2016.1.27
書く女
at 世田谷パブリックシアター
作・演出 永井 愛
出演 黒木華/平岳大/木野花
初演(寺島しのぶ)のときなぜか見逃して後悔した作品の再演。
昨秋にチケットを予約していたのに、正直、最近はいろいろあってすっかり忘れていた。前々日に相方に「覚えてる?」ときかれて思い出したというありさま。
まさか次の日に母親が骨折する・・・などとは想像だにせずに、観劇後は久しぶりに訪れた行きつけの居酒屋で、おいしいお酒を楽しんだりしたのです。
若くして亡くなった樋口一葉の作家人生はさまざまに語られたりドラマになったりしている。
でも「書く女」では、貧しさの中で必死で生きるさまだけではなく、若く研ぎ澄まされた感性を楽しむかのように執筆に情熱を燃やした「幸福な時間」としてとらえているところが心地よい。
「たけくらべ」の構想のきっかけになった、子どもたちを遠くに見て想像を膨らませていく場面などは、うらやましいくらいに若くて、しなやかで、魅力的だ。
若々しい出演者たちの未完成なところやハミダシ気味なところも好感がもてる。
黒木華という、一見ふつうな、とくに際立って見えるところもないような若い役者の、のびやかで柔軟でテクニックに走らない無防備なところがなんともステキで、これからどんなふうに、どんな道を歩いていくのか、ゆっくり見届けたい思いにかられる。そういう夢を見させてくれる存在だ。
若いエネルギーに満ちた舞台を、ベテランの木野花さんが「まとめる」のではなく、刺激的に壊しているのもおもしろい。平岳大さんの丁寧でチャーミングな演技にも惹かれる。
それにしても、なんと短い時間を駆け足で駆け抜けて、一葉はどこへ急いでしまったのだろう・・・。
PL学園に生まれたKKコンビを知って野球ファンになった知り合いがいる。それまでは野球好きの夫にいくら説明されてもルールを理解できなかったし、理解しようともしなかった女性が、あの夏の甲子園でどんな出会いを経験したのか・・・。
彼女にとっては、桑田も清原も「その後の楽しい時間をもてたことの恩人」だったらしい。
勝手に思いを寄せたとはいえ、「とくにファンだったわけじゃないけど、やっぱりちょっとショック」と言ってた30男子もいる。
甘いことを言うつもりはないけれど、やり直しのきかない人生はないし、それはたぶん本人次第だ。私にえらそうなことは言えない。
それにしても、友だちとは・・・と考えさせられる。
私にこの優しさはあるだろうか・・・。
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