☆映画の旅の途中☆

色んな映画をどんどん観る旅

『希望の国』(2012)

2014年03月11日 | 園子温監督☆映画
『希望の国』(2012)

監督:園子温
小野泰彦:夏八木勲
小野智恵子:大谷直子
小野洋一:村上淳
小野いずみ:神楽坂恵
鈴木ミツル:清水優
ヨーコ:梶原ひかり
志村(町役場職員):菅原大吉
加藤(町役場職員):山中崇
産婦人科医:河原崎建三
松崎:浜田晃
田中(警官):大鶴義丹
寺山(警官):松尾諭
島田(避難する住民):吉田祐健
橋本(避難する住民):並樹史朗
ガソリンスタンドの店員 米村亮太朗
水島(避難所の人):吹越満
谷川(避難所の人):伊勢谷友介
トークイベントのゲスト:田中壮太郎
TVの中の司会者:手塚とおる
三島(洋一の同僚):本城丸裕
荒井(洋一の同僚):深水元基
林(洋一の同僚):大森博史
ひろみ(妊婦):占部房子
検問所の警官:井上肇
TVの中の官僚:堀部圭亮
海辺の父親:田中哲司
鈴木めい子:筒井真理子
鈴木健:でんでん



【作品概要】
東日本大震災以降の日本の人々の暮らしを見つめた社会派エンタテインメント。原子力発電所近辺で暮らす2組の家族の姿を通し、改めて現在、日本が直面している危機について訴える(Movie Walkerより抜粋)

【感想レビュー】
震災から丸三年が経った。鎮魂の日。
ご冥福をお祈りいたします。


この映画は、先日やっと観たのだけど、DVDを購入してまた観ました。
どうしても、園監督のコメンタリーを聴きたかったのと、この作品の夏八木勲さんをどうしてもどうしても何回も観たかったから。コメンタリーは、これからまた観ますが、作品の感想を書きたいと思います。

全編に渡り、真摯な姿勢と鬼気迫るものを感じました。
国も県も市も村も、自分たちを助けてはくれない。留まる選択だけが強さではない、逃げる選択もまた強い勇気なのだと。どう生きていくかを決めるのは家族会議でだ、という強いメッセージ。
大切な人を守るのだという強い信念と大きな愛。この逆境を乗り越えていくエネルギーは、結局は個々の愛なのだ。

そして、夏八木勲さんに、ただただ圧倒されました。こういう人物が本当に居ると思わせる迫真の演技でした。夏八木さんでなくてはこの作品は成り立たないのではないかというほど、その存在感は常軌を逸するものがありました。
痴呆を患う妻を演じる大谷直子さんは、時に無邪気、時にはすべて解っているのではないか…というその狭間を行ったり来たりする難しい役どころ。
息子を演じる村上淳さんのあえて芝居がかった大きな演技。
そしてその妻を演じる神楽坂恵さんは、一番普通に居そうなキャラクターを演じている。しかしその“普通”が、どんどんエスカレートしていく描写は、過剰なようでいて、妙にリアルだ。実際に行動に移すかは別として、ああいう心理状態に近くなった人は沢山いるはずだから。
さらに主要人物だけでなく、近所の家族や市役所の担当など、一人一人のキャラクターが深く掘り下げられているので、それぞれの視点から捉えた震災が描き出されています。

園監督作品の、他の作品でも常々思っていたのですが、映画そのものが、まるで大編成の交響曲のように感じます。それぞれの楽器が時に雄弁に、時に支え合い、重厚なハーモニーを奏でているように感じるのです。
まるで劇中使用曲のマーラの第10番のように。


原発問題がタブー視され、発言も慎重になる中で、この問題に真正面から向き合い、表現者としての情熱とアイデンティティーを映画という形にした園監督に尊敬の念を禁じ得ない。

印象的なシーンがたくさんあります。好きなシーンもたくさんあります。

希望を感じるラストでした。




最新の画像もっと見る

コメントを投稿