三島由紀夫が東京・市ケ谷の自衛隊に乱入、自決して43年 / 三島の生涯を描いた猪瀬直樹著『ペルソナ』

2013-11-24 | 本/演劇…など

【産経抄】11月24日
 産経新聞2013.11.24 03:1
 明日25日で三島由紀夫が東京・市ケ谷の自衛隊に乱入、自決して43年になる。この事件に至る三島の生涯を描いた作品に、猪瀬直樹氏の『ペルソナ』がある。樺太庁長官だった祖父の代から、官僚の日常性と三島の生き方とを対比させた力作だ。▼猪瀬氏は事件で三島自身が作った「自死の設計図」が、いくつか狂ったことを指摘する。切腹前バルコニーから自衛官に決起をうながした場面もそうである。三島の意に反し、自衛官たちは決起に応じるどころか「ばかやろう」「引っ込め」と罵倒するばかりだった。▼『ペルソナ』によれば当日、市ケ谷の主力部隊は富士の演習場へ行っており、残っていたのは通信などにあたる隊員らだった。三島はそのことを知らず誤算のもととなった。その上で猪瀬氏は、最期まで自らの設計図通りにいかなかった三島の心境を思いやるのだ。▼その事件の日を目前に、今や東京都知事となった猪瀬氏が金銭スキャンダルの渦中の人となった。知事選前、医療法人「徳洲会」から5千万円を受け取っていた。猪瀬氏は借金ですでに返したと説明している。だが道義的に厳しい立場に追い込まれたことは間違いない。▼猪瀬氏も知事になるため自ら設計図を描いていたのだろう。その中に5千万円の「借金」もあったのかもしれない。ただ最大の誤算は徳洲会が大がかりな選挙違反事件を起こし、司直の手にかかったことである。その捜査の過程で5千万円が浮かび上がったのだ。▼一方で、会見では借金が「選挙のため」だったかについて説明を転々とさせた。政治家として未熟さもうかがわせている。緻密な考証で知られたノンフィクション作家からの「転身の設計図」が妥当だったのかと、ついつい思ってしまう。
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〈来栖の独白 2013/11/24 〉
 同感だ。作家としての猪瀬氏は、好ましかった。『ペルソナ』の末尾、以下。
“ 三島が切腹して6時間後、六本木の防衛庁本館で事務次官の送別パーティが開かれて、五百本のビールの栓がつぎつぎに抜かれた。その日のパーティをなぜ延期しなかったかと問われた広報課長は「三島事件のようなハプニングに左右されることは全然ない」と答えた。官僚たちはひたすら<彼らの日常性を“防衛”したのである。> ”
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