源をしっかりさせようと、各メーカさんが「電源部を強化しました」などの話をしますが、これは前述のトランスの場合、サイズ(容量)を大きくしたり、高効率のトロイダル系コアを使用したりします。

同様にコンデンサも大容量化が行われたりします。

上記の場合、総じて電源を強化するということは、トランスにしろコンデンサにしろ大容量化にあるようですね。

では何故 大容量化が強化したことになるのでしょう?

■まずトランスについて

トランスは、その容量が大きくなることでコア材(断面積)が大きくなり、少ない巻数で大きな電力伝達が可能になります。巻数が少ないということは、=(イコール)トランス内部の抵抗(インピーダンス)が低く抑えられることを意味し、電圧降下が抑制されます。要するにロスが減るって言うことです。

■次にコンデンサ、

細かなことを言い出すと、どんどん深みにはまって行きそうなので、さらっと!

コンデンサの容量を大きくした場合、平滑化された直流電圧の安定性が向上し、急な負荷変動(アンプの場合、SPに大電流が供給されたとき)に対してもびくともしないようになります。それだけ余裕を持つということになります。

■番外編

また、少し凝ったアンプになると、整流ダイオードにショトキーダイオードを使うなどして、ノイズ面での対策も行ったりします。(ショットキーダイオードについては別なところで)

更に、アンプ内のコントロール系と増幅系を完全分離するために、それぞれの回路対しトランスを搭載させたりすることもあります。

クリーン電源メーカに限らないオーディオ機器メーカさんでも、これだけ電源部分に気を使っているんだから、電源の大切さが解かりますよね!

昨日もお伝えしましたが、明日から東京出張です。留守にしますので、しばらくはデブッチョ頼んだぞぉーーー!