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『高速道路の殺人者』 ウィリアム・P・マッギヴァーン(著),佐倉潤吾(翻訳)

2024年03月31日 20時17分31秒 | ■読書
アメリカの作家ウィリアム・P・マッギヴァーンの中短篇ミステリ作品集『高速道路の殺人者(原題:Killer on the Turnpike)』を読みました。
ここのところミステリ小説はアメリカの作家の作品が続いています。

-----story-------------
ニューヨークを起点に、三つの州にまたがる有料高速道路は、その夜、大統領一行が通るので特別警戒が敷かれていた。
夕方から降り出した雨は時が経つにつれて激しくなり、車のヘッドライトが暗闇の夜空に、槍のような雨脚を黄色く浮かび上がらせていた……。

夜間パトロール巡査ダン・オリーヤリーは激しい雨を呪いながら、広い高速道路をパトロールしていた。
と、高速道路わきのレストランの前に、一台のビュイックが乗り捨てられてあるのに気づいた。
不審に思った彼は車のナンバーを調べると、警察本部に連絡した。
折り返し警察本部から返事が来たが、それによると、その車は一時間ほど前にニューヨークで若夫婦を殺した男が使ったものだった! 
オリーヤリーは緊張し、直ちにビュイックのところに引っ返したが……その矢先にまたまた一人の男が殺され、一台のフォードが盗まれたのである─しかも、大統領の車は刻一刻と高速道路に近づきつつあった!

マッギヴァーンの才能の多面性を如実に示す傑作集!
中篇『高速道路の殺人者』ほか、『ウィリーじいさん』『デュヴァル氏のレコード』などの異色短篇を収録。
ハードボイルド派の頂点に立つマッギヴァーンが、腹圧な構成に見事なサスペンスを加えて描き出す問題作!
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1961年(昭和36年)に刊行された傑作集……小口と天・地が黄色に染めてある、懐かしく、心ときめく装丁のハヤカワポケミス(ハヤカワ・ミステリ、HAYAKAWA POCKET MYSTERY BOOK)版で読みました。

 ■高速道路の殺人者 (Killer on the Turnpike)
 ■祈らずとも (Without a Prayer)
 ■ウィリーじいさん (Old Willie)
 ■デュヴァル氏のレコード (The Record of M. Duval)
 ■ベルリンの失踪 (Missing in Berlin)
 ■訳者解説

中篇2作品と短篇3作品が収録されていましたが、イチバン面白かったのは表題作で中篇の『高速道路の殺人者』ですね……怪しげな人物が高速道路の片隅に、自分の乗って来た自動車を乗り捨てるところから始まり、アクションの描写に終始する展開が愉しめました、、、

高速道路に限定した舞台での逃亡劇と、捜査側との人質を巡る攻防が描かれており、状況俯瞰的な視点の良さが印象的でしたね……主人公の心理描写とサスペンス感、スピード感の盛り上げ方法が巧みだと感じましたね。

その他では、

カポネ全盛期のシカゴを舞台に、歌手の卵である娘とそれを見守る老人の関係を描いた作品……娘はギャングに弄ばれて、身ごもってしまい、人が好いだけの門番兼なんでも屋のはずだった老人が、突如、颯爽とギャングたちの巣に乗り込んでいくという、都市伝説となったような愉快で痛快な小噺に仕上がっている『ウィリーじいさん』、

レコードを使ったアリバイトリックを中心とした作品で、皮肉な結末が愉しめる『デュヴァル氏のレコード』、

の短篇2作品が面白かったですねー ウィリアム・P・マッギヴァーンの作品は
入手困難だと思いますが、他の作品も機会があれば読んでみたいですね。

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