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『知りすぎた男』 G・K・チェスタトン(著),南條竹則(翻訳)

2024年01月12日 21時33分20秒 | ■読書
イギリスの作家G・K・チェスタトンの連作ミステリ短篇集『知りすぎた男(原題:The Man Who Knew Too Much)』を読みました。
『ブラウン神父の童心【新版】』に続き、G・K・チェスタトンの作品です。

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政治や外交問題にかかわる難事件を“知りすぎて何も知らない"探偵が解き明かす
巨匠による異色の連作短編集、創元推理文庫初収録

新進気鋭の記者ハロルド・マーチが財務大臣との面会に行く途中で出会った人物、ホーン・フィッシャー。
上流階級出身で、大物政治家ともつながりを持ち、才気に溢れながら「知りすぎているがゆえに何も知らない」という奇妙な苦悩を抱えるフィッシャーは、高度な政治的見地を要する様々な事件を解決に導いてゆくが……。
巨匠が贈る異色の連作が、新訳にて創元推理文庫に初収録。
解説=大山誠一郎
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1922年(大正11年)に発表された作品で、英国政界に太いパイプを持つホーン・フィッシャーと若き新聞記者ハロルド・マーチが出会う8つの怪事件を描いた、諧謔と奇想に満ちたミステリ8篇が収録されています。

 ■標的の顔(The Face in the Target)
 ■消えたプリンス(The Vanishing Prince)
 ■少年の心(The Soul of the Schoolboy)
 ■底なしの井戸(The Bottomless Well)
 ■塀の穴(The Hole in the Wall)
 ■釣師のこだわり(The Fad of the Fisherman)
 ■一家の馬鹿息子(The Fool of the Family)
 ■彫像の復讐(The Vengeance of the Statue)
 ■解説 大山誠一郎

「我々は知りすぎているんです。お互いのこと、自分のことを知りすぎている……だから、僕は今、自分の知らない一つのことに本当に興味をおぼえるんです──あの気の毒な男がなぜ死んだか、ですよ」新進気鋭の記者ハロルド・マーチは財務大臣との面会に向かう途中で出会った奇妙な釣師とともに自動車が断崖から転落するさまを目撃する、、、

後に残されたのは車の残骸と男の死体だった……なぜ彼は昼日中見晴らしの良い崖から転落したのか? 国際情勢への鋭い眼差しが光る、英国的諧謔精神に満ちた連作ミステリ集を新訳にて贈る。

政治や外交問題に関わる難事件を“知りすぎて何も知らない”探偵ホーン・フィッシャーが解決していく物語……フィッシャーは、知識や洞察力に優れた探偵であると同時に、政治的な利害や論理に縛られた人物でもあることから、彼は真実を見つけることができるが、それを公にすることができない、、、

難事件が発生し、フィッシャーの推理により犯人は特定されるのに、その人物を裁くことができない…… というユニークな特徴を持った独特な展開のシリーズでした。

『ブラウン神父の童心【新版】』と同じく……というか、それ以上に少し読み辛さがあり、気持ちが作品に入り込めなかったですね。

私の読解力不足かなー と感じつつ読みましたが、そんな中でイチバン印象に残ったのは、、、

新進気鋭の記者ハロルド・マーチとホーン・フィッシャーの出会いを描いた『標的の顔』ですね……彼らが目撃した奇妙な自動車事故の意外な真相が暴かれるのですが、下手糞のふりができるほどの射撃の名手という逆説的なアイデアと大胆極まりない手懸りの出し方が面白かったですね。

その他では、釣り好きの海運王サーアイザック・フックが、田舎屋敷の敷地内で釣りをしている姿のまま、自慢の丈夫な釣り糸を喉のまわりに二重に巻き付けて絞殺、された事件の真相を推理する『釣師のこだわり』かな……中盤で交わされる被害者と犯人の会話、生きていると思われた時間には既に殺されていたという展開が面白かったですね。

知りすぎているが故に、真相を明らかにすることのできない男……事件の真相を公表することが国を代表するような重要人物の立場を危うくするという上流階級、支配階級ならではの事情を抱えた主人公というキャラクター設定は面白いと思うんですけどねー 作品に魅力を感じなかったな、残念。

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