厩舎や調教の様子などを直接取材できる、いわゆるプロのみなさんとちがって、市井のファンが競馬予想で頼れる材料は競馬新聞などに出ている二次情報が主です。調教タイムなど一応「客観的」なデータも載っているので、参考にはなりますが、タイムがよくて調子がよさそうな馬だからといって、馬券になるとは限りません。あるいは、予想屋のみなさんの多くが◎を打ち、オッズが1倍台ともなれば、これはもうほぼ確勝級の馬だなと誰もが思いますし、事実そうなるパターンが多いのですが、これとてそうなる確率が高いというだけの話で、絶対に勝つ、100%馬券になるということもないわけでして、レースは終わってみないとわかりません。でも、終わってから、惜しかった、あと、もう一歩だった、などとあれこれ嘆いても後の祭りです。それに、事前に大波乱の立役者(馬)がわかっているんだったら、先に教えろよ、という話です。
プロのみなさんでも「ごめんなさい」をするしかないレースは頻繁にあります。近いところでは、1月9日中山の3Rダート1800は、1~3着が順に15番人気・10番人気・8番人気で決まり、ルメール騎乗の1番人気馬(単勝2.2倍)は4着、馬連202,460円、三連複728,220円、三連単5,121,880円の超大波乱となりました。ラジオの放送で解説していた方(確か吉岡哲哉さんだったと思いますが)は、これはもう謝るしかありませんと苦笑していましたが、こんなあり得ない馬券であっても買っている人はいるわけでして、このレースの三連単の当たり馬券は、計算上33票ありますから、一人1票とは限りませんが、最多で33人の人が当たり馬券を買っていたわけです。こういう人たちはどうしてこんなすごい馬券を買えるのだろうか、と素朴に思います。
*すみません、訂正します。控除率を無視して単純に割り算していたので、実際は24票程度だと思います。
さすがにここまですごい馬券は当てられそうにありませんが、波乱を演出する穴馬を見つける方法はあります。私の「渡り」理論という馬券術はわりと使えると思うので、再び紹介します。本当は教えたくないけど(それでオッズが下がりでもしたら困るし……笑)、うまくはまって馬券が当たると、これはみんながうれしいので、引き続きお勧めする馬券術です。
たとえば、上の超大波乱があった1月9日の中山は、メインの11RフェアリーSも荒れて、11番人気・7番人気・6番人気で決まって、馬連21,140円、三連複68,150円、三連単517,430円の高配当となりました。枠人気からの狙いについては、以前のブログで書きましたから、ここはこの「渡り」理論で理屈づけをしてみます。この日の中山の10Rまでの1~3着馬の単勝人気を〇数字で順に羅列すると以下のようでした。
・ 1R ⑦・②・⑨ 三連複 19,200円
・ 2R ③・①・②
・ 3R ⑮・⑩・⑧ 三連複728,820円
・ 4R ④・②・⑩ 三連複 18,240円
・ 5R ⑥・⑤・①
・ 6R ①・③・⑩
・ 7R ⑦・⑥・① 三連複 12,730円
・ 8R ④・⑤・⑨ 三連複 10,100円
・ 9R ③・⑧・②
・10R ⑤・①・⑥
三連複が万馬券になったレースの3着以内の馬のうち最も人気のなかった馬の単勝人気を赤字にしましたが、これを並べてみると、⑨→⑮→⑩→⑦→⑨ です。4Rの⑩が奇数なら、もっとわかりやすいのですが、こういうのは誤差と思って勘弁していただくと、奇数人気が強く出ている(奇数人気馬を渡っている)のがわかります。そこで、次に三連複万馬券を導く人気薄の馬としては、11番人気の馬が怪しいとにらむわけです(奇数ですから、9番人気や13番人気、15番人気ということもあり得ますが、そこらへんは該当馬を見ての判断です)。実際に11Rはどうなったかというと、
・11R ⑪・⑦・⑥ 三連複 68,150円
となって、11番人気のキタウイングが1着に来ました。これをまんまと的中馬券にするには、軸馬も外さないようにしないといけないので、複勝を買うのならよいのですが、連勝式馬券ではそんなに単純にはいきません。ついでに、同日の中京の三連複万馬券の「渡り」具合も見ておくと、10Rまで⑧→⑨→⑪→⑧と来て、メインの11Rでは⑬が来ましたから、これも「奇数」ないし「偶数」人気の間を渡っていくパターンではまったくないわけでして、このように想定どおりにいかないと、確信が揺らぎ、馬券予想のスタンスを混乱させられてしまいます。ですから、あとは気に留めるかどうかの問題です。血統馬券だって、はまれば、すごいなあ、やっぱり血統どおりだあ、などと思いますが、いつもそうなるわけではありませんから、それと同じで、こんなこじつけっぽい機械的な予想であっても、当たることも多いので、それなりに参考にはなると思います。
まあそうはいっても、馬の実力や調子を無視して馬券を買うわけにもいきません。明日には、土日のレースの枠番・馬番も発表になりますので、追い切りの具合などもよく見ながら、予想を立てていこうと思います。今日もお読みいただき、ありがとうございました。