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『高い城の男』 フィリップ・K・ディック(著),浅倉久志(翻訳)

2021年04月19日 21時31分00秒 | ■読書
アメリカの作家「フィリップ・K・ディック」の長篇SF作品『高い城の男(原題:The Man in the High Castle)』を読みました。


アンドロイドは電気羊の夢を見るか?に続き、「フィリップ・K・ディック」の作品です… SF作品が続いていますね。

-----story-------------
〔ヒューゴー賞受賞〕
第二次世界大戦が枢軸国側の勝利に終わってから十五年、世界はいまだに日独二国の支配下にあった。
日本が支配するアメリカ西海岸では連合国側の勝利を描く書物が密かに読まれていた……現実と虚構との間の微妙なバランスを、緻密な構成と迫真の筆致で描いた、「フィリップ・K・ディック」の最高傑作!
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1962年(昭和37年)に発表され、1963年(昭和38年)のヒューゴー賞 長編小説部門を受賞した歴史改変SF作品、、、

第二次世界大戦が枢軸国の勝利に終わり、大日本帝国とナチス・ドイツによって分割占領されている旧アメリカ合衆国領を舞台にした人間群像劇です。


1947年、第二次世界大戦は枢軸国の勝利に終わり、アメリカ合衆国は戦勝国であるドイツと日本によって三つの国に分断され、両国の分割統治下に置かれていた… それから15年後の1962年、アメリカ人の間では謎の人物「高い城の男」によって執筆された『イナゴ身重く横たわる』という、「連合国が第二次世界大戦に勝利していたら」という仮想小説が流行していた、、、

『イナゴ身重く横たわる』はドイツが支配するアメリカ合衆国およびヨーロッパでは発禁本に指定され、「高い城の男」は保安警察に命を狙われていた… 日本が支配するアメリカ太平洋岸連邦のサンフランシスコにあるアメリカ美術工芸品商会を経営する美術商「ロバート・チルダン」は、上得意先である「田上信輔」に、頼まれていた品物の手配が遅れていることを叱責され、代わりの品物を届けるために「田上」がいる通商代表部に向かう。

一方、勤め先の工場をクビになった「フランク・フリンク」は、これからの指針を求めて易経に勤しんでいた… 「田上」もまた、「取引相手である実業家バイネスの正体を探れ」という日本政府からの指令に悩み易経を頼みとしていた……。


作品内で「もしも連合国が枢軸国に勝利していたら」という歴史改変小説『イナゴ身重く横たわる』が流行している点には思わずニヤリとしちゃいましたね… 日本人は勝者として傲慢な部分もあるものの、人種政策でドイツと対立するなどある程度は話が通じる人間的な集団として描かれていましたね、、、

逆にドイツ人は反ナチ派が軒並み粛清されており、ナチズムの狂気に満ちた集団として描かれており対照的でした… ちなみに、イタリア人は表面的には日独と並んで戦勝国として扱われているが実態としてはドイツの衛星国であり、その劣等感からアメリカ人に同情するという役回りでした。

興味深い仕掛けだし、好きなジャンルなんですが… なんだか読み辛かったんですよねー

嫌いじゃないんですけどねー 感情移入し難かったですね。


以下、主な登場人物です。

「ロバート・チルダン」
 アメリカ太平洋岸連邦で「アメリカ美術工芸品商会」を経営する古美術商。

「フランク・フリンク」
 太平洋岸連邦の工芸職人。ユダヤ系アメリカ人。本名は「フランク・フィンク」。
 合衆国の軍人としてアメリカ本土決戦で枢軸軍と戦った過去を持つ。

「ジュリアナ・フリンク」
 フランクの妻。美しい風貌をした黒髪の女性。
 フランクの貧しい生活に嫌気が差して別居。

「ジョー・チナデーラ」
 イタリア国籍の退役軍人。北イタリアのミラノ出身。
 出稼ぎ目的の移民として合衆国に滞在。
 貨物運搬の用心棒としてロッキー山脈連邦を訪れた際にフリンクと知り合う。

「田上信輔」
 太平洋岸連邦の第一通商代表団の代表を務める日本人官僚。
 日本政府からバイネスの素性を探ることを命令されている。

「ポール・梶浦」
 太平洋岸連邦の不遇地域生活水準向上調査委員会の日本人職員。
 美術品愛好家で、チルダンの店の常連客。

「ベティ・梶浦」
 ポールの妻。浅黒い肌に艶やかな黒髪をした女性。

「手崎」
 元日本軍参謀総長の老将軍。軍部の宇宙進出推進派。
 「矢田部信次郎」の偽名を使い、サンフランシスコを訪れる。

「府馬五十雄(ふま いそお)」
 原日本陸軍の退役少佐。
 旧アメリカ美術品の収集家。

「エフレイキアン」
 第一通商代表団オフィスの職員で、田上の秘書。

「ラムジー」
 第一通商代表団オフィスの職員で、田上の秘書。アメリカ系白人の男性。

「ルドルフ・ヴェゲナー」
 ドイツ国防軍情報部の大尉。
 ドイツ国内の要人の密命を受け、スウェーデン人実業家「バイネス」の偽名を使いサンフランシスコを訪れる。

「フーゴー・ライス」
 サンフランシスコ駐在ドイツ帝国領事を務める男爵。
 SS名誉少佐の階級を持ち、形式上メーレの指揮下にある。

「ブルーノ・クロイツ・フォン・メーレ」
 太平洋岸連邦のSD地方長官。
 ハイドリヒ暗殺計画を阻止したことで目をかけられ、SD内での地位を確立する。

「アレックス・ロッツェ」
 ドイツ人芸術家。個展を開くためサンフランシスコを訪れる。

「ウインダム=マトスン」
 WMコーポレーションの社長。フランクの雇い主。

「エド・マッカーシー」
 ウインダム=マストンが経営する工場の現場監督で、フランクの友人。
 フランクとともにエドフランク宝飾工房を起業する。

「レイ・キャルヴィン」
 サンフランシスコで一・二を争う卸売業者。
 ウインダム=マストンが製造する模造品を取扱い、チルダンと取引をしている。

「ホーソーン・アベンゼン」
 『イナゴ身重く横たわる』の作者。
 通称「高い城の男」。
 第二次世界大戦ではアメリカ海兵隊の軍曹としてイギリス戦線に従軍した。
 現在はロッキー山脈連邦のシャイアンにある山奥の要塞(通称「高い城」)で暮らしている。

「キャロライン・アベンゼン」
 ホーソーンの妻。灰色の目をした赤茶色の髪のアイルランド系女性。



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