女性にとって、殊に主婦にとって、食事の支度は重い足かせである。
もちろん作る楽しみはある。
が、そうでないときもある。
たとえば自分が食べたくないときも作らなければならない。
ほかの用があるときも作らなければならない。
食べるだけの人は
作るまでの
献立を考えること、買い物をすること、下ごしらえをすることなどの手間は知らないから、
料理は手品のように出てくるものだと思っている。
それで私が食事の支度をしたのを後目に
他の女性から電話があったりしたら喜び勇んで飛び出したりする。
それを咎めると家を出て別居したりもする。
ということもあった。
また作って待っているのに、
他の女性と一緒に映画を観て焼き肉を食べて帰ったこともあった。
が、当の本人は大したことではないと思っている。
それはその人が食事の支度の大変さを知らないからだ。
昨日も、夫は朝からテニスに行った。
昼過ぎに帰宅して、たっぷりの昼食を摂った。
その後、夕方になっても食堂にこないから、私はずっと待った。
結局朝まで降りてこなかった。
朝、そのことを言うと、
昨日はテニスで疲れたから、昼食後、仕事をして、そのまま朝まで寝てしまったと
悪びれず言う。
「夏は食欲もあんまりないしなあ」とも。
夏は食欲がなくなるのは私も同様である。
が、私は食事を作らないというわけにはいかない。
それを言うと、「じゃ、作らなくていい」という。
そういうわけにはいかないでしょ。
野菜中心の献立にしただけで、「肉を食わせろ」と怒鳴ったりする人に
そんなことできるわけないじゃない。
すると夫は、たまには外食したらいいという。
と言いながら、仕事の忙しいときは外食どころではないことは
本人が一番わかっているはずだ。
それに外食ばかりすると家計に負担が大きすぎる。
夫は時間があれば仕事しているが、
それほど儲ける仕事をしているわけではない。
半分は楽しみを兼ねてやっているようなところもある。
それでいて、何か言うと、「俺には仕事がある」と宣う。
ええ、そうですとも、私は甲斐性なしの妻でございますから。
が、夫には無料に見えるかもしれない家事はしている。
昨日もテニスで汗みどろになった夫のテニスウエアは時を置かずに洗った。
すぐに洗わないと臭くなるから。
掃除が行き届かないと言われるが、
私も一日中独楽鼠のように働くほど若くもないし元気でもない。
こうしてblogも書きたい。
でなきゃ、何のために生きているかわからなくなる。
私は友人達とおいしいものを食べ歩いたりはしない。
近所の人たちと噂話に興じたりもしない。
家事の片手間に書くblog書きくらいは許してほしい。
と、ここまで書いて夫への鬱憤は少し晴れた。
やはり私にはblogは必需品である。
*
★鬱憤は歌にするなり記事にして吐き出さむかな鬱になる前
★好きなことしてゐる君にストレスは溜まらず耐えるわれには溜まる
★足かせは三度の食事作りなり時間がくれば立つ台所
★降りてきて食べて終はりの夫には食事作りの手間は見えずも
★手間よりも時間のかかる献立の頭脳労働目には見えねど
★手品ではあらざる料理手間かける前に頭を使ひてをりぬ
★何気なく主婦はこなしてゐるけれどここまでくるのに何年の労
★外食にすれば頭は空つぽでただ食べるだけ片付けもせず
★外食にすれば残れる物も出ず夏は腐敗の心配もなし
★外食のメリットここに極まるや三度の食事の束縛とけて
★お金さへあれば女は解かれたし三度の食事作りそのほか
たまに外食するよりも、
主婦の私は、たまには主婦の仕事をねぎらってほしい。