津軽ジョンがる電源日記

『KOJO TECHNOLOGY』 電源メーカースタッフ日記

Crystalシリーズ_その7

2020-12-24 08:19:59 | Crystal(電源タップ)
こんにちは、ジョンがる隊長です(>_<)
今回はCrystal 3P(連結機能)のお話(裏話)!エピソードを交えてご紹介しよう。

Crystal 3Pは旧(電源タップ)シリーズ:Force bar3Pの後継機種として誕生。
先に製品販売化が行われたCrystal 3.1/6.1の後続モデルだ。
同製品はCrystal 3.1の出力コンセントが3P×3口+2P×1口に対し、2Pコンセント部分が連結コンセントに変更されており、他のCrystalシリーズとの連結(Force barシリーズとの連結も可能)が可能になっている。
価格は21,000円となっており、旧モデルのForce bar3Pの17,400円(共に税別)に比較し、少し高くなっている。
<Crystal 3P詳細はこちら👇>
http://kojo-seiko.co.jp/products/crystal3p.html

他のCrystalシリーズもそうではあるが、ここ最近の金属高騰により、本音としては(価格)据え置きとしたかったのだが、あの手この手はつくしたもののどうにもできなかった。(。-人-。) ゴメンネ
ただ、今回のCrystal 3P含め、コストアップ以上のパフォーマンスアップができたことは先に伝えておこう。

先達てCrystal 3Pの購入したユーザから興奮気味の声で電話があった。
「KOJOのタップではForce bar3Pを使っていたけど、新しいのが出たってことで購入した。」「なんですかコレ!?、以前のモデルも満足はしていたのにちょっと良くなりすぎですよコレ!1グレードどころか2グレードは上がってますよコレ!」
なんとも嬉しいお言葉。隊長:「待ってましたそのお言葉!ありがとうございます。」「本当に嬉しいです\(^o^)/」
やっぱりこういう言葉をいただくと苦労した甲斐があったと、次の苦労にも立ち向かえるのです・・・(笑)

さてそれではCrystalシリーズの中にあって、Crystal 3Pの最大の特徴であるユニーク極まりない連結機能の誕生秘話について話そう。

1.そして連結合体)は誕生した!
話しは相当遡る(10年くらい前かなぁ~)ことになるのだが、そのころからKOJOでも「電源タップ出したいよねぇ」、「でも今更だよねぇ」、「でも何かしたいよねぇ」という会話が幾度となく繰り返されていた。
だってオヤイデさんやフルテックさんなどのそうそうたる先駆者たちがいて、コンセントもホスピタルグレードからオーディオグレード、内部線材、メッキ処理やクライオ処理、機構素材やその加工方法などが出尽くした感じで、もうこれ以上やれることないでしょうと言った具合だったからだ。
でもねぇ~、だってねぇ~の連発だった。今考えるとめっちゃマイナス思考。ボヤキの連続だ。

あきらめきれない隊長は、ず~~~~~~と悶々としていたものの各メーカさんから販売されている電源タップの値付けが結構高いところにある(設定されている)のだけは気になっていた。

もっと手にしやすい価格だったら、オーディオファイルの裾野も拡がるだろうになぁ~!

月日は流れ、あるとき弊社が電源周りのアクセサリを手掛けているということから、あるメーカさんからオファーがあった。
その会社はプロビデンスというエフェクターやエフェクターボード関連等をメイン手掛けている会社なのだが、実はこの会社、ボルトアンペア(宮寺昭夫代表取締役)さんからの紹介で繋がった経緯がある。
宮寺代表には大感謝である。

当時プロビデンスには林幸宏(記憶では副社長)さんという方が担当窓口となり、弊社との取引契約が結ばれたのち、同社の製品づくりの協力をさせていただいた。
現在、林氏は独立をされており、フリーザトーンという会社を起業。代表を務められているが、フリーザトーンもまたプロビデンス同様エフェクタやエフェクタボード、ペダルボードなどを手掛け、プロアマ問わずギターリストやベーシストにとってあこがれのブランドを確立。同ブランドの製品を通じて超ビッグな国内外アーティスト等のツアー支援やバックアップを行っている。
超ビッグと言えば、布袋寅泰氏、ルナシー他、ギタリストやベーシストであればだれもが知っているであろうアーティスト達のシステムフォローアップなども手掛けている。
このような経緯もあり、フリーザトーンの製品も協力するようになった。

フリーザトーンのコスト管理は徹底されており、如何にして生産コストを低減させるか、しかもそれは国内生産であることという拘りを持って行われていた。
新規取引先と製品づくりの協力させていただいたとは言え、我々にとって非常にハードルが高く困難極まりない茨の道だった。
「もういいでしょう。この辺で勘弁してください。」と言いたくなることも間々あった。(言ったこともあったかも知れない・・・(笑))
それでも林代表はあきらめなかった!次から次へとアイディアを創出。ならばこうやったらどうだ。こうやればうまく解決するのでは!と隅々まで関与してモノづくりに徹底していた。

しごかれたお陰で我々は鍛えられた。
※林代表は私と同じ申年、同い年(笑)だが、めっちゃリスペクトしている。
業界は微妙に違えど時折り連絡を取って互いに情報交換をさせていただいている仲だ!(と思っているのは隊長だけか・・・)

やっとの思いで作り上げられた製品はこれまた格別だ。出来上がった製品に対する思い入れが違うのである。協力させていただいた我々以上に、林代表をはじめとするフリーザトーンのスタッフ達もまた鼻息は荒くなっただろう!これは売れる!いや売る!
と言った意気込みが生まれたことに違いない。

フリーザトーン:林代表の話が先行してしまったが、このコストに対する意識、捉え方が、如何に工夫すればコストダウンが図れるか!これが結局、先の「各メーカさんから販売されている電源タップの値付けが結構高いところにある(設定されている)のが気になっていた。」にリンクするのである。

オーディオファイルの裾野を拡げよう!
視野を広く持て!

隊長はこのタイミングでこのノウハウを活用すれば、後発である我々も先駆者達に太刀打ちできるのではと考えた。やるからには負けたくない(>_<)
※まるでライバル視しているように見えるかも知れないが、隊長の根底にそれはない。一人勝ちなど出来ようもなく、我々が次の一手を打ったなら別の一手を他が打って欲しいと願っている。それでなくともパイの小さい市場だ!お客を奪い合うのではなく、新たに創出して願わくば市場が成長する方向に仕向けたいのだ。

まぁまぁ、隊長の意気込みはこの程度にして、
最初に手掛けたのがForce bar3.1(現Crystal 3.1)だった。この製品の開発にあってはやはりフリーザトーンでのモノづくりが大いに役立ったし利用もした。

素材がダメなら構造で勝負だ!

まず最初に考えたのが部品(材料)、素材だ!
世の中涎が出るほど使ってみたい材料、素材はあるが、コスト下げるためには特殊ものはダメだ。高額につながるメッキ処理や加工処理もダメだめ!もっと一般的な素材を使わなければコストダウンは無理だ。
一般的な機構素材・・・やはり鉄、アルミかぁ!ありきたりだなぁ💦言うてもステンかぁ、つまらないなぁ。何か別に面白いことできないかなぁ~!
オーディオシステムを組む上でユーザが神経を使うところはどんなところがあったっけぇ?
あっ、そう言えばタップって国内事情(オーディオルーム)を考えると、結構隅っこに追いやられてるよなぁ、システムの裏とかに置くもんなぁ(自分だってそうだし・・・)
他メーカさんのタップは結構ごついなぁ、デカイなぁ、一般ユーザの住宅事情を考えると巾とるだろうなぁ!

あっ、あと振動対策だ!ラックにボードにインシュレータ、制振材、色々あったわ~。みんな苦労してやってるもんなぁ。

という具合にあれこれ考えめぐらし、振動対策をタップの中に取り入れてしまえ、形状(サイズ)もコンパクトでスリムが良いな!\(^o^)/
使い勝手ももっともっと考えよう。安く仕上げるためのシンプル且つ革新的な構造で、材料は一般的なもの、決して高価になるメッキ処理や加工方法は使っちゃならん!
でも振動対策はどうな風にすれば実現できるだろうか・・・う~ん・・・また悩む・・・💦
ん、鉄、アルミ、異金属の組み合わせ?共振点違う・・・!ん、フリーザトーンさんでやった構造って・・・、ん、ん、んんんんん 合点!
画して現在Crystalシリーズ(旧Force barシリーズ含む)に採用しているM.I.S.構造が誕生している!( ´∀` )

ここには一般材料として広く使われる鉄、アルミの異金属を組み合わせ、素材自体の固有振動(共振点)をずらしつつ、機構上の観点(M.I.S.構造)から振動対策を行うことに成功した。コストダウンの第一歩につながったのだ。
しかもただのコストダウンではない、振動対策を行いつつだ!同時にパフォーマンスを上げることにも成功。後にForce bar6.1も製品化している。

何だか冒頭のタイトルとは違う話が長くなった。💦

もうひとひねり・・・

ようやっと連結コンセントについての話になるのだが、幸先よくスタートしたForce bar3.1/6.1、隊長としては販売数拡大を狙いたい!我々には他に出来ることはないのだろうか?なんかこうもっと楽しくなる、楽しめるようなアイテムはつくれないものだろうか?
Force bar3.1/6.1とて、構造的に工夫したとは言え、いうなれば普通ぅ~のタップ!コストパフォーマンスは良かれ、パッと見 他と何が違うの?(う~ん、見ただけじゃそうそうわかんないなぁ、使ってみればその利便性や性能、うまく考えられてんなぁってわかってもらえるんだろうけど・・・)
コストを下げ、機構的に考えられた構造は勿論上手くいったと思っているのだが、何かもうひとひねりインパクトが欲しい。市場にを与えるもう一工夫!
「何かないか!なんかないか!ねぇお母さん!」「味好みあったでしょう!」
焦るw-----。

そう言えばここにあったじゃん

そんな日が何日も続くわけだが、ある日家族みんなで買い物に出かけた。
行った先が「無印良品」!隊長も好きなお店のひとつ。
店内に入ってトラベルコーナーを見ていたら、そのちょっと脇にあった電源タップが目についた!
その瞬間、体が一気に熱くなって大興奮、熱くなったのに鳥肌が立った「あっ」そうだったここだった!そうそうそう、ここだよここ!
そう言えば以前もここでこれ見てたんだっけぇ\(^o^)/

実はタップの連結については隊長の頭の隅に以前入れていたことを思い出したのだ。いや~引き出しに入れっぱなしで、どこにしまってたか忘れてたぁ~💦
ただ、前にそんなことを思いついた時には、使えそうな連結コンセントが世の中に存在していなかったのだ。で引き出しにしまっておいてたのだ。
あれから数年!もしかしたらもう世の中に出てるかも・・・
早速ネット検索!
あるぅーーーーー!ある、あるぅw\(^o^)/\(^o^)/\(^o^)/
「お母さん!味好みあったよォ~(T_T)」

ここまでくればもう隊長の頭の中にはForce bar3P(Crystal 3P)が出来上がっていた。いけるぞ、いけるぞ いけるぞ いけるぞ〰!(って半沢直樹みたいに)詫びろぉ!詫びろ詫びろ詫びろぉォーーーーて具合に(>_<)

Force barシリーズ含め、同シリーズのコンセプトを踏襲するCrystalシリーズには、上記以外にも使い勝手を考慮したユーザフレンドリな機能や音質的に考慮されたものが満載だ。
<Crystal(Force bar)シリーズの特徴>
・近年多用されるようになったアダプタ対応
主流となっているオーディオグレードコンセントは2連式のものが大多数。アダプタをつけると隣のコンセントを塞いでしまうやつ!
故に、使用するコンセントは向きを90度回転させ1口単位にし、適度な距離感を持って配置。


・独創的なM.I.S.構造をより効果的に
独創的なM.I.S.構造を更に効果的にするため、大型のコンセントプラグやインレットプラグが挿入されてもボディに干渉しない距離感。


・表皮化効果を積極的に利用
電源ラインに含まれる高周波ノイズを表皮効果を逆手に取り積極利用し、単芯線材を採用することで高周波ノイズの入り込みを抑制、除去。


・M.I.S.構造にプラスαの効果
M.I.S.構造にプラスαの効果をもたらす、TAOC製制振シートの採用。これに加え筐体厚、重量配分(重心ポイントを低くする)を配慮。(Crystalシリーズ)
また、サブシャーシとTOPカバーの唯一接点となる宙吊り機構部分に、超低周波から超音波領域まで減衰可能な制振合金:M2052を採用するなど徹底して行われた。



2.合体によるシリーズ拡張
合体大好き隊長!(笑)
いろんな意味で合体が大好きな隊長は、製品化を検討する際の切り口として、もしかしたら卑猥な想像から始まっているのかも知れない・・・💦
ただ、根っこは何であれ、周りに迷惑をかけない状態でユーザに喜んでもらえるならええではないか。と勝手に思っている。m(__)m
どうせ妄想しかできないのだから・・・(笑)

このシリーズ合体は、ある程度の先までは読んでいたが、ここまで多品種(旧Force barシリーズ:10機種/Crystalシリーズ:7機種たぶん更に増える!)になるとは想像していなかった。考えるうちに、あ~合体できるってことは・・・、あんなこともこんなこともできる!あっ、これもできる!と次々と神が降りてきた( ´∀` )

Force bar3Pが考案されたときはこうだった。
Force bar3.1を製品化して次に6.1。こうしたところ、「えーーーーーーっ!、Force bar6.1が出る(発売される)んだったら、3.1買わなかったのに・・・」うまい具合にタイミングも合致して(勿論ユーザさんを困らせないように考慮してますよっということで)3P投入!
壁コンセント =Ι⊃-----------[ 3P ]+[ 3.1 ]
これで6.1の完成だ!(笑)
ユーザからのひと声:「やってくれちゃいましたねKOJOさん!」
今思えば「やっちゃえKOJO!」だ!(笑)

この手法は単に6.1と同等のものにするだけでなく、システム変更やオーディオ機材の組み換え等で機材が増えた場合、後にコンセントの口数を増加させるという副産物的メリットを生んだのだ。
6.1と3Pを合体させれば総計9口(+1口)になる。ネットワークオーディオ、PCオーディオされているユーザにとっては、そのくらい必要になる方もいるだろう。だから買い替える必要性も減るのだ。前もって使っていたアイテムも有効活用できるのだ。
ギミック好きにはたまらないはずだ。そうこれは言葉通り「巧妙に仕込まれた」罠なのかも知れない!


以降、Crystal(旧Force bar)シリーズは様々な機能を持ったモデルが順次発売されていくが、そのお話はまた今度。(>_<)

何だか連結の話以外の部分が多かったが、それができるまでの経緯もお伝えしたかったので、どうぞ許してください。m(__)m