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『暁の追跡』(1950)

2015年10月10日 | 邦画(クラシック)
『暁の追跡』(1950)

監督:市川崑
脚本:新藤兼人
出演者:池部良、杉葉子、水島道太郎

【作品概要】
カメラを交番の中に据え、ドキュメンタリー・タッチで警官の活躍を描いたもの。のちの様式美に至る様々な手法を模索していた時代の佳作。

【感想レビュー】
新橋の高架下。行き交う列車。建物はあれど舗装されていない道路。車や人々の往来。
戦後5年ほどの作品です。癒されない心を抱えながら、そして職になかなかつけず生活苦にあえぎながら、必死に生きる人々。盗みや詐欺…多少の悪が許されなければ生きていく術がないじゃないかという弱い心につけ込む真の悪人がいる。
一方、貧しくても日々健気に働く人々もいる。。
警察の仕事とは何なのかを主人公は苦悩する。悪を罰することで犯罪が減る社会を目指すことなのか。はたまた弱い者を助けることで犯罪を減らしていく社会を作るべきなのか。
労働者の争議に駆り出される警察。思いは労働者寄りだが立場上は抑える役割をしなければならない主人公。
その苦悩する主人公を演じる池部さんは本当に素敵なのだ…これがまた

ここに恋愛要素も絡んできて、くるくると表情が変わるキュートな杉葉子さんもまた、たまらなく素敵なのです

お二人のラブシーン…池部さんのあんな甘い声で『明日から部屋さがそ、ねっ』とか言われたら失神ですね…。

気を取り直して…。

そして、街を俯瞰で映したカットに見惚れ、レンガ造りの倉庫街のような場所の廃墟でのアクションの迫力に心が踊る

画面に映る、物、人々、そのすべてが荒々しく呼吸し、逞しく生きている。戦後の爪痕はもちろんありつつもエネルギーを感じる作品でした





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