核兵器なき世界という「理想」 ✖ 国際社会がなお、核抑止力に依存している「現実」 2016/8/16

2016-08-17 | 国際

 産経ニュース 2016.8.16 19:20更新
「核抑止依存」という現実の厚い壁 オバマ米大統領の核先制不使用宣言は頓挫の見通し
 【ワシントン=青木伸行】オバマ米大統領が検討している核兵器の先制不使用宣言は、政権内外からの反対に遭い、頓挫する見通しが強まってきた。「核兵器なき世界」を一段と進めるという理想は、国際社会がなお、核抑止力に依存している現実という厚い壁に阻まれている。
 2009年4月、プラハ演説で「核兵器なき世界」を初めて目標に掲げたオバマ氏は、今年5月の被爆地・広島での演説で、この理念の実現を目指す決意を表明した。
 その後、具体策の一つとして検討されてきたのが、核兵器の先制不使用だ。核政策の大幅な変更であり、これには(1)核実験禁止を確認する国連安全保障理事会の決議採択(2)21年に期限切れとなるロシアとの新戦略兵器削減条約(新START)の5年間延長(3)核兵器の改修・更新計画の縮小-なども含まれている。
 来年1月に退任するオバマ氏には、核兵器の役割低減を図る政策を進展させ、レガシー(政治的遺産)を形にする狙いがある
 だが、北朝鮮は核・弾道ミサイルの開発に邁進(まいしん)し、中国も北米を射程に収める多弾頭型の移動式長距離弾道ミサイルの開発に余念がない。ロシアは戦術核を強化し欧米を脅かしている。
 これら核戦力が強化されている中で、日本をはじめとする同盟国などから強い疑義が呈されることは、自明の理だといえよう。
 オバマ政権内でカーター国防長官らが「米国が先制不使用を宣言すれば、同盟国に米国の核抑止力に対する不安を抱かせ、独自に核開発に走る国が出てくる可能性がある」と反対していることも、うなずける。
 米軍や野党・共和党にも「核政策の柔軟性を、急速かつ著しく損なう」との反対論が強い。核保有5大国では中国が唯一、先制不使用を宣言しているが、うのみにできないのが実情だ。

 産経ニュース 2016.8.16 22:54更新
米国の核先制不使用は中国の“宿願” 核弾頭約260発保有も米露に及ばず
  【北京=西見由章】中国は原爆実験に初成功した1964年以降、核兵器の「先制不使用」を表明している。米国やロシア(旧ソ連)と比較すると核戦力に著しい差があり、自ら先制不使用を宣言することで両大国に核軍縮を求める外交カードとして利用してきた。米の軍事介入を防ぎたい中国にとって先制不使用政策は“宿願”だ。
 同時に中国は、米国の核戦力に対抗するため大陸間弾道ミサイルの開発に多大な資源を投じている。昨年9月に北京で開かれた抗日戦勝70年記念の軍事パレードでは、米国に直接届く東風(DF)31A型と5B型を見せつけた。
 昨年末には戦略ミサイル部隊の第2砲兵部隊を「ロケット軍」に格上げ。核弾頭保有数は非公表だが、米露などが核削減を進める中で中国は増加傾向にあるとされ、ストックホルム国際平和研究所によると今年1月時点で約260発を保有している。
 中国が南シナ海で軍事拠点化を進めているのは、海洋権益の確保と米国への軍事的な対抗が主眼にある。潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を搭載した潜水艦が海南島から南シナ海の深海部を通り西太平洋に出ることで米国への核抑止力は飛躍的に強化される。
 茅原郁生・拓殖大名誉教授は米国の先制不使用政策について「中国にとってみれば大変好都合なこと。中露は平気で国際秩序を無視して現状を変える国であり、米国の核抑止力がそれを止めうる唯一の手段だ」と指摘する。

 ◎上記事は[産経新聞]からの転載・引用です *強調(太字・着色)は来栖
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安倍晋三首相 オバマ米大統領の「核先制不使用」に反対意向伝達 2016/8/16
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