スピッツ 「若葉」+「まもるさん」(2008年11月5日リリース)-UNIVERSAL J
昨夜、駅前のTUTAYAに飛び込んでゲット。爆音で聴いて、泣いたり笑ったり。
■「若葉」~あの頃の私に…
「いつものスピッツ」かもしれないけど、聴くほうは「いつもの私」ではなく。だから、耳に入ってくる音や言葉はどんどん変化したり、深くしのびこんだり…。
CDから伝わる風景や空気は、きっと百人したら百通りの場面を生んでいくんだろう。そういうこちらのわがままや勝手を、今度も許してくれる楽曲だった。
秋に見る「若葉」は、むしろ季節を越えて胸にしみてくる。隠していたつもりのいろいろな思いや、見ないふりをしたかった事実が、残酷に明らかになって、ちょっとキツイな、とかね。
マンドリンのかわいい音で、昔の純な暮らしもよみがえる。あの子はあれからどうしたかしら、とか、年賀状がいつの間にかとぎれたけど生きてる?とか。
昔のスピッツのスカスカした音ではなく(これも実は大好きで、大人のスピッツのスカスカも聴いてみたい)、体じゅうに広がって化学変化を起こす音の波にみんな委ねてみたくなるような。最近とみにはまっているサビのギターの盛り上がりがまた私たちを泣かせてくれる、と思う。
2回目のAメロのところから入ってくるドラムスの広がりもいい。なんだか、フロントの三人のバックで支える崎ちゃんの存在が映像として意味をもってくるような。
ラストのマンドリンとからむベースの音もひそやかでいいなあ。ライブでは田村君がマンドリンを演奏してたけど(たしかにライブでテツヤがギター+マンドリンは無理)、あのベースの音はギターでカバーしたんだろうか。確かめたいな。
ボーカルの声と歌い方がいつになく優しく響く。淡い恋でも、優しい友情でも、そのときそのときでイメージしていいよ、と言われたみたいな気もする。
歌詞はさすがです。人の心に平気な顔して入り込んでくるなよっ!と言いたい。
「忘れたことも 忘れるほどの」とか「暖めるための~燃やすところだった」は、これでもかこれでもか、と言葉を重ねる昨今の流行り歌(笑)へのアンチテーゼ? (ま、作者はそんなこと狙ってはいないだろうけど)。
「裸足で走る痛みさえ心地よかったり」「可愛い話ばかり転がってたり」は、やっぱり10代のころの私たちではないかな。今はもうないけど、でも思い出すと「そういえばなあ」って。ちょっと悲しくなるけど、生きていくっていうことはそういうことだよなあ。
最後の「君の知らない道を~」で、みんな旅立っていくんですよね。
こういう忘れていた思いを40代のバンドマンたちが思い出させてくれたわけです。
今まさに真っ只中にいる人たちの胸には、どういうふうに届くのだろう。それもちょっと知りたい。あの頃の私に尋ねてみようかな。
■「まもるさん」~注意しましょう、こういう男には!
音も言葉もボーカリゼーションも、スピッツの許容範囲(笑)で遊んでいるところが、やっぱり彼らのカップリングだなあ、と。この「スピッツの許容範囲」というあたりがポイントなんだけど(賢さであり、石橋叩きバンドの真骨頂であり、「もっと冒険してもOKなのに」というファンの声も聞こえる感じ?)。
サビのバックで聞こえる、主張していそうででしゃばらないシンセの音は、今回は疾走感をかきたてる効果を出しているように思う。
イントロから聴かせてくれるギターリフ。重くて、でも適度に走る軽やかさも感じさせて半分ロック、ちょっと懐かしいおバカ加減。これは好きです、すごく。
どしっとした?ドラミングが全体をしめてくれる。サビのシンセとベースの重低音の重ならないバランスも心地よし。
なんだか重い心をとっぱらって、走りたくなる気分。
Aメロの「乱されて~」「ふてくされて~」の最後のところのボーカル(わかります?)、ちょっと今までにない歌い方? ファルセットのところも、あんまりこういう感じはなかったみたいな。ちょっとおしゃれ?
でも、どうなんですか、こういう男…。危ない「まもるさん」じゃないですかねえ。
逃げたり、ふてくされたりして生きてきたのに、「君を陰ながら守ります」って言われても。「僕だけに出来る」とか「僕だから出来る」とか殺し文句を吐かれてもねえ。
だって、「君を困らせてよろこばす」ですよ。「疲れ果てるまで」と決めながら「演技」なんだもの。
Mを装った究極のS男ではないんですか?
「どんな役回りでもいただけるなら」って、結構受け身だし。
たまにこういう詞をあんなきれいな声と疾走感たっぷりのサウンドで聴かせてくれると、ああ、やっぱり「細くなが~く」続けてほしくなりますね。
でも、やっぱり「まもるさん」にはご注意!
そうそう、ジャケットがきれい。どこかに行きたくなります。
CDの緑と「若葉マーク」(笑)。若葉マークがこんなにかわいかったとは…。
これもさりげない遊び心?
【個人的なメッセージ】
「若葉」、もうゆっくり聴きましたか? その後どうしていますか。
直接メールだとうまく言えないので、ここで。いつか見に来てくれるかな、と思って。
時間が解決してくれることはたくさんあるけど、そう簡単にはいかないことも多いです。これ、私の経験。
でも、なるべく逃げずに自分と向き合っていけば、いろんなことがこれからのあなたの力になる。それはたしかです。これも私の経験。 失敗もたくさんしてきたから言えることです。
「若葉」は泣けたでしょ? 思い当たることがたくさんありすぎるかもしれないですね。
じょうずに時間をかけて、また浮上しましょう、きっと。
ライブ、楽しんでくださいね。
【追記】(2008年11月6日11:23)
「若葉」の「涼しい風~並んで感じてた」が沁みる。見つめあうのではなく「並んで」いるところ。
昨夜、駅前のTUTAYAに飛び込んでゲット。爆音で聴いて、泣いたり笑ったり。
■「若葉」~あの頃の私に…
「いつものスピッツ」かもしれないけど、聴くほうは「いつもの私」ではなく。だから、耳に入ってくる音や言葉はどんどん変化したり、深くしのびこんだり…。
CDから伝わる風景や空気は、きっと百人したら百通りの場面を生んでいくんだろう。そういうこちらのわがままや勝手を、今度も許してくれる楽曲だった。
秋に見る「若葉」は、むしろ季節を越えて胸にしみてくる。隠していたつもりのいろいろな思いや、見ないふりをしたかった事実が、残酷に明らかになって、ちょっとキツイな、とかね。
マンドリンのかわいい音で、昔の純な暮らしもよみがえる。あの子はあれからどうしたかしら、とか、年賀状がいつの間にかとぎれたけど生きてる?とか。
昔のスピッツのスカスカした音ではなく(これも実は大好きで、大人のスピッツのスカスカも聴いてみたい)、体じゅうに広がって化学変化を起こす音の波にみんな委ねてみたくなるような。最近とみにはまっているサビのギターの盛り上がりがまた私たちを泣かせてくれる、と思う。
2回目のAメロのところから入ってくるドラムスの広がりもいい。なんだか、フロントの三人のバックで支える崎ちゃんの存在が映像として意味をもってくるような。
ラストのマンドリンとからむベースの音もひそやかでいいなあ。ライブでは田村君がマンドリンを演奏してたけど(たしかにライブでテツヤがギター+マンドリンは無理)、あのベースの音はギターでカバーしたんだろうか。確かめたいな。
ボーカルの声と歌い方がいつになく優しく響く。淡い恋でも、優しい友情でも、そのときそのときでイメージしていいよ、と言われたみたいな気もする。
歌詞はさすがです。人の心に平気な顔して入り込んでくるなよっ!と言いたい。
「忘れたことも 忘れるほどの」とか「暖めるための~燃やすところだった」は、これでもかこれでもか、と言葉を重ねる昨今の流行り歌(笑)へのアンチテーゼ? (ま、作者はそんなこと狙ってはいないだろうけど)。
「裸足で走る痛みさえ心地よかったり」「可愛い話ばかり転がってたり」は、やっぱり10代のころの私たちではないかな。今はもうないけど、でも思い出すと「そういえばなあ」って。ちょっと悲しくなるけど、生きていくっていうことはそういうことだよなあ。
最後の「君の知らない道を~」で、みんな旅立っていくんですよね。
こういう忘れていた思いを40代のバンドマンたちが思い出させてくれたわけです。
今まさに真っ只中にいる人たちの胸には、どういうふうに届くのだろう。それもちょっと知りたい。あの頃の私に尋ねてみようかな。
■「まもるさん」~注意しましょう、こういう男には!
音も言葉もボーカリゼーションも、スピッツの許容範囲(笑)で遊んでいるところが、やっぱり彼らのカップリングだなあ、と。この「スピッツの許容範囲」というあたりがポイントなんだけど(賢さであり、石橋叩きバンドの真骨頂であり、「もっと冒険してもOKなのに」というファンの声も聞こえる感じ?)。
サビのバックで聞こえる、主張していそうででしゃばらないシンセの音は、今回は疾走感をかきたてる効果を出しているように思う。
イントロから聴かせてくれるギターリフ。重くて、でも適度に走る軽やかさも感じさせて半分ロック、ちょっと懐かしいおバカ加減。これは好きです、すごく。
どしっとした?ドラミングが全体をしめてくれる。サビのシンセとベースの重低音の重ならないバランスも心地よし。
なんだか重い心をとっぱらって、走りたくなる気分。
Aメロの「乱されて~」「ふてくされて~」の最後のところのボーカル(わかります?)、ちょっと今までにない歌い方? ファルセットのところも、あんまりこういう感じはなかったみたいな。ちょっとおしゃれ?
でも、どうなんですか、こういう男…。危ない「まもるさん」じゃないですかねえ。
逃げたり、ふてくされたりして生きてきたのに、「君を陰ながら守ります」って言われても。「僕だけに出来る」とか「僕だから出来る」とか殺し文句を吐かれてもねえ。
だって、「君を困らせてよろこばす」ですよ。「疲れ果てるまで」と決めながら「演技」なんだもの。
Mを装った究極のS男ではないんですか?
「どんな役回りでもいただけるなら」って、結構受け身だし。
たまにこういう詞をあんなきれいな声と疾走感たっぷりのサウンドで聴かせてくれると、ああ、やっぱり「細くなが~く」続けてほしくなりますね。
でも、やっぱり「まもるさん」にはご注意!
そうそう、ジャケットがきれい。どこかに行きたくなります。
CDの緑と「若葉マーク」(笑)。若葉マークがこんなにかわいかったとは…。
これもさりげない遊び心?
【個人的なメッセージ】
「若葉」、もうゆっくり聴きましたか? その後どうしていますか。
直接メールだとうまく言えないので、ここで。いつか見に来てくれるかな、と思って。
時間が解決してくれることはたくさんあるけど、そう簡単にはいかないことも多いです。これ、私の経験。
でも、なるべく逃げずに自分と向き合っていけば、いろんなことがこれからのあなたの力になる。それはたしかです。これも私の経験。 失敗もたくさんしてきたから言えることです。
「若葉」は泣けたでしょ? 思い当たることがたくさんありすぎるかもしれないですね。
じょうずに時間をかけて、また浮上しましょう、きっと。
ライブ、楽しんでくださいね。
【追記】(2008年11月6日11:23)
「若葉」の「涼しい風~並んで感じてた」が沁みる。見つめあうのではなく「並んで」いるところ。