小躍り共産・志位委員長の“ひと夏の経験”?!「都議選」~参院選には繋がらず、儚く終わる運命

2013-07-01 | 政治

【高木桂一の『ここだけ』の話】小躍り共産・志位委員長の“ひと夏の経験”?!
産経新聞2013.6.30 18:00
 ここ何年もの間、「党勢後退」という言葉が枕詞となっていた日本共産党の笑いが止まらないようである。東京都議選(6月23日投開票)で議席を8から17に倍増させるという、まさかの「躍進」を果たしたからだ。同党指導部はこの余勢をかって来る参院選(4日公示、21日投開票)での「前進」を目論むが、はたして…。
 今回の都議選を受け共産党は都議会で自民、公明両党に次ぐ第三党に躍り出た。そんな「予想外」の結果に政界、メディアには衝撃が走ったが、わけても目を丸くしたのは志位和夫委員長、市田忠義書記局長ら同党指導部だったかもしれない。
 共産党関係者によると、投開票翌24日の党常任幹部会でも幹部たちは一様にキツネにつままれた表情だったという。都議選で同党は、獲得議席の目標(「ノルマ」ではなく、正確に言えば「努力目標」)をいつもながらの“3割増”である「11議席」を掲げていた。だが、それをあっさりクリアするばかりか、議席を倍増させたのだからだからやむを得まい。
 なにせ都議選で議席を増やしたのは平成9年以来、16年ぶりのことだ。共産党は12年の「志位-市田体制」発足後、この13年間は衆参両院の国政選挙と“準国政選挙”の都議選では後退を続け「連戦連敗」を更新中だった。選挙後、毎度のように志位氏は頭を下げてきた(ただし、この党にはトップが選挙の敗北や目標未達の責任をとって辞任するという“文化”はない)。今回の都議選は志位、市田体制下で「初勝利」をもたらしたのだ。
 それで志位氏らが欣喜雀躍しないわけがない。都議選の“勝因”について党指導部は「自民党の悪政に対抗できるのは共産党だけだ」という“自共対決”路線が有権者に理解されたとアピールし、これを参院選につなげようと躍起だ。志位氏はこう訴えている。
 「日本の政治はこの十数年間の『二大政党の政権選択』と『第三極』作戦という、日本共産党排除の二つの反共作戦を経て『自共対決』の時期を迎えている。反共作戦が破綻するのは古い自民党政治の土台が腐りきっているからだ。日本共産党の躍進は、二つの反共作戦を打ち破ってきたたたかいの到達だ」
 はしゃぐ志位氏は26日の党の「参院選必勝・全国決起集会」での報告で、いつもボロカスに攻撃しているはずの安倍政権の幹部らの「共産党評価」のコメントまで持ち出し、“自共対決”時代の突入に酔ってみせた。いわく菅義偉官房長官が「日本共産党がアベノミクス批判の受け皿になった」、自民党の小泉進次郎青年局長が「いつも立場が一貫している共産党がわかりやすい」と述べるなどの反応が出ていると-。
 しかし都議選の結果を突き詰めれば、共産党が「実力」で躍進を果たしたわけではないことがわかる。朝日新聞は「護憲・反原発の訴えが届いた」ともっともらしく解説するが、見当違いも甚だしいのである。
 今回の都議選での共産党の得票数は約62万票で前回は71万票。得票率は今回は13・61%、前回は12・56%だった。わずかな得票率のアップで議席を倍増させることができたのは、自公に対峙するはずの民主党や日本維新の会、みんなの党などが票を奪い合った結果、共産党が相対的にそれを上回り当選ラインが下がったためだ。
 つまり、他の野党の潰し合いの結果、漁夫の利を得たにすぎない。当選した17人のうち8人が最下位で滑り込んだほか、豊島区、品川区など5選挙区で普段なら当選できない得票数で共産党が当選できたのも、そうした事情からだろう。
 自民、公明はイヤで、民主もこりごり。しかし維新もダメ。もはや共産に入れるしかない-。今回の都議選の投票率は43・50%で前回比10・99ポイントも低くなったのは、松本正生埼玉大学教授(政治意識論)が言う、無党派層ならぬ「その都度支持層」の多くが選択肢を失って棄権した要因が大きいだろう。投票率の低下が固定支持層を持つ共産党を押し上げる一方、投票所にあえて足を運んだ「その都度支持層」の一部が仕方なく同党に入れたという事情もあるのだ。選挙事情に詳しい政界関係者はこう分析する。
 「マスコミ各社の出口調査などの結果、昨年末の衆院選で『維新』を支持した人が今回の都議選で共産党に流れるケースが意外と多かった。まさに“右”から“左”への急旋回だが、そうした人はインテリ層によくみられる。共産党を支持したのはもちろん政策を支持したわけではなく、共産党が自公、民主、維新に対する不満票の受け皿となっただけ。皮肉にもまさか共産党が政権をとれるわけがないという判断も、そうした投票行動につながった」
 とはいえ、もともと「自民党に対抗してくれる」と有権者に期待された他の野党が自滅すれば、共産党が瞬間風速的に浮かび上がることは、この国の選挙の歴史がたびたび証明していることも忘れてはならない。
 巨大与党化する自民党と、自衛隊や象徴天皇制すらはっきりと「是」としない共産党ー。共産党が叫ぶ「自共時代」なる、いびつな「二大政党制」を「平成の55年体制」と書いた夕刊紙もあったが、そんな状況はとんでもないことだ。
 排他主義と原理主義が抜けない不気味な「革命政党」が政権を担えるはずがないし、何でも「与党に反対」と吠えているだけのこの党が非自民・反自民の主役になれば、自民党にとっては事実上の「敵なし」で、こんな好都合なことはない。民主党や維新がだらしがなさすぎることが国家、国民にとって、この上なく不幸なことなのである。
 さて、参院選投開票日まで3週間ある。鼻息荒い志位氏は比例代表で「650万票、5議席の絶対確保」と言い切り、改選3議席から2議席の上乗せを宣言する。13年の参院選以来議席を得ていない選挙区でも「風穴を開ける」と“絶口調”だが、思惑通りに行くのか。ある選挙アナリストの見立てはこうだ。
 「都議選のように50%を切るほどの低投票率になれば、東京や大阪の選挙区で議席を獲得することも現実味を帯びてくるが、当選圏内に入るのは難しい。比例も前回の356万票から少しは上がるかもしれないが、倍増近い650万票に底上げすることはまず不可能だろう」
 どうやら比例での「1議席増」が関の山ということらしいが、やはり都議選の勢いをそのまま参院選に持ち込むのは容易ではないようだ。
 公示から投開票日まで17日間という長い選挙期間中、新たな争点が出てきて他の野党が存在感を増せば、共産党がまた埋没することも避けられない。
 「有権者も都議選の躍進で小躍りする共産党に警戒感を抱き始めている。都議選で共産党に入れたその都度支持層の一部が民主か維新に戻ることも割り引いて考えなければならない」(自民党関係者)
 自公圧勝の予想に公示前から「おもしろくない」としらけムードさえ漂う参院選。民主や維新の「敵」は自民党ではなく、共産党であるという現実は何とも寂しい限りだが、有権者もそんな「非現実」に目を覚ませば、革命政党の“熱い夏”はセミの如く、はかなく終わる運命だろう。数年間も地中にいたセミは成虫として地上で迎えた夏のほんの短い時間、ただひたすら、むなしく鳴き続けるだけなのである。
(政治部編集委員)
 *上記事の著作権は[産経新聞]に帰属します
---------------------------------
志位氏「自民対共産の構図が鮮明」
産経新聞2013.4.11 20:49
 “純粋野党”は共産党だけ!?共産党の志位和夫委員長は11日の記者会見で現在の国政の状況を受け、「自民党と共産党の対決の構図が鮮明になりつつある。この構図を際立たせる中で、大いに躍進を果たしたい」と怪気炎を上げた。
 志位氏は、まず自民党を「安倍晋三内閣になって古い自民党がグッと極右化して全面復活した」と批判すると、返す刀で「民主党は自公民3党合意で消費税増税や社会保障大改悪という首根っこを押さえられた自民党の補完勢力」とバッサリ。日本維新の会とみんなの党についても「憲法改定という安倍内閣の野望の突撃隊だ」と皮肉った。
 その上で「第三極勢力も民主党も自民党政治に飲み込まれる状況の中で、対抗軸を持って頑張れる勢力は共産党しかない」とアピールした。
.................


コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。