2017.4.21(金)
『エジソン最後の発明』
at シアタートラム
https://edison.amebaownd.com/
作・演出:青木 豪
出 演:瀬奈 じゅん/東山 義久/岡部 たかし/まりゑ/安田 カナ/武谷 公雄/八十田 勇一/小野 武彦
先週の『朝日新聞』の劇評を読んでチケットを購入。
本来、映画評や劇評は疑ってかかるひねくれ者なんだけれど、なぜかどうしても観たくなって。どうしてなんだろう。
ここ数年、私たちの中で、(あくまでテレビ画面の中でだけど)小野武彦氏や平泉成氏の株が上昇し続けている。この方たちのキャリアを思えば、何をいまさら・・・と言われそうだけれど。
どんな役でも「現実にそこに生きている人物」を私たちに見せてくれる。演技力とかテクニックとか超えたところに存在する「何か」が必ず私をその画面の世界にいざなってくれる、ということか? よくわからないんだけれど。
その小野武彦氏のことを、その劇評がなんか褒めていたんだ。ところが、どういう表現で「褒めていた」のか、記憶にない。笑っちゃうなあ、我ながら。
でもそのときに、あ、チケットとってみよう、観なきゃ後悔すると自然に思えて、で、大好きなシアタートラムの結構いい席が手に入った・・・というわけで。
かつてスピッツのボーカルが、「たまたま時間が空いて、今夜なんかいいライブはないかな、と思って運よくチケットが取れて、で、行ってみたら結果的にsold outだった」というのがスピッツの未来の理想形だな、と言っていましたっけ(実際の表現は違っていたと思うけど)。ブレークしてチケットがとりにくくなってしまったけど、そのうち波が収まって、そんな未来に落ち着いてくれたら、いや「落ち着くんじゃないの?」と言ってたんだっけ?
まさしくそれ!です。今回の「エジソン最後の発明」。小さな箱ではあるけれど、客席はきれいに埋まっていました(瀬奈さん人気もあるのかな?)。
何かに引かれて出かけてよかったです。
青木豪氏のあの鉄砲玉?みたいな大量のセリフ劇が、なぜか心の中に届いたときにはゆったりした時の流れと人の世界の適温の心地よさを醸し出し、思わず声を出して笑ったり、ぐっときたり。
役者がみんな自然に適材適所に気持ちよく収まって、言葉のやりとりも動きも違和感なく進行する。
いびつな雰囲気が気持ちよい舞台もあるけれど、この作品はそうではない。
力の入ったときとゆったり構えたりかわしたりするときの、小野さんの絶妙な安定感が押し付けない笑いと寂寥を伝えてくれる。声量も十分、声を落としたときも腹に響く感じ、さすがだ。
宝塚出身の瀬奈さんとミュージカルでも活躍する東山さんのスマートで、でも浮き上がらないで底のところで右往左往する演技も心地よかった。
日常で私たちが求めるものや叶わないことは数多くありすぎてやりきれなくなるが、それでも諦めずに、でもがつがつせずに暮らしていく普通の人々の姿を、等身大で見せてくれる。ドラマはありふれているけれど、でもこうやって生きていく人がちゃんと守られている世の中なのかな?と、そんなことを帰りの電車で考えた。
普通の人、まさしくワタシみたいな・・・、なんだけどね。
きな臭い世の中は相変わらず煙っていて、怪しいことばかりだけど。
土曜日の「スマステーション」、風呂上がりに偶然見ちゃったんだけど、とくにファンではなくても感動してしまった。
末の弟に久々に会えてちょっとはしゃいじゃう長兄と、それがうれしいんだけど「勘弁してよ~」みたいに照れる弟と・・・な感じ。
二人とも笑顔が自然で、見ているこちらもほっこりしてしまった。
「おいしい~!!」も聞けたしね(笑)。