隠れ家-かけらの世界-

今日感じたこと、出会った人のこと、好きなこと、忘れたくないこと…。気ままに残していけたらいい。

想像どおりに進む心地よさも~「人生の特等席」

2013年10月20日 20時55分44秒 | 映画レビュー

人生の特等席
2012年アメリカ映画

監督 ロバート・ロレンツ
出演 クリント・イーストウッド/エイミー・アダムス/
    ジャスティン・ティンバーレイク






 (DVDをレンタルして観たのですが、WOWOWで放送されてたみたいです)

 大リーグの伝説的なスカウトマン、ガス。
 老いからくる視力の衰えで、スカウトマンとしての資質に問題が生じつつある。
 娘は弁護士として活躍し、事務所のパートナー寸前の大事な時期にある。そして、母親を幼いころに亡くし、仕事に没頭して自分を振り向いてくれない父親からは「捨てられた」という複雑な思いを抱いている。 
 その父と娘がうまく心を通わせられないままに、うまく会話を進められないままに、ともにスカウトの場に向かうことになる。ガスの体を憂慮した同僚が娘に父親の仕事に同行することを勧めたのだ。
 自分のキャリアアップにとっても大事な時期にある娘は、電話やメールで仕事を進行させながらも、父親の脇に座って、スカウトの対象となる若い選手の観察につとめる。
 その的確な観察力、判断は、幼い頃、父親の仕事に同行した際に培われた一種の才能。そして、実は父親の仕事や野球への深い愛と関心があったことが次第に明らかになる。

 意外な展開は何ひとつなく、こうなるだろう、こうなってほしいというこちらの希望をすべてかなえて、ストーリーは進む。
 娘への気持ちを伝えるすべを知らなかった父親と、反発をしながらも父親の背中をじつは追っていた娘。
 それを二人の野球への深い思いが彩っていく。
 アメリカ映画の明の部分を前面に押し出して展開されるなかで、わかっていながらそれに浸れてしまう不思議。
 最後には、娘が見つけ出した新しい若い選手が、父親と娘のこれからを想像させ、娘の恋も花開きそうな予感で、やっぱり予想どおりのハッピーエンド。

 ひねりが好みの私ですが、それでもたまにはこんな安心の空気の中にいるのも悪くないな、と、そんなことを思う。
 エイミー・アダムスが知的でチャーミングで魅力的。
 クリント・イーストウッドの老いた姿にちょっとショックを受けたけど、この人の(『ローハイド』からの)なが~いキャリアを思うと、それだけで感動してしまう。

 原題は『Trouble with the Curve』。
 周囲が大型バッターとして注目していた選手の、じつは「カーブが打てない」という問題点を、この父と娘が見抜く。それがストーリーを痛快に展開させていくのだ。
 これを映画のタイトルにしたことで、父娘物語をおもてに、野球という世界で真贋を見分けることの難しさ、おもしろさを裏の大事な部分に貼り合わせていることが伝わる。マニアックだけど真実をついたタイトルだ。
 邦題の「人生の特等席」は、娘にとって、父親の脇で野球を見ている、その場所こそが最も幸せな居場所だったということか。それはひょっとすると父親にとってもそうだったのかもしれない。
 最初はなんとなく陳腐なタイトルのように思えたのだけれど、『Trouble with the Curve』を直訳してタイトルにしても、日本では伝わらなかったかもしれない。
 「人生の特等席」は、かなり直球だけれど・・・。


                   


 じつは、待望の「テッド」も観ました。マジで「待望の」(笑)。

 http://ted-movie.jp/

 最後はちょっとドキドキしちぎれたテッドを切なく追っていたけれど。
 それにしても、なんじゃ、このクマは!
 笑い転げて、ちょっと呆れて、目を見張って、赤面して。
 もう少し「かわいさ」もあるかと思っていたら、想像を超える「大人な」クマで、びっくりしました。


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