川崎中1(上村遼太さん)殺害事件 主犯格少年 第2回公判 2016/2/3 被告人質問②「死刑、覚悟はあります」

2016-02-03 | 少年 社会

 産経ニュース 2016.2.3 12:25更新
【川崎中1殺害】被告人質問2日目詳報(1)検察側が質問開始「上村君は3、4回謝っていた」それでも許さず、殺人現場の河川敷へ
 《川崎市川崎区の多摩川河川敷で平成27年2月、市立中学1年、上村(うえむら)遼太さん=当時(13)=が殺害された事件で、殺人などの罪に問われたリーダー格の少年(19)=同(18)=の第2回公判が3日、横浜地裁(近藤宏子裁判長)で始まった。被告は2日のときと同じとみられる濃いグレーのスーツ姿で出廷した》
 《2日の初公判では検察側の冒頭陳述などから、事件の経緯、凄惨な犯行内容が明らかになった。被告は事件の約1カ月前、一緒に遊んでいた上村さんらが待ち合わせ場所だった日吉駅(横浜市)に約1時間遅れて到着したことに立腹。普段から上村さんが年下なのに生意気だと感じていたこともあり、青アザができるほど上村さんの顔を殴りつけた》
 《上村さんへの暴行を知った上村さんの知人グループが自宅に押しかけたことで怒りを募らせた少年は上村さんを呼び出し、仲間の少年2人=傷害致死罪で起訴=と一緒に刃物で切りつけたとされる》
 《2日に行われた弁護側の被告人質問では「痛めつけてやろうと腕や脚を切るうち、首を切ったら死ぬかなと思った」と説明。事件が表面化し、上村さんの知人グループから報復を受けたり、逮捕されたりすることを恐れたとし、「最後に自分が切りつけたところで上村君は動かなくなった」などと語っていた》
 《この日の第2回公判は、冒頭から検察側の被告人質問が始まった。証言台に座る被告の斜め前の男性検察官が立ち、被告と周囲の人間関係について尋ねる》
 検察官「(共犯として傷害致死罪で起訴された少年の)Bとは平成26年3月ごろに知り合ったの?」
 被告「はい」
 検察官「遼太君と知り合ったのは平成26年12月下旬、友達の紹介で知り合った?」
 被告「はい」
 検察官「どういう付き合いだった?」
 被告「ゲームセンターで遊んだりしていました」
 検察官「君の家にいったことは?」
 被告「1回ぐらいあります」
 検察官「遼太君のことを何と呼んでいた?」
 被告「カミソンと呼んでいました」
 《上村さんは周囲から「カミソン」のニックネームで親しまれており、被告も同様に呼んでいたことになる。一方、上村さんは被告を君付けで呼び、敬語を使っていたという》
 検察官「上村君はどういう人だった?」
 被告「おもしろい人でした」
 検察官「ほかには」
 《悩んでいるのか、少し間を置いた後、被告が答える》
 被告「距離とかなく接する子でした」
 検察官「君になついていたのでは」
 被告「(上村さんが)みんなと親しくしていたので、なついていたかもしれない」
 《検察官は殺人事件の約1カ月前、被告が待ち合わせ場所だった日吉駅(横浜市)に約1時間遅れた上村さんに立腹し、青アザができるほど顔を殴りつけた『日吉事件』について言及していく。日吉事件後、上村さんから暴行被害を聞いたX兄弟ら知人グループが被告を問い詰めたり、被告宅に押しかけたりする事態となり、そのことに怒った被告が殺人事件に及んだことが検察側の冒頭陳述などから明らかになっている》
 検察官「どのくらいの強さで殴った?」
 被告「思いっきりは殴ってないです。普通な感じでやりました」
 検察官「青タンができる強さは分かるよね?」
 被告「はい」
 検察官「どれくらいの強さならできるの?」
 被告「結構、なぐったりしました」
 検察官「年下を殴るのに躊躇はなかった?」
 被告「少しありました」
 検察官「どうして殴った?」
 被告「怒っていて、そのままやってしまいました」
 《検察官は上村さんから被告の無料通信アプリ「LINE(ライン)」のアカウントを聞き出すなどしたとされるX弟について質問していく。上村さんがアカウントを教えたことも、殺人事件のきっかけのひとつになったとされている》
 検察官「遼太君はX弟について、どう言っていた?」
 被告「よくケンカをしたり、周りに嫌われているとか聞きました」
 検察官「X弟は遼太君にとって怖い先輩?」
 被告「たぶんそうだと思います」
 検察官「怖い先輩だからアカウントを教えたと考えなかった?」
 被告「後になって気づきました」
 検察官「いつ? 事件より前?」
 被告「事件より後です」
 《当時のやり取りについて言及しているBの供述調書の内容を引用しながら、質問を重ねていく》
 検察官「(アカウントを教えたことについて)遼太君が『すみません』と言ったことは記憶にある?」
 被告「たぶん言われたと思います」
 検察官「君は『別にいいよ』と言った?」
 被告「言ったと思います」
 検察官「謝って、許したなら、それで良かったのではないの?」
 被告「その場では許したが、後で(ラインに)連絡がくるようになり、イライラしました」
 検察官「X弟の調書では遼太君は日吉事件について聞かれても隠そうとしていた。事件当時、知っていた?」
 被告「知らなかったです」
 検察官「積極的にチクって(ばらして)いない。そのことで腹を立てていたことをどう思う?」
 被告「もっと話を聞いておけばと思います」
 《検察側の冒頭陳述などによると、殺人事件当時、被告は自身がいることを伏せて上村さんを呼び出して合流。日吉事件を周囲に話したことを認めた上村さんを殴ったとされる》
 被告「殴る前に認めたので腹が立ちました」
 検察官「認めたなら、それでいいのではないか」
 被告「最初ウソついたり、隠したりしていたから腹がたった」
 検察官「殴った後に(上村さんは)謝った?」
 被告「はい」
 検察官「何回ぐらい謝っていた?」
 被告「3、4回謝っていました」
 検察官「話そうとは思わなかったのか」
 被告「そのときは思っていなかったです」
 《被告は謝る上村さんを許さず、「ヤキを入れるため」として殺人現場となった人気のない河川敷へと連れていく》
 =(2)に続く

2016.2.3 13:42更新
【川崎中1殺害】被告人質問2日目詳報(2)上村さんの知人の「倍返しが怖くて」 事件の表面化恐れ殺害
 《川崎市川崎区の多摩川河川敷で市立中学1年、上村(うえむら)遼太さん=当時(13)=が殺害された事件の裁判は、検察官による被告人質問が続いている。質問内容が事件当日のカッターナイフを使用して切りつける場面に移ると、声が震える場面が増え被告の左肩が徐々に下に傾いていった》
 検察官「護岸の斜面で話していて馬乗りになったのはどうして」
 被告「(被告とトラブルになっていた)Xたちに(上村さんを殴ったことを)話したというのと、賽銭(泥棒の件を)人に話したというのを聞いた流れです」
 《被告は2日の弁護側の被告人質問で、被告や上村さんらが賽銭泥棒に手を染めていたと述べていた》
 検察官「腹立つことを何か言われた?」
 被告「そういうこと(1カ月前に暴行を加えていたことや賽銭泥棒など)を関係ない人に言ったことに腹が立ちました」
 検察官「君が遼太君に言ったセリフで覚えているものは?」
 被告「『何でそんなこと言うんだよ』って」
 検察官「遼太君は?」
 被告「『すみません』と謝っていたと思います」
 検察官「共犯者Cは(上村さんに)何か言っていたの?」
 被告「『調子のってんだよ』って」
 《Cは傷害致死罪で起訴されているが、関与を否認している》
 検察官「カッターを使うことになった状況を説明してくれる?」
 被告「馬乗りになった後、Cがカバンからカッターを取り出してきて、(自分が)受け取って上村君の頬を2、3回切りました」
 検察官「Cは何か言っていた?」
 被告「言ってないです」
 検察官「(カッターナイフを渡されて)どういう風に思った?」
 被告「どうも思ってないです」
 検察官「どういうつもりで受け取ったの?」
 被告「脅すつもりで受け取りました」
 検察官「Cは君に差し出してたの?」
 被告「はい」
 《質問が争点となっている殺意の強さに関して移ると、言葉を発する前に「あー」と口にするなど、言葉を探すような様子が増えていく》
 検察官「どうして殺してやると思ったの?」
 被告「よく喧嘩とかで殺してやると思う(のと同じような)気持ちで思った。怒ってて、冗談みたいな感じです」
 検察官「頬を切った後にそういう気持ちになったのは何で?」
 被告「よく覚えてないです」
 検察官「その後、足や腕を切った?」
 被告「はい」
 検察官「痛めつける気持ちで?」
 被告「はい」
 検察官「首を切ったのはどうして?」
 被告「首を切ったら死ぬと思って。首には結構大きな血管とかあるし、切ったら死ぬかなと思いました」
 検察官「この時点で死ねばいいと思っていた?」
 被告「強くは思ってないです。衝動的だと思います」
 検察官「当時の感情を説明できる?」
 被告「あー、難しいです」
 検察官「(カッターナイフで首を切るときは)力が入らなかった?」
 被告「はい。自分にはやっぱりできないなと。首を切って殺すとか」
 検察官「首を切ったとき遼太君の様子はどうだった?」
 被告「普通に立ってて、黙ってました」
 検察官「切ったとき言葉を発さなかった?」
 被告「何も話してないです」
 検察官「切ったときに『うっ』って言った記憶は?」
 被告「あります」
 検察官「何回くらい」
 被告「2~3回くらい」
 検察官「最初は力が入らなかったら特に声はあげなかったのかな?」
 被告「はい」
 《2日に行われた弁護側の被告人質問で、被告は少年B=傷害致死罪で起訴=とCに切りつけを指示したことについて「自分の代わりに切ってほしいというのと、止めてほしいという気持ちが半々くらいだった」と述べていた。検察官はことを念頭に、その気持ちがあったのかを確認していく》
 検察官「(Cにカッターナイフを渡した後)Cはすぐにやったの」
 被告「いや、(Cから)『もう少しやれよ』と言われて、もう一回やって代わりました」
 《Cは関与を否定しており、被告とCの言い分は食い違っているといえそうだ》
 検察官「止めてほしいなら、一回断わられたときがやめどきだったんじゃない?」
 被告「今はそう思うんですけど、その時は『もう一回やらなきゃいけないかな』と思ってやりました。(Cから)『もう少しやれよ』って言われたから、もう一回やれば代わってくれるかなって」
 検察官「Cに止めてほしいって気持ちは本当にあったの?」
 被告「ありました」
 検察官「共犯者Bに代わった時のやりとりを教えてくれる?」
 被告「(被告が)『やれよ』って言って(Bが)『できない』と言うやり取りを2~3回しました」
 検察官「なぜBにもやらせようとしたの?」
 被告「自分の代わりにやってほしいと思いました」
 検察官「Bに対しても止めてほしい気持ちと半分半分だった?」
 被告「はい」
 検察官「止めてほしいという気持ちがあったならなぜ何度も『やれよ』と言ったの?」
 被告「あとに引けない気持ちがあったので。傷が残ったりして救急車呼ばれてバレたら怖いってのと、Xとかに倍返しでやられるのが怖いと思いました」
 《ここで、検察官は県警の取り調べや横浜家庭裁判所の少年審判の中で、被告が「当時止めてほしと思っていた」という発言を一度もしていないと指摘。被告は何度か口ごもりながら、「後から振り返るとそういう気持ちもあったと思うようになった。止めて一緒に考えてほしかった」と説明した》
 《検察官の質問は、再び当時の犯行時の様子に戻っていく》
 =(3)に続く

2016.2.3 14:49更新
【川崎中1殺害】被告人質問2日目詳報(3) 瀕死の上村さんは蹴られて川に転がされた 「息をしている」仲間の声にも被告は「怖くてその場から離れた」
 《川崎市川崎区の多摩川河川敷で市立中学1年、上村(うえむら)遼太さん=当時(13)=が殺害された事件の裁判は、検察官による被告人質問が続いている。詳しい犯行状況を話すときも、被告はきっちりと座ったまま動かない》
 検察官「(上村さんを)泳がせたのは何で?」
 被告「BかCが『泳がせれば?』って言ってきて、(自分は)『いいんじゃない』って」
 《共犯者の少年B、Cはともに傷害致死罪で起訴されているが、Cは関与を否認している》
 検察官「(BかCに)提案されて『いいんじゃない』と言った理由は?」
 被告「そのままおぼれたら、これ以上やらなくて済むと思って、いいんじゃないって言いました」
 検察官「おぼれてほしいと思っていた?」
 被告「少し思いました」
 検察官「Bの供述調書で、遼太君が泳ぐ様子を見てCに『面白くね』と言った話が出ていたけれど、記憶はある?」
 被告「言ってないです」
 検察官「遼太君の様子で覚えていることは?」
 被告「BとCが切っているときはあまり見ないようにしてました。そういうのを見たりすることができなかったんで。切ったりしてんの怖いっていうのがあったりして、見ないようにしていました」
 検察官「君が切っているときはどうだった?」
 被告「少し苦しそうにとか、顔を痛そうにしていました?」
 検察官「(上村さんは)何か話したりしたか?」
 被告「覚えてないです。色んなことを考えたりしてたからだと思います。(上村さんは)『うっ』とかは言ってたけど、あんまり言葉は発してなかったと思います」
 検察官「謝ったり抵抗したりというのは?」
 被告「なかったです。痛そうにはしてたんですけど、嫌がったり抵抗したりはなかったです」
 《検察官の質問は被告が最後に上村さんを切りつけたときに移る。検察官は被告が以前、少年審判などで「深く切れたという感触があった」「ずしんとした」と話していることに触れ、状況を確認していく》
 検察官「今までとは(感触は)違った?」
 被告「違かったです」
 検察官「Bの供述調書では(上村さんが)『あ!』と大きな声を上げたとあるけど、その記憶は?」
 被告「(上村さんは)もう動かなかったから、多分言ってないと思います」
 検察官「その時の力加減はどうだった?」
 被告「(今までと)同じように切っているつもりで切ってました」
 検察官「ならどうして深く切れたと思う?」
 被告「(今までの)切り口とかが重なったりして(深く)切れたんだと思います」
 《検察官が「最後は力を入れたのではないか」と尋ねると、被告は「分からない」と繰り返す》
 検察官「遼太君の左首にすごく大きな傷があるんだけど、あの傷は君がつけたって分かる?」
 被告「…分からないです」
 検察官「君がつけたのでは?」
 被告「言えなくはないです」
 検察官「言えなくはないとは?」
 被告「3人でたくさん切っていて、(傷が)重なったのかなと思います」
 検察官「首の後ろにも大きな傷があるけど、それに記憶はないの?」
 被告「はい、絶対に切ってないです」
 検察官「うつぶせになって倒れた上村さんを見てどう思いました?」
 被告「死んじゃったなと思いました。切った後に怖くなって、離れなきゃと」
 《2日に行われた弁護側の被告人質問で、弁護人がCに指示して上村さんの体を川のほうに移動させたかを尋ね、被告は「はい」と肯定していた。検察官はこの点について質問する》
 検察官「Cはどんな風に遼太君を移動させた?」
 被告「足で川の方に転がす感じでやってました。(上村さんの)体の下に足を入れて蹴る感じ」
 検察官「最後、遼太君はどういう状態だった?」
 被告「川に半分浸かっている状態で、仰向けでした」
 検察官「この時点で遼太君が生きているかは分かっていた?」
 被告「Cに『息してるか』と聞いて、Cは『息してる』って言ったんですが、(上村さんが)動かなくなったんで、死んだのかなと思いました」
 検察官「Cはどんな風に息を確認していたの?」
 被告「耳を(上村さんの)顔に近づけていました」
 検察官「ならこの時点で生きているって思ったんじゃないの?」
 被告「怖くなって、その場から離れることしか頭になかったです」
 《2日の弁護側の被告人質問では、被告は「(犯行を)止められなかったのはその場の雰囲気に流された」と発言。検察官はこの「雰囲気」についても言及する》
 検察官「どういう雰囲気だった?」
 被告「誰も止めないって感じ。黙って(上村さんの首を切る行為を)やってく感じです」
 検察官「その雰囲気を作り出したのは誰だと思う?」
 被告「自分です」
 検察官「君自身が作り出した?」
 被告「はい」
 《被告は今日の法廷が開廷してから、一番はっきりとした口調で、雰囲気を作り出したのが被告自身であることを肯定した》
 =(4)に続く

2016.2.3 15:27更新
【川崎中1殺害】被告人質問2日目詳報(4)「死刑、それぐらいの覚悟はあります」遺族側の代理人弁護士に罪の意識問われ…
 《川崎市川崎区の多摩川河川敷で市立中学1年、上村(うえむら)遼太さん=当時(13)=が殺害された事件の裁判は、検察側が被告人質問でリーダー格の少年(19)=同(18)=が犯行前に飲酒していたことについて確認を始めた》
 検察官「(川崎事件のときは)酒を飲んでいた?」
 被告「酒を飲んでいて、その勢いでやってしまいました」
 検察官「保護観察中であるとは認識していた?」
 被告「はい」
 《被告は別の傷害事件などに関与したとして保護観察中だった。そのことに関する説明は、後ほど検察側から行われることになる》
 検察官「日吉事件でも酒を飲んでいた?」
 被告「はい」
 検察官「保護観察中に(酒を)飲んではいけないといわれたと思いますが」
 被告「守らないといけないと思っていましたが、飲みたくなって飲みました」
 検察官「以上です」
 《裁判長から「このあと、遺族や被害者の気持ちについても確認をしていきたいと思います」と説明があり、被害者・遺族側の代理人の女性弁護士が質問に立つ》
 弁護士「相手が自分より弱い立場だから遼太君に暴力をふるった?」
 被告「そうかもしれません」
 弁護士「相手が弱いか強いかで選んでいることはありますか?」
 被告「それは少しあるかもしれません」
 弁護士「少年審判の時に謝罪をしたいと言っていましたが、その後は具体的に何かしていますか?」
 被告「特にないです」
 弁護士「亡くなった遼太君は生きられない、ということを改めてどう思う?」
 被告「上村君のことを忘れないで、背負っていって、生きていきたいです」
 弁護士「私からは以上です」
 《続いて同じく被害者・遺族側の代理人の男性弁護士が質問に入る》
 弁護士「最初に遼太君と会ったときはどう思った?」
 被告「結構明るかったです」
 弁護士「親しみを持って接していた?」
 被告「はい」
 弁護士「一緒にいて楽しいのは、遼太君が反撃してこないから?」
 被告「そういうこともあると思います」
 弁護士「3人で川に連れて行って、わざわざ人気のないところに連れて行ったのは?」
 被告「人のいないところにしました」
 弁護士「かなりの距離を歩いているよね?」
 被告「そうでもないと思います」
 弁護士「川の水温は確かめた?」
 被告「いいえ」
 弁護士「遼太君は寒いとは思わなかった?」
 被告「少しは思いました」
 弁護士「どうしてやめなかった?」
 被告「どうしたらいいかわからなかったです」
 弁護士「自分がやっていることですよ?」
 被告「恐怖心があって、どうしていいか、わからなかったです」
 弁護士「このままやったら遼太君が死んでしまうと思った?」
 被告「はい」
 弁護士「怖いからやめようとは思わなかった?」
 被告「思ったけど言うことができませんでした」
 弁護士「自分の思いの方が、遼太君の命より重かったと?」
 被告「はい」
 弁護士「(殺人事件の約1カ月に上村さんの顔を殴りつけた)日吉事件のあと、遼太君を殴って、やり過ぎて謝っていますが、痛い思いをさせたから?」
 被告「はい」
 弁護士「(殺人事件の際に)今回はやめようと思わなかったのは、とにかく痛めつけようと思ったから?」
 被告「はい」
 弁護士「遼太君の遺族の気持ちを考えて何をしましたか?」
 被告「どうしていいかわかりませんでした」
 弁護士「少年審判のときに(遺族から)『上村君を返してほしい』と言われていて、それが(遺族の)亡くなった人への思いだと思います。『返してほしい』と言われたら、あなたはどうしますか」
 被告「それは考えています」
 弁護士「どう考えていますか?」
 被告「上村君を返すことができないので、それなりのことをしたいと思います」
 弁護士「それは」
 被告「まだ見つかっていません」
 弁護士「上村君の両親とは会っていない?」
 被告「はい」
 弁護士「遺族への謝罪の気持ちは?」
 被告「あります」
 弁護士「どう謝罪するのか?」
 被告「謝ったりします。会って謝ります」
 弁護士「遺族に会う覚悟はある?」
 被告「あります。すべてを受け止めます」
 弁護士「人間は1回起きたことをどんどん忘れるものだが、あなたはどうですか?」
 被告「上村君のことを思い出して、忘れないようにしたいと思います」
 弁護士「あなたは、人殺しが悪いと昔からわかっていた?」
 被告「はい」
 弁護士「自分はどのくらいの刑になると思っている?」
 被告「まだわかりません」
 弁護士「(人を殺せば)死刑になることもあるとわかっている?」
 被告「はい」
 弁護士「罪を背負って生きていくんですね?」
 被告「はい」
 弁護士「死刑になることはないだろうと思っていないか?」
 被告「それはないです。それぐらいの覚悟はあります」
 弁護士「軽く言うことではないのではないか」
 被告「1年を過ごして、それくらいの覚悟をしています」
 弁護士「以上です」
 《淡々した口調ながら、覚悟を口にした被告。休憩を挟み、裁判長、裁判官による質問に移っていく》
 =(5)に続く

2016.2.3 17:01更新
【川崎中1殺害】被告人質問2日目詳報(5)完 「遊びでオール…」被告の言葉に女性裁判長は思わず「なんですか?」
 《川崎市川崎区の多摩川河川敷で市立中学1年、上村(うえむら)遼太さん=当時(13)=が殺害された事件の裁判は休憩を挟み再開され、裁判員による質問が始まった》
 近藤宏子裁判長「これから、裁判員からの質問になります」
 《傍聴席から向かって左端に座る男性裁判員が、自らを「裁判員1」と名乗った上で、事件について質問を始める。法廷では犯行が行われた場所から殺人事件を「川崎事件」、その約1カ月前に被告が上村さんを殴りつけた傷害事件を「日吉事件」と呼んでいる》
 裁判員1「川崎事件の件ですが、A君(被告)はその事件の間、半分は誰かに止めてもらいたいと言っていたが、どんなふうな止め方なら止まったと思いますか」
 《当時、現場には被害者である上村さんのほか、傷害致死罪で起訴された少年B、Cがいた》
 被告「B君か、C君が強く言っていたら止まっていたかもしれません。言葉とか、おれを押さえつけたりすれば、止まったかもしれない」
 裁判員1「B君が止めに入ると、A君がB君に『何だよ』とか言うことはなかった?」
 被告「今までそういうことはないです」
 男性裁判員6「酒のことが気になります。酒ぐせが悪いとか、(飲むと)どういう状態になる?」
 被告「イライラしたときには、たまに殴ってしまうが、ほとんどはおしゃべりになります」
 裁判員6「事件当時、Cとかとどのくらい飲んでいた?」
 被告「普通のコップ5~6杯くらい。ビールジョッキより小さいコップです」
 裁判員「濃さは」
 被告「焼酎3で、7がお茶です」
 被告人「酒には強い」
 被告「普段は酔わないが、1回捕まって、出てきてからは少し弱くなりました」
 《本当の犯行動機はなんなのか。男性裁判員2人に続いて、男性裁判官は犯行前の状況を再度確認した》
 裁判官「上村君にヤキを入れようと思ったと言うが、犯行前に(上村さんの知人である)Xからの報復を考えたりしなかったんですか?」
 被告「考えていませんでした」
 裁判官「ヤキを入れるだけで、後のことは何も考えていなかったということですか?」 
 被告「はい」
 裁判官「親に相談しないようだが、他にできる人はいなかった?」
 被告「友達にはいました」
 《裁判官はここで上村さんが殺害された際の被告ら3人の役割について質問していく》
 裁判官「上村君を切りつけた際だが、誰が一番多く切りつけたんですか?」
 被告「Bが一番多かったと思います」
 男性裁判官「Bは最初、カッターで切りつけるのを断っていた。あなたがカッターを渡したんですか?」
 被告「はい」
 男性裁判官「Bは断らなかったんですか?」
 被告「してないです」
 《ここで裁判官は犯行の動機について尋ねていく。これまでの裁判では、日吉事件での上村さんへの暴行を知った上村さんの知人グループが自宅に押しかけたことに怒りを募らせた被告が、上村さんを河川敷につれていってカッターで切りつけ始めたとされている》
 裁判官「上村君が日吉事件以外にも(知人グループの)Xに話をしたというが、どういう話をしたんでしょうか?」
 被告「賽銭盗をやるよう自分に頼まれたというような話です」
 裁判官「それで腹が立ったということですか?」
 被告「はい」
 裁判官「上村君はそのことを認めたんですか?」
 被告「認めました」
 《ここで裁判官は被告が犯行動機とする腹立ちが本当の動機なのか問いただす》
 裁判官「上村君を殺そうと思ったきっかけ、怒りの中身について確認したいんですが、腹立ちが大きかったんですか。カッターで上村君を切りつけた結果、Xからの報復が怖くなったんですか。2つのどちらが大きかったんでしょうか」
 被告「腹ただしさが一番大きかったです」
 裁判官「カッターで切りつけて、やっているうちに『ここまでやったらXの報復の可能性が大きくなった』ということでいいんですか?」
 被告「はい」
 裁判官「おおごとになると反動は大きいものです。やめようと思わなかったんですか?」
 被告「あったけど、できなかったんです。やめようとはいえなかったので、そのままやってしまった」
 裁判官「その場の雰囲気に流され、立ち止まれなかったと思っているんですね?」
 被告「はい」
 《2日から続く被告人質問。その最後を締めくくるように近藤裁判長が静かに口を開く》
 近藤裁判長「賽銭泥棒なんですが、いつも同じメンバーなんですか?」
 被告「メンバーは同じだけど、人数が違ったりします」
 近藤裁判長「賽銭泥棒のためだけに集まるんですか。それとも他の理由で集まってからやるんでしょうか?」
 被告「ゲームセンターとかで遊んでいて、誰かがオールしようと」
 近藤裁判長「なんですか?」
 《徹夜を意味するオールナイトを略してオール。公判を通じて時折、被告の口から出る表現を近藤裁判長は聞き慣れないためか回答をさえぎり確認した。被告は言い直して回答を続ける》
 被告「夜更かししようということになって、夜になって賽銭泥棒をしようと誰かが言い出してやることが多かったです」
 近藤裁判長「上村君が賽銭泥棒について、告げ口をしていたと思ったんですね?」
 被告「そういうこと(告げ口)をやっているようなことを聞いたので腹が立ちました」
 近藤裁判長「仲間の話からですか」
 被告「後輩から聞きました」
 近藤裁判長「上村君に川崎事件の時に問い詰めたんですか?」
 被告「はい」
 近藤裁判長「それは最初になぐった時ですか。それともカッターで切りつけたときですか。腕、足、首、どの部分を切っていたときでしょうか?」
 被告「最初に殴る前です」
 近藤裁判長「上村君はその時認めたんですか」
 被告「はい」
 《近藤裁判長が納得したかのように被告人質問を終えた》
 《続いて検察側が証拠調べで被告の非行歴や補導歴を説明。被告が平成26年に占有離脱物横領と傷害の罪で横浜家裁川崎支部に送致され、今年12月まで保護観察処分になっていることや、喫煙などで13回の補導歴があることを説明した》
 《この日の公判ではその後、弁護側の証人として臨床心理士に対する証人尋問が行われた。4日に結審するが、判決期日は指定されていない》
 =(完)

 ◎上記事は[産経新聞]からの転載・引用です 
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川崎中1(上村遼太さん)殺害事件 主犯格少年 第2回公判 証人・臨床心理士「親と言語上のやりとり少なく」
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川崎中1(上村遼太さん)殺害事件 主犯格少年 初公判 2016/2/2 被告人質問① 両親の“仕打ち”赤裸々に 
川崎中1(上村遼太さん)殺害事件 主犯格少年 初公判 2016/2/2 冒頭陳述詳報 公訴事実「間違いありません」
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