kamacci映画日記 VB-III

広島の映画館で観た映画ブログです。傾向としてイジワル型。美術展も観ています。

レスラー

2009年07月09日 | 洋画(普通、まあまあ、及第点)
日時:7月8日
映画館:サロンシネマ
パンフレット:B5版700円。

ワタシは、「恋愛小説家」や「サイドウェイ」、「結婚できない男」のように「ダメ男とささやかな幸せ」の話が大好きだ。社会的になじめない、笑うに笑えない「痛さ」に親近感を持つんだなあ。痛車ならぬ、痛者。

ミッキー・ローク奇跡の復活と言われる「レスラー」もダメ男と「痛い」話。しかし、ここで言うところの「痛い」は見た目の振る舞いとか精神的なものじゃなくて、文字通り肉体的な痛み。

20年前にピークを迎えたが、現在はトレーニング+各種薬剤で文字通りボロボロになりながらも現役にしがみつく様は、痛々しいことこの上ない。

さらにステージはド田舎の市民センター。歓声を上げる観客も近所のホワイト・トラッシュで、チラシやリングで使う小道具もショボくて、セコい。充満したドサ回り感。

カメラはそんなズタボロなミッキー・ロークを追いかけ続ける。多用される1シーン1カットが緊張感を高め、周囲の雪が残る寒々とした景色が雰囲気を盛り上げてくれる。(盛り下げてくれる?)
彼にささやかな愛情を傾けるストリッパー(背中にタトゥー入り)役のマリッサ・トメイの演技も素晴らしい。

ここでのミッキー・ロークはダメ男というより、一本気なバカなんだよな。周囲の世界になじめず、その世界でしか生きていけない男。傍目には理解しがたい世界でも、そこが死に場所な男。
実はプロレスには全然、興味がないんだけど、全てが終わる場所で「あそこがオレのいる世界だ。」とタンカを切る場面なんて、涙が出てしまったよ。

ちょうど最近、「ワイルド・バンチ」とか「ローリング・サンダー」とか死に場所探しみたいな映画が続いたなあ・・・。
題名:レスラー
原題:THE WRESTLER
監督:ダーレン・アロノフスキー
出演:ミッキー・ローク、マリッサ・トメイ
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