産経ニュース 2017.7.15 09:30更新
【WEB編集委員のつぶやき】加戸守行前愛媛県知事の発言がもやを晴らしてくれた 前川喜平さんは「役人の矜持」を自らに問うて欲しい
不毛な論争に終止符を打つ発言だった。加戸守行(かと・もりゆき)前愛媛県知事が靄(もや)を晴らしてくれた。
衆参両院は10日、学校法人「加計学園」(岡山市)の獣医学部新設をめぐり閉会中審査を開いた。
審査には学部誘致を進めてきた文科省OBの加戸氏も参考人で出席、「10年間、我慢させられてきた岩盤規制にドリルで穴を開けていただいた」と明言した。
あくまで「役所の論理」に立脚する前川喜平前文部科学事務次官に対し、地元の切なる願いを率直に語ることで、加戸氏は前川氏の主張を論破した。両者の発言の要旨を議員の質問と共に掲載する。
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青山繁晴氏(自民)「獣医師不足ではないから、獣医学部新設は行政をゆがめるという趣旨か」
前川氏「違う。規制緩和の結果、加計学園だけに新設が認められるに至ったプロセスが問題だ」
加戸守行前愛媛県知事「10年間我慢させられた岩盤規制にドリルで穴を開けていただいた。『ゆがめられた行政が正された』というのが正しい発言ではないか」
青山氏「文科省は既存の態勢強化でやりたい」
加戸氏「一番強い反対は日本獣医師会だった。大学教授の定員は10年前と今日で変わらないまま。先端科学、感染症対策など日本人の生命がかかる問題で、欧米に後れを取らないような獣医師を養成しなければならないことに手を加えないでおいて、今治はダメというのはなぜか。加計ありきでない。県議会議員と加計学園の事務局長が友達だったから話がつながってきて、飛びついた。お友達だと全てダメなのか」
里見隆治氏(公明)「今日に至るまでの経緯を」
加戸氏「東京の有力な私学に声をかけたが、けんもほろろだった。愛媛県にとっては12年間加計ありきだった」
里見氏「国会やマスコミの議論をどう思うか」
加戸氏「手続き論だけが先行している。愛媛県や今治市の思い、日本の未来、感染症対策の国際潮流とか大きな議論をしていただくのが国政の場ではないか。よくぞ決断していただいたという意味で、国家戦略特区に感謝を申し上げながら、みんなで見守りながら育てていく。これがあるべき姿ではないのか」
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参考人として招致された前川氏は、「国家戦略特区担当は内閣府だが、背景に官邸の動きがあった。和泉洋人首相補佐官がさまざまな動きをしていた」と述べ、官邸の不当な関与があったとの持論を重ねて訴えたが、加戸氏の発言を聞けば「不当な関与」が事実でないことがわかる。
腑に落ちるとはこのことだ。野党も一部マスコミも、「説明不足」とする国民も加戸氏の発言に納得がいくだろう。
実は加戸氏、6月16日午前1時にアップされた産経新聞のインタビューで、閉会中審査で話した以上の内容を語っている。
この中で、「前川は私の部下でした。非常に有能だし、気骨のある男で、今回のことは非常に残念だ。彼は大学の実情を知らないし、四国が公務員獣医師不足で苦しんでいるということは、耳に入っていなかっただろう」と話した上で、「無理無体であっても、政治が優位であって行政は下なんですよ。大臣の下に事務屋がいる。どんなに無理なことでも、大臣が言うことは従うべきだ。教科書騒動のときも悔し涙を流しましたよ。政治の思惑なんて見え見えだったが、行政の筋が曲げられたと思っても言いませんでした。それが役人の矜持ですよ」と後輩の前川氏に説いていた。
「面従腹背」が座右の銘とうそぶく前川氏は、先輩の箴言をどう聞くのか?。
加計問題への対応に批判が集中、安倍晋三内閣の支持率が急落している。支持率は3割を切ると政権運営が極めて不安定となる「危険水域」とされている。
読売新聞の世論調査によると、内閣支持率は前回調査から13ポイント減の36%。朝日の世論調査も1週間前から5ポイント減の33%、NHKの世論調査は35%だった。民進党は5・8%(前回7・9%)、社民党は0・2%(同0・9%)に落ちた。
数字が物語るのは政治不信の深刻さだ。自民のみならず、追及する野党第一党の民進党も支持率を減らし、5%台になっている。
いま日本では九州の大雨で多くの命が奪われた。4日、北朝鮮は日本の排他的経済水域(EEZ)にミサイルを撃ち込み、大陸間弾道ミサイル(ICBM)の成功を宣言した。
これが日本の内外の現実なのだ。閉会中審査を終えて与党は「新事実はなかった」と言い、野党は「さらに疑問は深まった」と手ぐすねを引いており、一部マスコミもこれに同調する。
こんな些末な政局に拘泥している暇は、我が国にはないのだが。
(WEB編集チーム 黒沢通)
◎上記事は[産経新聞]からの転載・引用です
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〈来栖の独白 2017.7.15 Sat 〉
野党・メディアが劣化しているのは長い長い既成事実であり、それは10年前、安倍政権を退陣に追い込んだ。
野党・メディアにはとっくに絶望している私だが、それ以上に暗澹たる思い、情けないのは自民党の派閥争い、総理の座をめぐる闘争である。早くから石破氏は、それのみに向けて動いていたが、岸田氏も。現内閣の二階幹事長は古くから党内野党のようであったが。
「次期総理」が顔の前にぶら下がっているものだから、「憲法改正」を口にする人は安倍ちゃんを除いて一人もいない。安倍ちゃんとは、なんと潔い人格だろうと感心する。
多くの国会議員にとって、国会議員とは所詮職業にすぎないのだ。票に繋がらない憲法改正など、誰も口にしない。国家・国民のことなど、どうでもよいということだ。野党なら、それでいいが、与党の議員がこれでは、この国と国民は、誰を頼りにすればいいのか。たった一人の安倍ちゃんを、与党も野党も叩きつぶそうとしている。石破の顔を見るだけで、胸が悪い。
*【都議選投開票 2017/7/2】 10年前の夏と酷似 「安倍降ろし」の裏に見え隠れする「憲法改正封じ」
*『約束の日 安倍晋三試論』小川榮太郎著 幻冬舎文庫 平成25年7月20日 初版発行
*【憲法改正推進本部の全体会合】改憲を訴えても票にならない 関心薄い自民 参加は2割以下 2017/7/5
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◇ 【加計学園問題】報道の“印象操作”が浮き彫り=報道されない加戸守行前愛媛県知事発言 2017.7.12
◇ 「加計学園問題は改革つぶし」「前川は官僚のクズ」 岸博幸 2017/6/12
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