タイトルどおり、西部の女ガンマン、カラミティ・ジェーンの少女時代を描いたフランスアニメ。
こういう一味変わった作品はちゃんと見ておかないと、劇場公開も短い上、なかなか配信他にかからなかったりする。
案の定、日曜日の鑑賞を予定していたら、他の映画の舞台挨拶中継とかぶってしまい、時間変更に気づいたのはほんの1時間前というあわただしい事態。あやうく見逃すところ。
さて、主人公は後にカラミティ(疫病神)と呼ばれることになるマーサ・ジェーンが西部開拓団のひとりとして幌馬車隊で旅しているところから始まる。
NHK Eテレの番組を思わせるような原色で彩られたアニメは、いかにもフランス的で新鮮。最初は違和感も覚えたりするが、すぐに慣れる。
マーサは父と幼い妹弟で旅しているが、父がケガをしたことや元々男勝りの性格だったこともあり、当時としてはご法度だった「女だてらに男の仕事」に挑むようになる。已む得ないとは言え、その行動はやがて開拓団の中で目を付けられるようになる。
ここで西部での生活やサバイバルについて、一から学ぶマーサが描写されているのは、なかなか興味深い。
これまでの西部劇だと「当たり前」のこととして描写されなかった日常生活や必要なギアがちゃんと描かれているのは感心するし、逆に「この世界の片隅に」でも分かるようにアニメの強みなのだと思う。実写だと背景の中に隠れてしまう日常生活の光景が上手く強調されている。
マーサと同じ素人の立場として観客も西部の生活を追体験しているわけだ。
開拓団に騎兵隊の斥候が来たことでマーサの人生は一変し、その後、開拓団を離れて旅をする中、小悪党、ハンター、保安官、騎兵隊、女鉱山主などが登場し、西部劇を盛り上げる。
やがて悪党とマーサの銃撃戦に発展し、最後は一対一の決闘・・・とはならず、劇中銃声は3回くらいしか聞こえない。
のだが、現代風にアレンジしたストーリー展開はなかなかいい。根底に流れる「人間には見た目と違う本当の素晴らしさがある」というアプローチは完全に21世紀の映画。
あと、日本語吹き替え版なのだが、これもなかなか良くて違和感が全然ない上、エンディングソング(日本語版)が実に素敵で、ちょっと感動してしまう。ぜひ普通に手に入るようにしてほしい。
ところで、弟の名前がエーリジャ。Elithaなのだが、イライジャとかエリジャって言わないと違和感あるなあ。
題名:カラミティ 原題:Calamity, une enfance de Martha Jane Cannary 監督:レミ・シャイエ |
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