■「お仲間」は公金で花見饗応の一方、国民は円安と消費税で貧しくなっただけ
・アベノミクスの本質は「かさ上げ」「円の価値を落としただけ」
ハーバー・ビジネス・オンライン 2019.11.22 <明石順平氏>
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・円の価値を落としただけ
―― 安倍政権はアベノミクスと称する経済政策を7年にわたって行ってきました。アベノミクスをどう評価していますか。
明石順平氏(以下、明石): 端的に言えば円の価値を落としただけです。
それに尽きます。
国債を爆買いして円の供給を増やした結果、市場は円売りに動き、円安が進行しました。
製造業は円安によって得したかもしれませんが、物価が上昇し、それに賃金の上昇が追いついていないため、消費は冷え込みました。
そこに消費増税が重なったため、国民の生活は非常に苦しくなってしまったのです。
これは賃金と物価の推移を見れば明らかです。
アベノミクスから5年で名目賃金は1・5%しか伸びていません。
その一方で物価は6%も上がっています。
日銀の試算によると、消費増税による物価上昇は2%なので、残る4%はアベノミクスがもたらした円安の影響です。
安倍政権は増税+アベノミクスによって物価を無理やり上げましたが、賃金が1・5%しか伸びなかったため、実質賃金は4・2%も下がってしまったのです。
これはアベノミクス前の水準に遠く及びません。
もし民主党政権が続いていれば、少なくとも国民が物価高で苦しむことはなかったでしょう。
(中略)
・アベノミクスの本質は「かさ上げ」
―― 安倍総理はアベノミクスによって有効求人倍率が上昇し、失業率が低下したと述べています。
明石:有効求人倍率の上昇も失業率の低下も、ともにアベノミクス前から始まっており、アベノミクスとは関係ありません。
アベノミクス以降もずっと改善傾向が続いているのは、金融危機が発生していないからです。
数字が悪化した時期を見ると、1991年のバブル崩壊以降、雇用はどんどん悪化していき、1997年末に発生した金融危機によってさらに悪化します。
2003年あたりから徐々に良くなりますが、2008年のリーマンショックで再び悪化します。
つまり、アベノミクス以降は金融危機が発生していないから雇用の改善が継続したにすぎないのです。
そのため、再び金融危機が起これば、雇用はまた悪化するでしょう。
しかし、失業率の急激な上昇はある程度抑え込まれるかもしれません。
というのも、日本ではとにかく高齢者が増えており、医療・福祉分野の人材不足が深刻になっているからです。
失業者はそこに吸収される可能性があります。
―― 賃上げ2%を実現したというのも、安倍総理の口癖です。
明石:安倍総理の言う賃上げは春闘における賃上げ率のことです。
そのため、当然のことながら春闘に参加した組合員しか対象になっていません。
安倍総理が根拠としている連合のデータを見ると、調査対象となった労働者の割合は雇用者全体の約5%程度にすぎません。
しかも、この賃上げ上昇率は名目値です。実質賃金上昇率を見ると、アベノミクス以降は民主党時代よりも圧倒的に低いのです。
―― とすれば、アベノミクスの効果があったと言えるのは株価くらいでしょうか。
明石:確かに株価は上昇しましたが、これは異次元の金融緩和と日銀のETF(上場投資信託)購入、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の株式投資によるものです。
要するに日銀と年金によって株価をかさ上げしているだけです。
もし日銀とGPIFが株価を買い支えることをやめれば、株価は暴落してしまうので、もはや後には引けません。
GDPもかさ上げされています。
野党はGDPかさ上げ疑惑を国会で追及し、私も『国家の統計破壊』(インターナショナル新書)などで批判しましたが、2016年12月に内閣府がGDPの算出方法を変更し、それにともない1994年以降のGDPをすべて改定したことで、GDPが大幅にかさ上げされたのです。
そういう意味では、アベノミクスの本質は「かさ上げ」です。
アベノミクスはシークレットブーツを履きながら「私は身長が伸びた」と言っているのと変わらないのです。
私たちはそのことをしっかりと認識する必要があります。(聞き手・構成 中村友哉)
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「お仲間」は公金で花見饗応の一方、国民は円安と消費税で貧しくなっただけ<明石順平氏>
ハーバー・ビジネス・オンライン 2019.11.22
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