宮野の日2016

　本日はコ哀の日、灰原の日と並ぶ三大記念日、宮野の日であります。

　というわけで以下は今年の宮野の日、小話です。


「あら、ミモザの花じゃない」
「ん？ホントだな。珍しいなこんな商店街の花屋にあるなんて…ああ、今日は『ミモザの日』か」
「なるほど。バレンタイン、ハロウィンの次は『ミモザの日』ってことね。せっかくだから探偵事務所の彼女に買って帰れば？」
「バーロー。オレは菓子屋とか花屋の陰謀には踊らされねーんだよ」
「まあ、工藤君にイタリア男性の情熱を期待した私が間違ってたわ。でも綺麗ね。見事に咲いてるわ」
「あん？オメーでも花とか女の子みたいなことに興味あんのか？」
「貴方、本当に一度イタリアでデリカシーを学んできた方が良いんじゃない？」
「あ、いや、その…すんません」
「……お姉ちゃんが亡くなる前によく買っていたのよ。『フランスでは春を告げる希望の花なのよ。素敵でしょ？』って言ってたけど、もしかしたらこの花に何か託したいものがあったのかもしれないわね」
「……」
「ミモザの花言葉は『秘密の恋』……なんて、まさかね。あら、もうこんな時間。急いで帰らなきゃお腹を空かせて博士が間食しちゃうわ。それじゃ、工藤君」
「あ、ああ。またな」


「ただいま。…あら、博士。ミモザの花なんてどうしたの？」
「おかえり、哀くん。昼間に昴君がきて、「おすそ分けに」と置いていったんじゃよ」
「……ずいぶん、珍しいわね。いつもはやたらと煮込み料理ばかりなのに」
「工藤家の庭に咲いておるのじゃと。なんでもフランスでは『春を告げる希望の花』らしいぞ」
「え？」
「いや、昴君がそう言っておったんじゃよ。そういわれるとこの黄色が何とも華やかじゃないかね」
「………そう、あの人が。………ねえ、博士。早く春が来ればいいわね」
「なに、もうすぐじゃよ」