葦は、河川や干潟の湿地帯に生育し、広大な域に茂みををつくる植物です。
茎の中は空洞のため、日本でも昔よりよしず(葦簀)として利用されてきました。
またクラリネットやサックス、オーボエなどの木管楽器のリード(Reed)として使われる植物です。(※もともとReedとは葦のこと) そしてチャイコフスキー作曲のバレエ音楽『葦笛の踊り』の葦笛とは、まさに葦でできた笛のこと。
音楽的な面のみならず、文学的にも『葦』と言う植物は昔より頻繁に出てくるようで、百人一首や万葉集にも葦を詠んだ歌が多く見られます。
ヨーロッパにおいて『葦』とは、どんな植物として捉えられているのでしょうか。
ことわざや有名な哲学者パスカルの名言(「人間は考える葦である」)にも出てくるように、弱さを人間性の一面と見る向きがあるようです。しかし、一方では「アシが矢となる」ということわざがあり、実際にその茎の特性から矢として使用されていたようです。つまり、ヨーロッパにおいてアシは弱さと同時に強さの存在とされていました。
第2曲 葦の歌 ~ Schilflied ~
原詩:Nikolaus Lenau(ニコラウス・レーナウ)
Auf geheimem Waldespfade
秘密の森の小道の上を
Schleich' ich gern im Abendschein
私はひっそりと歩いてゆくのが好きだ 夕暮れの中
An das öde Schilf gestade,
誰もいない葦原へと。
Mädchen,und gedenke dein!
少女よ、そしてお前を思うのだ!
Wenn sich dann der Busch verdüstert,
森が暗くなるとき
Rauscht das Rohr geheimnisvoll,
葦は意味ありげにざわめく。
Und es klaget und es flüstert,
そして嘆き、ささやいている。
Daß ich weinen,weinen soll.
私は泣くのだ、泣かねばならぬのだ。
Und ich mein',ich höre wehen
そして私は思う、私は今聞いているのだと。
Leise deiner Stimme Klang,
静かなお前の声の響きを
Und im Weiher untergehen
沼の中に沈んでいく。
Deinen lieblichen Gesang.
お前の愛らしい歌声は。
秘密の森の小道の上を
Schleich' ich gern im Abendschein
私はひっそりと歩いてゆくのが好きだ 夕暮れの中
An das öde Schilf gestade,
誰もいない葦原へと。
Mädchen,und gedenke dein!
少女よ、そしてお前を思うのだ!
Wenn sich dann der Busch verdüstert,
森が暗くなるとき
Rauscht das Rohr geheimnisvoll,
葦は意味ありげにざわめく。
Und es klaget und es flüstert,
そして嘆き、ささやいている。
Daß ich weinen,weinen soll.
私は泣くのだ、泣かねばならぬのだ。
Und ich mein',ich höre wehen
そして私は思う、私は今聞いているのだと。
Leise deiner Stimme Klang,
静かなお前の声の響きを
Und im Weiher untergehen
沼の中に沈んでいく。
Deinen lieblichen Gesang.
お前の愛らしい歌声は。
Youtubeより
Schilflied aus"Sieben frühe Lieder"
Anne Sofie von Otter(Ms.)
Wiener Philarmoniker
Claudio Abbado(Con.)
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