平野貞夫の「永田町漂流記」
「日本一新運動」の原点(19) ── 小沢一郎氏との懇談
■小沢一郎氏との懇談
9月22日(水)、久しぶりに小沢氏と懇談した。小沢氏はまことに意気軒昂で、20年昔の自民党幹事長時代を彷彿とさせるオーラを全身に漲らせていた。「代表選に出馬して本当に良かった。極めて厳しい状況で、よくここまでの成果があった。これから国民に提起した政策の実現に全力を尽くす」という話から始まり、小沢氏が関心を寄せた「メルマガ・日本一新」の話題に転じた。
小沢:「メルマガ・日本一新」は爆発的に拡がり、ネットの世界では注目されていると聞いたがネットの専門会社でも使ったのか。
平野:使ってはいないし、そんな資金の準備もない。少しばかりネットに詳しい支援者(事務局)がいて、専用ソフト開発や、設立時の錯綜にアルバイト雇用など多少の費用は要したが、すべてカンパや会費で賄った。敢えて特長をいえば、「タダ同然」で使えるネットの特長を上手く活かしたに過ぎない。「メルマガ・日本一新」の配信を希望する人が約3500人、それも代表選が始まってから激増し、敗れてもなおその数は増えている。その人たちの中にはご自身でブログを開設し、政治向きブログでは常時上位にランキングされる人たちが「転載・紹介・解説」という形で拡散し、直接的読者は3500余人に過ぎないが、間接的に読んでくれているであろう実数は誰もカウントできない。
小沢:短期間に急激に拡大した理由は何だったのか。
平野:これまで、「政治家・小沢一郎」から発信する情報があまりにも少な過ぎたからだ。「生の声が聞きたい」、「直接情報が欲しい」とみな考えているのに、目にすることは、そして耳に届くのは全て間接情報ばかりで信憑性に欠ける。ところが、代表選が始まるや、小沢自身が日本を再生させる理念や政策を自ら語り始め、ならばもっと知りたい、もっと聞きたいという人々が急増した。理由はこれ一点であり他にはない。
小沢:「日本一新の会」に集っている皆さんにはくれぐれもよろしく伝えて欲しい。
今後の「日本一新の会」活動方針について、皆さんから寄せられた意見を参考に、
1)これまでの方法で「メルマガ・日本一新」を中心に活動を続ける。
2)「日本一新運動」が目的であるから、国会議員や地方議員、さらには、志を同じくする人たちとの提携を深めていく。
3)メルマガ・日本一新の論説執筆者を拡充する。
4)地域ごと、あるいは業種・職業ごとの「日本一新の会」をつくる。
などがあろうかとは思うが、まずは、岩手県知事の達増拓也氏に個人の立場から執筆して貰うことから始めたい。
これからも、忌憚のないご意見を事務局宛に届けて欲しい。事務局宛の意見はすべて私の手元に届いているから・・・。
■民主主義の根幹を狂わすのは誰か!
9月21日の夜、最高検察庁は大阪地検特捜部・主任検事の前田恒彦容疑者を、郵政不正事件に関連して証拠隠滅の疑いで逮捕した。法の番人であるべき現職検事が「押収資料の改竄」をするという前代未聞の事件が発覚したが、担当検事個人の犯罪として済む問題ではない。
この事件は、小泉政権から目立つようになった「政治と検察権力」が結託して、民主社会を崩壊させてきた現象の帰結に他ならない。文字どおり、政治と検察、並びに巨大メディアの亡国的コラボレーションを図らずも証明したものといえる。
郵政不正事件とは、障害者への郵便料金割引制度を悪用するために、偽の証明書発行事件で、元村木厚労省局長が無罪となったことで知られている。村木氏の無罪と主任検事の逮捕にマスコミ報道が集中し、問題の本質が見失われている。
この事件は、捜査着手の平成21年6月頃、当時の民主党副代表・石井一氏の「口利き」を立件しようとした政治事件であったことは読者諸兄にはご承知のとおりである。
そこでこの1年に検察が着手した政治事件を検証してみると政治捜査の実体が明確になる。
1)3月3日、小沢民主党代表(当時)の大久保秘書が、西松事件に関連して「政治資金虚偽記載」で逮捕された。当時の政府首脳が「自民党には波及しない」と発言し、顰蹙を買った。5月の連休明け小沢代表は政権交代を確実にするために辞任した。東京地検特捜は小沢代表を立件すべく必死となった。大久保秘書は起訴され公判中だが、検察側証人が証言を覆し無罪が確実といわれている。私は、この事件について麻生政権が指揮権を発動した傍証を知っており、5月22日の「THE JOURNAL」に投稿しているので参照されたい。
2)郵政不正事件は、西松事件で小沢代表が辞任した後、民主党への国民の支持が低下しないため、6月初旬、大阪地検特捜部が民主党の石井一副代表が厚労省に「口利き」したとして捜査に着手した政治事件であった。ところが石井氏のアリバイが成立して、代替として村木元局長を追求したが、この始末である。
3)総選挙の日程が決まる前後、「鳩山代表の子育て手当」と、小沢氏の元秘書・石川知裕衆議院議員の「水谷建設問題」が検察のリークと思える報道で続いた。それでも8月30日の総選挙で、国民は民主党に政権交代する道を選んだ。鳩山氏は首相となり贈与税の追徴金などで解決する。石川議員については本年1月に「政治資金虚偽記載」で逮捕される。特捜の狙いは小沢一郎にあった。
小沢氏の「政治と金」は、東京地検特捜部が1年数ヶ月と巨額の税金を使って捜査したが、不起訴となった。端折っていえば、「犯罪の事実」がなかったのである。しかし、正体不明の市民団体の人たちが検察審査会に申立て、常識を欠く弁護士に煽動された市民代表が「起訴相当」を議決、2度目にどのような議決となるかが注目されている。
一連の政治事件は、自民党政権と検察、巨大メディアが結託して政権交代を妨害するための政治捜査であった。政権交代した後は、自民党政治に戻そうとする検察と巨大メディアによる小沢一郎を政界から排除する捜査であった。そして菅首相となった民主党政権の中に、自民党の守旧派に習い「小沢排除」を実現しようとする勢力があるのだ。このまま推移すればわが国は暗黒社会となり、国民が背負うことになる苦労は計り知れない。
健全な民主社会を実現するためには、小沢一郎の「日本一新」が喫緊に求められていることをもう一度力説してこの回を閉じる。
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◎日本一新の会事務局からのお願い
「日本一新運動」の原点として連載している平野論説は、「メルマガ・日本一新」の転載であり、日本一新の会が、週一で発行しています。配信を希望される方は http://www.nipponissin.com/regist/mail.cgi から、仮登録してください。折り返し案内メールが届きます。
相変わらず不着メールがあります。メールボックスの管理や、アドレスのタイプミスもあるようですから、各自で対応をお願いいたします。
投稿者: 平野貞夫 日時: 2010年9月27日 11:43
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5月22日「THE JOURNAL」西松事件・大久保秘書逮捕の真相を究明すべし!
5月13日(木)、3人の経済人から夕食に招かれた。話題は政治の劣化や経済再生などで、民主党政権への提言を聴く機会でもあった。
その中で、驚くべき情報を教えられた。A氏の発言で要点は次のとおり。
「私は森英介元法務大臣と昵懇で、時々会食していた。昨年3月西松事件で小沢事務所の大久保秘書が逮捕された問題について、〝あれは私が指示した事件だ〟と、現職の法務大臣からの直接の話を聞いた。こんなことが許されてよいのか、と驚いた」
A氏は私にこの情報を伝えるにあたって、悩んだ末のことだと思う。経済人としての立場もあり、私は実名を明らかにするつもりはない。私があえてこの情報を世の中に明らかにするのは、A氏の説明を聞いて私が「なるほど、さもありなん」と、私自身が森法相(当時)から直接に、それに関連する指摘を受けていたからである。
平成21年3月1日(日)、大久保秘書逮捕(3月3日)の前々日、私は千葉市で森法相と会う機会があった。千葉知事選挙の吉田平候補者の出陣式の行事の席だった。堂本知事(当時)に、私に関して聞くに堪えない中傷・誹謗の発言をしたことを、明確に記憶している。「堂本知事さん、この平野という人物は平成になって日本の政治を混乱させた人で、小沢一郎も問題があり悪人だが、この人が小沢さんよりもっと悪人なんですよ」
この森法相の発言は、私にとって心に刺した棘のようになっていた。3日の大久保秘書逮捕の後、それとの関連について考えてみたが、直接につながる材料がなかった。私も強制捜査の対象になっていたことは、元特捜部長などの言動から後になって知ったものだ。
A氏の発言は、私にとって想定外のものだった。森法相の私への発言をつながり、西松事件大久保逮捕に政治が関与していた傍証となる。当時の麻生政権が民主党への政権交代阻止のためあらゆる方策を行使していた状況をみても、指揮権の発動も含め、政治の関わりを徹底した調査が必要である。
法律専門家によれば、大久保秘書逮捕の「政治資金虚偽記載容疑」は、常識論として検察の独自判断で行う法論理ではない。特別な政治力が動かなければ、やれることではないという見方もある。
西松事件、水谷建設問題、小沢陸山会の虚偽報告問題など、昨年からの小沢民主党幹事長をめぐる「政治と金」の問題は、詳細な法理論も大事である。それと同樣に事件背景や権力の動きについて総合的に調査が必要である。
本年2月4日、小沢幹事長が「不起訴」と決まったとき、安倍元首相は「鳩山政権が不起訴にした(指揮権発動の意か)」と、麻生前首相は「灰色幹事長だ」と、それぞれコメントした。内閣総理大臣をやった政治家が、この問題でこんなコメントを出したことに、私は奇妙さとともに両首相の心理的幼児性、すなはち、自己の行動の辻つま合わせを感じざるを得ない。
昭和9年の検察ファッショ・「帝人事件」は、起訴当時の警視総監・藤沼庄平が、「起訴は司法省行刑局長の塩野季彦らが内閣崩壊の目的をもって仕組んだ陰謀だった」と証言したことから、犯罪のデッチアゲであったことがあきらかになった。
時代の変わり目で、政治権力のかもし出す形相について、私たちは厳しい監視の眼が必要である。昨年からの「政治と金の問題」の本質は、検察とマスコミの無作為の共謀であったことを検証する必要がある。
投稿者: 平野貞夫 日時: 2010年5月22日 13:58