公官庁や民間会社様からお仕事頂いて食べさせて
頂いてますが・・・幅広い建設分野でも地盤のことが専門の仕事。
最近の多くの方に関心あるトピックは,
『地盤の液状化』ではないでしょうか?
先日,『一度液状化した地盤は,再び液状化はしない』
という地盤技術者のはしくれとしては耳の痛いお話
を聞きました。
結論から言いますと・・・
絶対にそんなことありません。
先日のニュージーランドの地震や過去の日本海中部地震でも
確認されています。
そんな訳で,一技術者として,たまには液状化の話を・・・
商業ベースでは風評被害?とも思われがちですが,
読んで頂き,「液状化の知識」として
参考になればと思います。
『地下水より下にある緩い砂地盤』
が液状化しやすい地盤です。
地下水より下はわかるかもしれませんが・・・
『緩い砂地盤って何?』と思いませんか?
砂地盤は,粒状体(つぶつぶ)が
集まって構成されています。
そして,つぶつぶ同士の間(すきま)のことを
隙間と呼んでいます。
緩い砂地盤:間隙が大きい
締まっている砂地盤:間隙が小さい
ということです。
普段何も起きていない状態では,上の地盤の重量とバランスして
つぶつぶ同士の噛みあいを保っています。
さて,地震は縦揺れが大きかったと良く言いますが・・・
やはり『横揺れ』の方が『縦揺れ』に比べて大きいです。
液状化のみならず,地震が悪さをするのは横揺れが大きい原因です。
地球上にいる限り・・・我々も含めて,
普段は重力(下向きの力)を受けているのですから。。
(横やりに弱いって感じでしょうか?爆)
では,つぶつぶは「横揺れ」の時にどうなるでしょう?
緩い砂地盤 :間隙(すきま)が大きいので,隙間を埋める(小さくする)ような挙動をします。
締った砂地盤:隙間(すきま)が小さいので,隙間を広げる(大きくする)ような挙動をします。
これは,地下水より上にある砂地盤の挙動です。
しかし,「地下水より下にある」ということは事情が変わってきます。
地下水より下にあるということは,隙間が水で満たされている状態です。
そのような状態で,素早くて大きい横揺れの振動が
緩い砂地盤に加えられたら,
つぶつぶ自体は間隙を埋めるような挙動をしたいのに,
水で間隙が満たされているから,隙間を埋められないですよね?
(注射器に水を入れて先をフタすると,
ピストンを押すような状態をイメージするとわかりやすいかも?)
地震は振動・・・何度も繰返される大きな横揺れ・・・
つぶつぶが間隙の水を押していくうちに,
どんどん間隙の水の水圧が上がってきます。
最初に書きましたが・・・普段の地盤は,
上の土との重量バランスを保って
状態を保っています。
しかし・・・水圧が上がってくると
やがて上の土の重量と同じ位の水圧が生じて,
バランスが失われます。
その結果,つぶつぶ同士の噛みあいが外れてしまいます。
噛みあいが外れてしまったら,地下水と混ざって
液体のようになります。
このような現象を『地盤の液状化』と呼んでいます。
地下水と一緒に液状になった砂は,地面の裂け目から
噴出してきたりします(噴砂)。
液状となって流動する訳ですから,
地表面が変形したり,沈下したりして建物に支障をきたします。
また,地下水と一緒になった泥水の比重は,大きくなるため
地下に埋設された比重の小さい構造物などは,浮き上がります。
さて,液状化を起こした地盤はその後どうなるのか?
一度ばらばらになってしまった砂のつぶつぶが,
沈降して再び堆積します。
おそらく以前とは,異なる噛みあいの配置になるでしょう。
本当に地震前よりも強い砂地盤に変わるのでしょうか?
現象的に考えれば,少しは強度が上がるのですが・・・
自然の産物が地盤です。
そう都合の良いことはありません。
人口的に埋立てた砂地盤はもちろん,
・・・自然地盤のうち沖積層(2万年前以後に堆積した地層)
の砂地盤が液状化しやすい地盤と言われています。
数百年,数千年のオーダーの長い時間をかけて
ゆっくり強さを増してきた地盤が,
瞬時に強い地盤に変わるのでしょうか?
今回の地震で,震源から500km以上離れた
千葉・東京の湾岸エリアでも生じた液状化。。
過去に例を見ない広範囲で生じたことが特徴です。
千葉・東京の湾岸エリアでは,東北地方よりも
地震動の大きさはそれほど大きくないのですが・・・
継続時間が長かったことが原因ではないかと言われています。
しかしながら,例えば想定東海地震の震源の方が
関東地方に近いわけですから,
もっと大きい揺れが生じることでしょう。
今回経験した揺れよりも大きい揺れが生じた場合に
液状化しないと言えるでしょうか?
こう積み上げて考えていくと・・・,
『一度液状化した地盤は,再び液状化はしない』
想像できにくいですよね?
個人的には,就職した翌年に起きた阪神淡路大震災以降,
いろいろ経験させてもらってますが,
仕事柄,新しい災害が起こるたびに・・・
微力さを痛感すること多いです。
そうはいっても,今自分にできることの一つとして,
少しでも,一般の方の『減災意識』を高めることも
技術屋の使命とも思いまして書かせてもらいました。
自分自身でも頭の中の知識を整理してみたところもあり,
つたない文章で分かりにくいところもあるかも知れませんが,
少しでもお役に立てれば幸いです。
<参考資料>
・再液状化について
五洋建設さんのHPに真面目な説明がありますが,
過去の事例を踏まえていてわかり良いです。
http://www.penta-ocean.co.jp/business/tech/civil/ground/qa_db/liquefy/index.html
・液状化のメカニズム
国土交通省北陸地方整備局より
http://www.hrr.mlit.go.jp/bosai/niigatajishin/paneru/ekijoka/introduction.html
※訂正(2011/06/06)
明らかに間違いを見直しました。
・『て・に・を・は』がおかしい箇所
・沖積層(2万年以前(誤)→2万年以降(正)に堆積した地層)
・できるだけ主語を明確にしました。硬くならないような文章も難しい(^^;
頂いてますが・・・幅広い建設分野でも地盤のことが専門の仕事。
最近の多くの方に関心あるトピックは,
『地盤の液状化』ではないでしょうか?
先日,『一度液状化した地盤は,再び液状化はしない』
という地盤技術者のはしくれとしては耳の痛いお話
を聞きました。
結論から言いますと・・・
絶対にそんなことありません。
先日のニュージーランドの地震や過去の日本海中部地震でも
確認されています。
そんな訳で,一技術者として,たまには液状化の話を・・・
商業ベースでは風評被害?とも思われがちですが,
読んで頂き,「液状化の知識」として
参考になればと思います。
『地下水より下にある緩い砂地盤』
が液状化しやすい地盤です。
地下水より下はわかるかもしれませんが・・・
『緩い砂地盤って何?』と思いませんか?
砂地盤は,粒状体(つぶつぶ)が
集まって構成されています。
そして,つぶつぶ同士の間(すきま)のことを
隙間と呼んでいます。
緩い砂地盤:間隙が大きい
締まっている砂地盤:間隙が小さい
ということです。
普段何も起きていない状態では,上の地盤の重量とバランスして
つぶつぶ同士の噛みあいを保っています。
さて,地震は縦揺れが大きかったと良く言いますが・・・
やはり『横揺れ』の方が『縦揺れ』に比べて大きいです。
液状化のみならず,地震が悪さをするのは横揺れが大きい原因です。
地球上にいる限り・・・我々も含めて,
普段は重力(下向きの力)を受けているのですから。。
(横やりに弱いって感じでしょうか?爆)
では,つぶつぶは「横揺れ」の時にどうなるでしょう?
緩い砂地盤 :間隙(すきま)が大きいので,隙間を埋める(小さくする)ような挙動をします。
締った砂地盤:隙間(すきま)が小さいので,隙間を広げる(大きくする)ような挙動をします。
これは,地下水より上にある砂地盤の挙動です。
しかし,「地下水より下にある」ということは事情が変わってきます。
地下水より下にあるということは,隙間が水で満たされている状態です。
そのような状態で,素早くて大きい横揺れの振動が
緩い砂地盤に加えられたら,
つぶつぶ自体は間隙を埋めるような挙動をしたいのに,
水で間隙が満たされているから,隙間を埋められないですよね?
(注射器に水を入れて先をフタすると,
ピストンを押すような状態をイメージするとわかりやすいかも?)
地震は振動・・・何度も繰返される大きな横揺れ・・・
つぶつぶが間隙の水を押していくうちに,
どんどん間隙の水の水圧が上がってきます。
最初に書きましたが・・・普段の地盤は,
上の土との重量バランスを保って
状態を保っています。
しかし・・・水圧が上がってくると
やがて上の土の重量と同じ位の水圧が生じて,
バランスが失われます。
その結果,つぶつぶ同士の噛みあいが外れてしまいます。
噛みあいが外れてしまったら,地下水と混ざって
液体のようになります。
このような現象を『地盤の液状化』と呼んでいます。
地下水と一緒に液状になった砂は,地面の裂け目から
噴出してきたりします(噴砂)。
液状となって流動する訳ですから,
地表面が変形したり,沈下したりして建物に支障をきたします。
また,地下水と一緒になった泥水の比重は,大きくなるため
地下に埋設された比重の小さい構造物などは,浮き上がります。
さて,液状化を起こした地盤はその後どうなるのか?
一度ばらばらになってしまった砂のつぶつぶが,
沈降して再び堆積します。
おそらく以前とは,異なる噛みあいの配置になるでしょう。
本当に地震前よりも強い砂地盤に変わるのでしょうか?
現象的に考えれば,少しは強度が上がるのですが・・・
自然の産物が地盤です。
そう都合の良いことはありません。
人口的に埋立てた砂地盤はもちろん,
・・・自然地盤のうち沖積層(2万年前以後に堆積した地層)
の砂地盤が液状化しやすい地盤と言われています。
数百年,数千年のオーダーの長い時間をかけて
ゆっくり強さを増してきた地盤が,
瞬時に強い地盤に変わるのでしょうか?
今回の地震で,震源から500km以上離れた
千葉・東京の湾岸エリアでも生じた液状化。。
過去に例を見ない広範囲で生じたことが特徴です。
千葉・東京の湾岸エリアでは,東北地方よりも
地震動の大きさはそれほど大きくないのですが・・・
継続時間が長かったことが原因ではないかと言われています。
しかしながら,例えば想定東海地震の震源の方が
関東地方に近いわけですから,
もっと大きい揺れが生じることでしょう。
今回経験した揺れよりも大きい揺れが生じた場合に
液状化しないと言えるでしょうか?
こう積み上げて考えていくと・・・,
『一度液状化した地盤は,再び液状化はしない』
想像できにくいですよね?
個人的には,就職した翌年に起きた阪神淡路大震災以降,
いろいろ経験させてもらってますが,
仕事柄,新しい災害が起こるたびに・・・
微力さを痛感すること多いです。
そうはいっても,今自分にできることの一つとして,
少しでも,一般の方の『減災意識』を高めることも
技術屋の使命とも思いまして書かせてもらいました。
自分自身でも頭の中の知識を整理してみたところもあり,
つたない文章で分かりにくいところもあるかも知れませんが,
少しでもお役に立てれば幸いです。
<参考資料>
・再液状化について
五洋建設さんのHPに真面目な説明がありますが,
過去の事例を踏まえていてわかり良いです。
http://www.penta-ocean.co.jp/business/tech/civil/ground/qa_db/liquefy/index.html
・液状化のメカニズム
国土交通省北陸地方整備局より
http://www.hrr.mlit.go.jp/bosai/niigatajishin/paneru/ekijoka/introduction.html
※訂正(2011/06/06)
明らかに間違いを見直しました。
・『て・に・を・は』がおかしい箇所
・沖積層(2万年以前(誤)→2万年以降(正)に堆積した地層)
・できるだけ主語を明確にしました。硬くならないような文章も難しい(^^;