隠れ家-かけらの世界-

今日感じたこと、出会った人のこと、好きなこと、忘れたくないこと…。気ままに残していけたらいい。

スピッツは民主主義のバンド~『大谷ノブ彦の キキマス!』

2014年11月28日 14時01分40秒 | スピッツ

2014.11.27(木)
『大谷ノブ彦の キキマス!』
ニッポン放送 13:00-16:00

 
 http://www.1242.com/program/kikimasu/

 
毎週木曜日の「レジェンド」のコーナー、11月はスピッツ特集(先週はココ)。
 以下、大谷さんの解説を勝手にまとめてみました。



                      


 1ヵ月取り上げてきて、スピッツというバンドの多面性が見えてきたはず。
 最終回に取り上げるのがアルバム『小さな生き物』。
 この中の「野生のポルカ」はポルカ調というより、まさにアイリッシュパンクサウンド。スピッツのすごいところはアルバムに毎回、世界のさまざまなサウンドを取り入れているところ。基準を同じにして世界のサウンドを向き合っているところを評価する。


★奇跡の民主主義バンド
 実は民主主義が貫かれているバンドって、探してもなかなかいない。
 たいていは、作詞作曲をしているエッジの尖った人、カリスマ的な魅力をもった人がいちばん上にいて、その下にギタリストがいる、そしてベーシスト、ドラマーはサポートメンバーとは言わないけれど、ちょっと影が薄い、ということが多い。
 そういう中で、バンドで大事なのは、どうやってバランスを保つか、ということ。さっきも説明したヒエラルキーにするのがいい場合もある。例えば、Mr.Childrenでは、桜井さんがヒエラルキーのいちばん上かもしれない。でもドラムスの鈴木さんの陽気なキャラクターが雰囲気を中和させて、というようにそれぞれのメンバーのいいところが作用していくのが理想的。だけど、作詞作曲をしている人がバンドを牽引していく、というのがほとんどだと思う。
 ところが、スピッツ、GLAYというバンドは奇跡的に民主主義が成立しているバンド。
 草野マサムネは、作詞作曲の面で非常にエッジが尖っている。ロックバンドの歴史の中で、本当に才能豊かな人だと思う。だけど、スピッツというバンドを見ると、全員「均等」。アルバムを聴けばわかることだけれど、各メンバーのアイデアやスキルの高さをしっかり利用している。例えば、ギタリストはかなりヘビーメタルに精通したサウンドを奏でている。スピッツが「昔よく聴いた」とか「ライブに行った」ということであがってくるのにヘビメタのバンドが本当に多い。先日の武道館のライブでもMCで名前があがっていた。
 (スピッツのサウンドからその影響は感じられないと言う人は第2回の放送を!(ココ))
 民主主義のバンドサウンドの上に草野マサムネの詞の世界、独特のメロディー、そしてあの唯一無二の声がかぶさることで、世界にも類を見ないonly oneのバンドになっている。


★さまざまなサウンドをアルバムに
 どのアルバムでもいいから、ぜひ聴いてみて。それぞれに、その時代の最先端のサウンドが入っている。
 『小さな生き物』では、「scat」ははじまりが7拍子で、そこに音楽のおもしろさがある。
 「エンドロールには早すぎる」、これはまさにディスコサウンド。彼らには珍しく打ち込み。原点回帰してこれが流行っているんだったら、「スピッツならこうやる」という解釈でチャレンジしている。
 「エンドロールには早すぎる」というスピッツらしいタイトル。スピッツはまだエンドロールは流さない、と大谷さんは解釈。
 「世界に誇る、日本だから生まれた民主主義バンド。それでもスピッツはロックバンドだ」というMCのあとで、「エンドロールには早すぎる」が流れる。

   「エンドロールには早すぎる」流れる 

 「小さな生き物」のリリースまでに時間がかかったのは、明らかに震災の影響。草野さんがかなりナーバスになったということもきいている。
 「エンドロールには早すぎる 潮の匂いがこんなにも 寒く切ないものだったなんて♪」
 これはまさにそのメッセージ。
 「あんな当たり前が大事だったことに なんで今気づいてんの?」と自分に言っている。
 どうしようもないことはある。それはゆっくり時間をかけて受け止めるしかない。そのときにいつも思うのは、「ああすればよかった、こうすればよかった、伝えればよかった」ということ。
 「君のクシャミがききたいよ」は草野さんらしい表現で、後悔の気持ちをあらわしている。そして「意外なオチに賭けている」。「意外なオチ」、これは希望のことだと思う。でも、この人は直接的に「希望」とは書かない。
 曲だけ聴いていたら、こんなことは思わないでしょ。でも何度も聴いて歌詞を読んで解釈していく。これがスピッツの楽曲。これだって別に草野さんにきいたわけじゃないから、解釈は間違っているかもしれない。でも世の中にあるものはだいたいそういうものだと、僕は思っている。
 曲を聴いて芳醇(豊潤?)な気持ちにさせてくれる、すばらしいバンドだと思う。

                 

 解釈がいろいろできる曲ばかりだというところは納得。私もいろいろ読んだり話したりして、へ~、そういうふうに感じることができるのか、と思うことはしばしば。
 「意外なオチ」が「希望」かどうかはともかくも、こういう軽い言葉で実は大事なことを表現しているのだろうと、私も思う。ベタなきれいな単語を使わないことで、こちらはヘンな気恥ずかしさや置いていかれ感を味わわずにすむ。重いことをちょっと軽い言葉であらわすことで、スルーせずに立ち止まって、その雰囲気を深く感じることもできる。
 むしろそういうベタな単語は、「8823」での「LOVEと絶望の果て♪」のように使うことで、あえてかっこよく、そしてちょっと遊んだりしている。また「春の歌」の「愛も希望より♪」の場合は、あまりスピッツで使われない表現だからよけいに迫ってきたりする。

 それから、民主主義という表現がぴったりかどうかは置いておいて、作詞作曲者がバンドを牽引していないのも事実だろう。いつかメンバーが言っていたけれど、引っ張っていくのは「草野」ではなく「草野の作る曲」。それを4人で追いかけていくって。
 レコーディングの最後の歌入れにも全員がそろう、というのはシロウトには当たり前のような気がするけれど、そうではない(ボーカルだけが参加する)バンドが多いからこそ、話題にのぼるのかもしれない。
 また、CDジャケットについてはこだわりのある草野に任せているときいていたので、「でも草野が打ち合わせしているときには、メンバーも全員そこにいるよ」という発言にはちょっと驚いて、でもステキだなと思った記憶がある。
 そういう意味では「民主主義の原点のバンド」かもしれないな。

 「キキマス」のスピッツ特集はこれでファイナル。
 




NHK「あさイチ」で「楓」●
 今朝のゲストは、小日向文世さん(「海をゆく者」の再演、楽しみ!)。
 スピッツが「楓」をリリースした頃は芝居で忙しくて知らなかったのだけれど、最近聴くことがあって、「いい曲だなあ」と。
 YouYubeで、Uruさんがそれをカバーしているのを聴いて、すっかりファンになって毎晩癒されている、と。
 スピッツ…というよりUruさんの話題でしたけど(笑)、でも「楓」が名曲だ、ということで。
 

楓 - スピッツ Yo1ko2 featuring Uru

 う~ん、たしかに、疲れた心に染み入る声だな。


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