kamacci映画日記 VB-III

広島の映画館で観た映画ブログです。傾向としてイジワル型。美術展も観ています。

サッドヒルを掘り返せ

2019年05月09日 | ★★★★☆
日時:5月6日
映画館:八丁座
パンフレット:A5版700円

マカロニウエスタンの代表作にして傑作のひとつ「続・夕陽のガンマン」のクライマックス、サッドヒル墓地のロケ地を発見し、再現し、現地で同作の上映会を開催するまでのドキュメンタリー映画。

映画は大きく2部で構成されており、ひとつはスペイン人の「続・夕陽」ファンたちがロケ地を再現するパート、もうひとつは当時のスタッフや映画研究家たちが「続・夕陽」の素晴らしさを解説してくれるパート。

後者にはイーストウッドをはじめ、モリコーネ、フレイリング先生、ジョー・ダンテ(「続・夕陽」パート2の監督話があったらしい。)などお歴々というか、顔なじみのメンバーがずらり。(笑)
だいたいどこかで聞いたような話(35年もマカロニファンをやっていれば当然だ)なのだが、当時、映画撮影に積極的に協力していたスペイン軍のOB兵士にマイクを向け、当時のスナップ写真を見せてもらうというのは予想していなかった斬新なアプローチ。こういう時、近場の映画監督はいいなあ。(笑)

もう一方のロケ地の再現は基本的に土掘り。呼んでくれたらスコップ片手に行ったのに。と思ったら、この当時、ワタシは広島の災害現場で土砂をすくっていた。

再現作業開始はほんの4年前。こちらは20年前からマカロニ大会をやっているぜ。でも、再現されたサッドヒル墓地での「続・夕陽」上映会は羨ましく、その盛り上がりには涙が出てくる。
ロケ地は教会で、ロケ地探訪は巡礼であり、信じる心には神が降臨するという指摘は的確だ。

アルメリアとブルゴス、いつかは行かねばなるまい。

ところが、本作、ドキュメンタリー映画として面白いかというと、いささか冗長。土を掘っている場面とドローン空撮の時間が長く、退屈してしまう。
展開も一本調子で、できれば麗しい話だけでなく寂しい話、50年間にあったマカロニウエスタンの衰退とロケ地が忘れ去られていく様には触れてほしかった。

また、インタビュイーとインタビュー内容が一般的すぎて、もっと掘り下げたり、方向性の違う面白い話を引き出せたのではないかと思う。メタリカのジェイムズ・ヘットフィールドのインタビューも悪くはないのだが、人選が疑問。
ワタシの友人のマカロニロケ地研究家のGARRINGO H田氏とかマカロニ銃器研究家のK臼氏の話なんか、もっと可笑しいし、心底バカだなあと呆れてしまう。(誉め言葉)

もし、ワタシに同じインタビュイーと同じ撮影時間、同じ素材があったとしても、全く別の、もっとコミカルテイストなドキュメンタリーにしてしまうだろうな。

ところで、サッドヒル墓地での「続・夕陽」屋外上映会、みんなキャンプチェアーで鑑賞。いくら好きでもキャンプチェアーにあの時間はもはや無理(笑)







題名:サッドヒルを掘り返せ
原題:SADHILL UNEARTHED
監督:ギレルモ・デ・オリベイラ


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