kamacci映画日記 VB-III

広島の映画館で観た映画ブログです。傾向としてイジワル型。美術展も観ています。

グリーンブック

2019年03月03日 | ★★★★☆
アカデミー作品賞を取った本作、その効果で朝イチにも関わらず劇場はムチャ混み。

1960年代アメリカ、人種差別政策が根強く残る南部にツアーすることになった黒人ピアニストと彼の運転手兼用心棒役を務めることになったマーティン・スコセッシのギャング映画にでてきそうなイタリア人の二人のロードムービー。(なんと実話ベース)

車での二人旅といえばハリウッドらしいし、今の世情を上手く劇中に反映させているあたりもハリウッドらしい。
なかなか受け入れがたかった二人が旅と事件を通して、お互い理解を深め、人間的にも向上していくのがロードムービーの醍醐味だが、その王道とも言える。
今のご時世から言えばアカデミー賞向きだったか。

今回、主人公のバティ二人のキャラクターが秀逸で、これまでロードムービーだと二人の性格が何となく典型的に色分けされていたり、主従関係がはっきりしていたりしたが、
今回は
黒人ピアニストが高学歴、芸術家、政治的、信念型、高収入、孤独
イタリア人運転手が大食漢、ガサツ、口八丁手八丁、現実的、家族友人多し
とクラスターが多く、ある意味、ちょっと先が読めない。

二人が出会うトラブルの多くは人種差別にまつわるものなのだが、悪と断じて正論で乗り切るか、清濁併せ呑みながら上手く場をこなそうとするかの、そのせめぎあい話を面白くしている。その過程でふたりのパワーバランスもシーソー型で行ったり来たりする。

キャラクター造形とストーリー展開が上手く、最後まで退屈することがないし、お互い二人のさりげない優しさに何度か涙してしまう。

実は、先日50歳になったが、この歳になっても(なったからこそ?)今まで体験してこなかった世界の二人が知り合うシチュエーションってなかなか憧れるよな。

ヒネリのきいたセリフの妙味もあるし、味気ない場面はぶった切るカット割の潔さもいい。

あと、この映画、とにかくやたら出てくる物を食べるシーンが印象的。体感的には映画の70%は食事シーン。
それもサンドイッチやピザ、フライドチキンとやたらジャンクなのだが、気取ってなくてすこぶるうまそう。空腹時に見るような映画ではない。(笑)

ところで、後づけで知ったが監督はピーター・ファレリー。ギリギリのコメディ「ふたりにクギづけ」もコンビ愛に満ちてたよな。







題名:グリーンブック
原題:GREENBOOK
監督:ピーター・ファレリー
出演:ヴィーゴ・モーセンテン、マハーシャラ・アリ
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