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『肉弾』(1968)

2015年10月14日 | 邦画(クラシック)
『肉弾』(1968)

監督:岡本喜八
脚本:岡本喜八
製作 馬場和夫
ナレーター:仲代達矢
出演者:寺田農、大谷直子
音楽:佐藤勝

【作品概要】
「独立愚連隊」「日本のいちばん長い日」の岡本喜八監督による戦争ドラマの傑作。特攻隊員となった若者が作戦遂行直前に与えられた一日だけの休日に体験した瑞々しい出来事を通して戦争の愚かさとそれによって踏みにじられた幾多の青春への思いをコミカルなタッチで痛切に描く。allcinema ONLINE(外部リンクより)

【感想レビュー】
うーん‼…と思わず唸るほど凄い映画でした。反戦映画です。戦中日本の愚の数々を何とも痛快に描いていて、仲代達矢さんのナレーションや寺田農さんの台詞が、時にはまったりとしたテンションで語られる。内容はシニカルだったりするけど、そのまったりとした柔らかな語り調が妙にリアルさを醸し出しています。

寺田農さん演じる主人公の氏名は一切出てこず、あいつ、兵隊さん、牛、豚、ねずみ…神などと呼ばれる。でも彼は人間になりたいのだ。特攻に出る前の最後の一日を、神様でもなく、人間らしく生きたいのだ。そんな若者がたくさん、たくさんいたのでしょうから、たまらないですね…。

“あいつ”は、最後の一日をどう過ごすか考える。活字が読みたいと古本屋に寄り、それから女郎屋へ行く。因数分解を解いたり、数式を唱えたり。文化的な生活は一体どこへ去ってしまったのか。そういった事を描きながら、でもそれでいてちょっと、いやけっこうゲラゲラ笑えてしまったりするから本当に凄い
涙涙ものよりも、かえって胸に迫るものがあります。
大谷直子さんの裸身は白く輝き、寺田農さんの細いが雄々しい肉体に、瑞々しい若さが宿る。近い未来の希望さえ断たれた青春のエネルギーが充満する。
大谷直子さんのお若い頃、ちょっと土屋太鳳ちゃんに似てらしたなぁ

古本屋のくだりの笠智衆さんと寺田農さんの掛け合いがとってもツボでした。いや、むしろツボだらけの映画だった‼


広い海でぽつっと一人、魚雷がくくりつけられたドラム缶の中で傘を差しながら寺田農さんが『21歳と6ヶ月か俺…おしまいだなぁ』と言うシーン。
ドラム缶が波に揺られ、“第二あけぼの楼”と書いてある傘の“あ”の字が眼鏡に写る。目のとこにちょうどくるから、台詞と裏腹に何ともブラックユーモアなシーンに



いやはや、何度も観たくなる作品に出会えて嬉しいです






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