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■「お仲間」は公金で花見饗応の一方、国民は円安と消費税で貧しくなっただけ ・アベノミクス「円の価値を落としただけ」 ハーバー・ビジネス・オンライン 2019.11.22

2022-09-02 06:12:54 | 日記

 

■「お仲間」は公金で花見饗応の一方、国民は円安と消費税で貧しくなっただけ

・アベノミクスの本質は「かさ上げ」「円の価値を落としただけ」

ハーバー・ビジネス・オンライン 2019.11.22 <明石順平氏>

https://hbol.jp/pc/206978/?cx_clicks_art_mdl=3_title

 

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・円の価値を落としただけ


―― 安倍政権はアベノミクスと称する経済政策を7年にわたって行ってきました。アベノミクスをどう評価していますか。


明石順平氏(以下、明石): 端的に言えば円の価値を落としただけです。

それに尽きます。


国債を爆買いして円の供給を増やした結果、市場は円売りに動き、円安が進行しました。

製造業は円安によって得したかもしれませんが、物価が上昇し、それに賃金の上昇が追いついていないため、消費は冷え込みました。


そこに消費増税が重なったため、国民の生活は非常に苦しくなってしまったのです。

これは賃金と物価の推移を見れば明らかです。


アベノミクスから5年で名目賃金は1・5%しか伸びていません。

その一方で物価は6%も上がっています。


日銀の試算によると、消費増税による物価上昇は2%なので、残る4%はアベノミクスがもたらした円安の影響です。

安倍政権は増税+アベノミクスによって物価を無理やり上げましたが、賃金が1・5%しか伸びなかったため、実質賃金は4・2%も下がってしまったのです。


これはアベノミクス前の水準に遠く及びません。

もし民主党政権が続いていれば、少なくとも国民が物価高で苦しむことはなかったでしょう。


(中略)


・アベノミクスの本質は「かさ上げ」

 

―― 安倍総理はアベノミクスによって有効求人倍率が上昇し、失業率が低下したと述べています。

明石:有効求人倍率の上昇も失業率の低下も、ともにアベノミクス前から始まっており、アベノミクスとは関係ありません。


アベノミクス以降もずっと改善傾向が続いているのは、金融危機が発生していないからです。

数字が悪化した時期を見ると、1991年のバブル崩壊以降、雇用はどんどん悪化していき、1997年末に発生した金融危機によってさらに悪化します。


2003年あたりから徐々に良くなりますが、2008年のリーマンショックで再び悪化します。

つまり、アベノミクス以降は金融危機が発生していないから雇用の改善が継続したにすぎないのです。


そのため、再び金融危機が起これば、雇用はまた悪化するでしょう。

しかし、失業率の急激な上昇はある程度抑え込まれるかもしれません。


というのも、日本ではとにかく高齢者が増えており、医療・福祉分野の人材不足が深刻になっているからです。

失業者はそこに吸収される可能性があります。

 

―― 賃上げ2%を実現したというのも、安倍総理の口癖です。


明石:安倍総理の言う賃上げは春闘における賃上げ率のことです。

そのため、当然のことながら春闘に参加した組合員しか対象になっていません。


安倍総理が根拠としている連合のデータを見ると、調査対象となった労働者の割合は雇用者全体の約5%程度にすぎません。

しかも、この賃上げ上昇率は名目値です。実質賃金上昇率を見ると、アベノミクス以降は民主党時代よりも圧倒的に低いのです。

 

―― とすれば、アベノミクスの効果があったと言えるのは株価くらいでしょうか。


明石:確かに株価は上昇しましたが、これは異次元の金融緩和と日銀のETF(上場投資信託)購入、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の株式投資によるものです。


要するに日銀と年金によって株価をかさ上げしているだけです。

もし日銀とGPIFが株価を買い支えることをやめれば、株価は暴落してしまうので、もはや後には引けません。 


GDPもかさ上げされています。

野党はGDPかさ上げ疑惑を国会で追及し、私も『国家の統計破壊』(インターナショナル新書)などで批判しましたが、2016年12月に内閣府がGDPの算出方法を変更し、それにともない1994年以降のGDPをすべて改定したことで、GDPが大幅にかさ上げされたのです。


そういう意味では、アベノミクスの本質は「かさ上げ」です。

アベノミクスはシークレットブーツを履きながら「私は身長が伸びた」と言っているのと変わらないのです。


私たちはそのことをしっかりと認識する必要があります。(聞き手・構成 中村友哉)


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「お仲間」は公金で花見饗応の一方、国民は円安と消費税で貧しくなっただけ<明石順平氏>
ハーバー・ビジネス・オンライン 2019.11.22
https://hbol.jp/pc/206978/?cx_clicks_art_mdl=3_title

 


■日本人は「格差拡大」の深刻さをわかっていない コロナ禍で貧困層の雇用や教育環境が一層悪化 東洋経済 2020/06/30

2022-09-02 06:12:32 | 日記


■日本人は「格差拡大」の深刻さをわかっていない

コロナ禍で貧困層の雇用や教育環境が一層悪化

東洋経済 2020/06/30

https://toyokeizai.net/articles/-/359752


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新型コロナウィルスの感染は続いているものの、多くの人々は「普通」の生活を次第に取り戻しつつある。


そんな「ウィズ・コロナ(withコロナ)」の社会状況を前に「このまま放っておくと、格差拡大が加速する」と警鐘を鳴らす社会学者がいる。

早稲田大学人間科学学術院の橋本健二教授だ。


『アンダークラス?新たな下層階級の出現』『新・日本の階級社会』などの著書を持つ橋本教授は、コロナ後のどこに危機感を抱いているのか。

 

・「リーマンショックから何も学んでいない」


橋本教授は、資本主義社会のいちばん下に位置してきた労働者階級のさらに下に、より雇用が不安定で低賃金の非正規雇用労働者らで構成される「アンダークラス」が日本で生まれたと指摘している。


これによって極端な格差が構造的に固定されるようになり、そうした状態を「格差社会」を超えた「階級社会」と定義し、その解消を訴えてきた。

橋本教授は、コロナ後の社会で最大の懸念は雇用だと言う。


とりわけ、非正規労働者の状況を危ぶむ。

「(コロナで)最も被害を受けているのは、非正規労働者です。雇用がどんどん切られている。今のところは休業で済んでいる人もいますが、期限が来たら雇い止めになる人が相当程度出てくると思います」


兆候はすでに表れているという。

厚生労働省が毎月発表している「労働力調査」によると、非正規労働者は近年、2100万人台で推移してきた。


新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言が発令された今年4月は前月より131万人も急減し、2019万人に落ち込んだ。

前年同月比で5%、前月比で6%の減少になる。非正規労働者が「雇用の調整弁」になっていることが明らかだ。


「リーマンショックのときも非正規労働者は真っ先に被害に遭いました。それが、再び繰り返されているということです。政府や企業がリーマンショックから何も学ばず、非正規労働者の身分保障を一切してこなかった、議論が全然進んでこなかった。それが露呈していると言っていいでしょう」


「社会の機能を守るために最前線に立つ『エッセンシャルワーカー』についても、医療専門職の中の正規雇用を除くと、多くが低賃金で非正規雇用といった不安定な立場です。現場に出ざるをえないがゆえにコロナ感染のリスクも高いのに、コロナ禍で、いざというときに国は助けてくれないことが明らかになりました。今後、エッセンシャルワーカーの分野では大変な人手不足に陥り、介護分野などは維持できなくなる可能性が高いです」


国や地方自治体で働く非正規公務員の問題解決を目指しているNPO法人「官製ワーキングプア研究会」は、公共サービスを担うエッセンシャルワーカーにアンケートを実施し、回答者235人の声をまとめた。


調査に回答した保育士は「正職員はコロナの特別休暇でほぼ休み(中略)、派遣は通常通どおりの出勤を指示され(た)」と訴えている。

2020年4月から適用された同一労働同一賃金の原則は「正規職員との異なる取り扱い」を禁じているが、現実はそうなっていない。

 

「潤いのない世界」が到来、学力格差も拡大


橋本教授は、自営業者の行く末も懸念する。

「とくに零細自営業者です。飲食や衣料、工芸品とかの『不要・不急』産業は作るほうも売るほうも両方、危ない。自営業者そのものはバブル期以降、大資本との競争に破れて廃業する人の数がどんどん増えていきました。ですから、自営業者の規模は1980年代をピークに縮小している。その競争に何とか耐えてやってきた自営業者が一定程度いたわけです。自営業者層の減少に歯止めがかかってきたところに、コロナショックがやって来た。再びバタバタ倒れていく状況になっています」


コロナのような外的な要因であっても、経営が立ち行かなくなった自営業者の廃業は仕方ない、との見方もあるだろう。

だが、橋本教授は、消費者の暮らしの質に影響する話だと指摘する。


「われわれの生活の最低限の部分は大企業が担えます。飲食であれば、チェーン店でお腹を満足させられる。テレビやパソコンも大企業が製造できる。でも、それを超えた部分、つまり、趣味の物や工芸品、美術品などは零細の自営業者が作り、販売してきました。それが今、経営規模が小さいというだけで、非常な危機に立たされている。これを放置すると、われわれの社会には大量生産のものしか存在しなくなるという、潤いのない世界になる恐れがあります」


子どもたちも2カ月近く、学校が休校になった。

この間、オンライン授業を模索したり、2週間おきに宿題のプリントを学校まで取りに来させたり、対応は学校によってまちまちだった。


子どもたちの学びにも「格差」が直撃したと橋本教授は言う。


「学校に毎日通うわけではなく、自宅で学習していたわけですから、自学の習慣が身に付いている子どもと、付いていない子どもの差は大きくなります。一般的に言うと、貧困層の子どもたちには、自分で進んで勉強する習慣が身についていないから、学力がどんどん低下していく。逆に中間層以上は、親が教育の大切さを子どもに教えているから、自ら学ぶ習慣を身に付けている。そのうえ、中間層以上は情報環境も整っています。学校外での教育も自宅で受けられるでしょう。ちゃんとした調査は行われていないですが、コロナ休校を機にどんどん学力格差が拡大しているのではないでしょうか。早急な調査が必要です」


「コロナによる一斉休校は、日本の教育環境の後進性を浮き彫りにしました。いまだに学校で1人1台のパソコンが配備されておらず、パソコンを自由に扱える環境ができていない。まったくできていない。中国や韓国と比べてはるかに遅れている。それが露呈したんです」

 

・「格差は競争の結果、仕方ない」で済むのか


格差は競争の結果だから仕方ない――。

自己責任論をベースにしたこの考え方は、この社会では当然と受け止められている。

その結果、格差は大きくなりすぎ、弊害も広がった。


「たとえ豊かな社会であっても、経済格差が大きいと、人々は公共心や連帯感を失い、友情が形成されにくくなり、コミュニティーへの参加も減少します。犯罪が増加し、精神的ストレスが高まるから健康状態が悪化し、社会全体の平均寿命は下がっていく。コロナ以前からそのことは指摘されてきました」


「今回のコロナで、特に海外では貧困層を中心に感染が拡大しました。しかし、富裕層が安全なわけではありません。格差の大きい社会は不健康な社会であり、富裕層だけではなくすべての人々の健康が脅かされるのです」


では、「ウィズ・コロナ」の社会で格差拡大を止めることができるのか。


「いちばん急いでやるべきことは、生活保護の要件の簡素化と手続きのスリム化です。資産をどれだけ持っているかのチェックを一切省き、頼れる親族を探せとか、仕事を見つけろとかの条件を一切なくす。ともかく、収入が激減し生活に困っているという条件だけで給付できるようにする。(社会の崩壊を防ぐ最低限の措置として)それが必要です。非正規労働者にも休業補償がある程度なされたり、労働組合も活発に動いたりしているので、問題は今のところ、大きく表面化はしていないかもしれない。ただ、生活保護の手続き簡素化などを講じないと、失業に伴う自殺者の激増も十分に考えられる状況です」

 

・所得再分配を機動的に行うシステムが必要


もう1つの火急の対策は「所得の再分配を機動的に行うシステム構築」だという。


「今回の特別定額給付金のようなことを一過性のものとしないで、ベーシック・インカムの制度として定着させればいい(ベーシック・インカム=最低限の生活を営むに足る額の現金を、国民全員に無条件・無期限で給付する制度)。ベーシック・インカムを全国民に共有させるためなら、マイナンバーと銀行口座のひも付けに反対する人もごく一部でしょう。毎月給付するかどうかは別にして、必要なときに直ちに配布できる体制を整える必要があります」


「中小企業向けの持続化給付金も1人10万円の特別定額給付金も、意思決定自体は実はそこまで遅くなかった。問題は、実行できていないこと。日本の行政システムがいかに非効率だったか、完全にあらわになりました。特別定額給付金を決めたのはだいぶ前なのに、いまだに給付が完了していない。行政システムの非効率を是正しなければ、この先、雇用も社会も持続できません」


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日本人は「格差拡大」の深刻さをわかっていない
コロナ禍で貧困層の雇用や教育環境が一層悪化
東洋経済 2020/06/30
https://toyokeizai.net/articles/-/359752


■“旧中間階級”は年収127万円減、貧困大国ニッポンの全「階級格差」データを初公開! 週刊ダイヤモンド 2021.9.6

2022-09-02 06:12:10 | 日記

 

■“旧中間階級”は年収127万円減、貧困大国ニッポンの全「階級格差」データを初公開!

週刊ダイヤモンド 2021.9.6

https://diamond.jp/articles/-/281185


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・あなたはどの階級?1億総転落の「格差世襲」地獄


もはや、日本は経済大国ではなく、貧困大国になってしまったのかもしれない。

今も日本の国内総生産(GDP)は世界3位の座にあり、辛うじて国力としての豊かさを保ってはいる。


それでも、働き手個人の豊かさがないがしろにされているという意味において、日本は貧困放置国家へ落ちぶれてしまったも同然である。


そもそも、日本で格差拡大が始まったのは、1980年ごろのことだ。

それから40年。産業別、企業別、男女別のどれをとっても、賃金格差はいまだに解消されるどころか、拡大を続けている。


日本の格差問題を固定化し、かつ深刻化させたのは、80年代から急速に労働現場に浸透した非正規労働者の存在である。

正社員が担っていた仕事の一部を、低賃金の非正規労働者に置き換えていったのだから、格差が拡大していくのは当然のことだ。


今の日本社会を、「格差社会」などという言葉で表現するのは実態を表していない。

格差社会よりもはるかにシビアな「階級社会」へ変貌を遂げていたのだ。


それは、出自や教育環境、就職時期の経済環境などによって階級が決まる「現代版カースト」ともいえる理不尽な世界だ。

厄介なことに、階級格差は親から子へ、子から孫へと世代を超えて連鎖し受け継がれていく。

世襲されることで、格差は加速度的に広がっていくのだ。

 

 

・大きな図解で日本の「新・階級社会」を解説 全5階級で年収激減の衝撃


そして、新型コロナウイルスの感染拡大は、階級格差をさらに広げる「副作用」を引き起こした。

結果、日本人の脳裏にかすかに残っていた1億総中流という意識を完全に打ち砕いてしまった。


階級格差の苛烈さは、あるデータを見れば一目瞭然だ。

橋本健二・早稲田大学人間科学学術院教授は、データを駆使して日本社会の階級構造を定点観測してきた格差問題のスペシャリストである。


今回、橋本教授の協力を得て、コロナショック前後で世帯収入、貧困率、働き方がどう変わったのかを徹底検証した「階層調査データ」を初公開する。

それによれば、〝格差世襲〟を裏付ける衝撃の事実が明らかになった。


データの詳細解説に入る前に、階級の分類について説明しよう。

橋本教授は、日本社会を形成する階級を、職種や雇用形態などにより五つに分類してきた。

血統や資産を持つ「資本家階級」、大企業エリートやホワイトカラーなどの「新中間階級」、自営業者や家族経営従事者などの「旧中間階級」、単純作業やサービス業・販売業などの「正規労働者」、非正規労働者の「アンダークラス」の5階級がそれだ。


今回のコロナ危機が、それぞれの階級に属する人々にどのような生活・働き方の変化をもたらしたのか。

2021年の1月から2月にかけて実施した「三大都市圏調査」で明らかになった。


その結果、コロナショックを境に、資本家階級からアンダークラスまでの全5階級において、年収が激減するという衝撃の結果が導き出された。

ただし、コロナによる「打撃度」には、階級によって大きなばらつきがあった。

 

 

・自営業の「旧中間階級」年収127万減!旧中間階級は中流から滑り落ちた


端的にいえることは、コロナ禍は人々に平等に襲い掛かったわけではないということだ。

二つの階級──、旧中間階級とアンダークラスに集中砲火を浴びせた。


とりわけ打撃が大きかったのは旧中間階級だ。

世帯の平均年収が19年には805万円あったのに、20年には678万円。


わずか1年で年収が127万円も激減した。

19年は新中間階級(863万円)と肩を並べるレベルだったのに、20年は正規労働者並み(644万円)まで落ち込んでしまった。


完全に「中流」から滑り落ちてしまったのだ。

アンダークラスの惨状も厳しいものがある。


もともと低賃金労働が多い階級ではあるのだが、20年の世帯の平均年収は393万円と400万円の大台を切ってしまった。

世帯収入の減少率12.0%と旧中間階級の15.8%に次いで落ち込みが激しい。


貧困率でも、旧中間階級とアンダークラスの厳しさは一目瞭然だ。

貧困率とは、低所得で経済的に貧しい状況にある世帯の割合を示す指標のことをいう。


20年の貧困率では、旧中間階級20.4%、アンダークラス38.0%と高止まりしている。

負の影響が偏った背景には、その階級の人々が従事している業種特性がある。


橋本教授は「緊急事態宣言などコロナ対策では、さほど説得力のあるエビデンスもないのに、飲食店、とりわけ酒類を提供する飲食店が狙い撃ちされた。

その上、十分な補償も行われなかったため、旧中間階級が経営難に陥った」と解説する。


また、旧中間階級には、装飾品や衣服、家具など不要不急のものを扱う自営業者も多く、やはり経営難に陥っているケースが多い。

そして、これらの飲食店や小売店には、非正規労働者が多く働いている。


だからこそ、この二つの階級が打撃を受けたのだ。

ただでさえ、旧中間階級では自営業者の衰退が進んでいる。


アンダークラスに至っては、貧困層の拡大に歯止めがかからず、経済的苦境に置かれている労働者は多い。


一方で、コロナ禍が新中間階級と資本家階級へ与えた負のインパクトは世帯の平均年収が下がったとはいえ、比較的軽微だった。

そのため、資本家階級・新中間階級と、旧中間階級・アンダークラスとの「階級格差」はますます広がっていくことになる。

 

 

・リストラ、教育無償化…同じ階級間での椅子とりゲーム


週刊ダイヤモンド9月11日号表紙『週刊ダイヤモンド』9月11日号の第1特集は、「新・階級社会 上級国民と中流貧民」です。

日本社会“階級化”は、異なる階級間の格差を助長するだけではありません。


同じ階級間の争いも勃発します。

ある会社員が今いる階級にとどまろうとすると、同じ階級に属している別の会社員を蹴落としてしまうといった事態も起こっています。


一番分かりやすいのが、大企業のリストラです。

今回の階層調査では、最も影響が軽微だったのが新中間階級。


でも、彼らの将来の見通しが決して明るいわけではありません。

ホンダやパナソニックなど、かつてのエリート大企業が、まだ財務的余裕のある段階で、早期退職プログラムを導入し、生産性の低いシニア社員を標的にリストラを敢行しています。


リストラは、ある意味、同じ組織内におけるポジション争い。

中高年を退出させて空いたポストに若年層を配置するための強制手段だともいえるからです。


すでに、「階級内闘争」が始まっているということなのです。

大方の日本人の中流意識が崩壊していたとはいえ、新中間階級には大企業エリートが多く、自身を〝中の上〟と認識しているホワイトカラーは少なくない。


その認識がいつ崩れても不思議ではないのが実情です。

また、かつてこんな話もありました。


19年から順次始まった教育の無償化(幼児教育、私立高校、高等教育の無償化)が導入されるとき文部科学省に、子を持つ親世代からクレームが入ったといいます。

「国費で教育支援をするとは何事か。


うちの子のアドバンテージがなくなってしまうではないか」という、身勝手なクレームです。

今や、親が子に授けられる最も確実な資産は「金よりも教育」とされる時代。


これもまた、見えと嫉妬に満ちた、中流間での階級闘争だといえます。

自営業者の衰退、貧困層の拡大、エリートの転落、教育の椅子取りゲーム──。


ほんの一握りの資本家階級を除き、全階級で下降圧力が強まっています。

日本社会は、血脈・血統を持つ一握りの上級国民が統べる「新・階級社会」へ変貌を遂げました。


これが日本型「カースト」の偽らざる実像なのです。


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“旧中間階級”は年収127万円減、貧困大国ニッポンの全「階級格差」データを初公開!
週刊ダイヤモンド 2021.9.6
https://diamond.jp/articles/-/281185