神戸連続児童殺傷23年 加害男性からの手紙3年連続届かず「ぜひ書いて」 土師守さん 2020/5/22

2020-05-22 | 神戸 連続児童殺傷事件 酒鬼薔薇聖斗

神戸連続児童殺傷23年 加害男性からの手紙3年連続届かず「ぜひ書いて」
2020/5/22(金) 17:59配信 神戸新聞NEXT

 1997年に神戸市須磨区で起きた連続児童殺傷事件で、小学6年の土師淳君=当時(11)=が亡くなってから24日で23年となるのを前に、父親の守さん(64)が神戸新聞社の取材に応じた。新型コロナウイルスの影響で、月に2回行っていた淳君の墓参りは1カ月ほど控えているが、守さんは「昔と変わらず、かわいい子ども」と慈しむ。この時期に加害男性(37)が送ってきた手紙は3年連続で届かず、「手紙は彼が事件と真摯に向き合う手段の一つ。ぜひ書いてほしい」と改めて求めた。主なやりとりは次の通り。

■淳君について
 -事件から23年がたつ。
 今思っても非常に特異な事件だった。また、事件が長い時間の間に皆さんの記憶から薄れていると思うが、仕方ないし当然だと思う。私たちとしては忘れられた方が楽。大事なことは事件の教訓を忘れずに生かすこと。そして教訓を考えるのは加害男性の責務だ。
 -今、淳君に対する思いは。
 昔と変わらず、私たちにとってはかわいい子ども。それは変わらないし、この先も持ち続ける思いだ。淳は非常に純粋で優しい子どもだった。人をたたくなんてことは絶対にしない。ヒマワリの花が好きだったかな。
 -淳君の墓参りなどは。
 毎日、仏壇に線香をあげ、静かに祈っている。明石市の墓参りも隔週、夫婦で必ず行く。ただ、今は新型コロナウイルスの影響で1カ月ほど自粛している。
 -家族と時を重ねる中で淳君に対する気持ちに変化は。
 変化はないが、淳が亡くなった後、数年前には両親が亡くなった。でも(淳君の兄の)長男が結婚し、孫たちにも恵まれた。新しい命は家族にとっての希望で素晴らしいこと。孫が泊まりに来た日はとても大変だ(笑)。淳のことを話すかどうかは、理解できる年齢になった時に考える。
 -この1年で印象に残った出来事は。
 昨年7月に起きた京都アニメーションの放火殺人事件。戦りつが走った。あんな残酷なことが人間ってできるのか、と思った。亡くなった人や被害者の数が多く、遺族や被害者への細かい支援ができたのか心配だ。
 -人が亡くなるような事件や事故を、一般の人が身近に感じることは難しい。
 難しい。私も事件に遭うまでは、それまでの事件について人ごとのように考えていたと思う。事件事故は減ることはあっても、無くならないだろう。でも、人は相手の痛みを想像できる。それを社会全体で考えていけば、遺族や被害者の苦しみを和らげる社会になるだろう。

 ■加害男性について
 -今年、加害男性から連絡や手紙は。
  今年は、まだない。
 -加害男性からの手紙が届かなくなったことをどう受け止めるか。
  私たちが求めているのは「なぜ、子どもの命が奪われなければいけなかったのか」。手紙を読むのはつらかったが、その答えが欲しい。そのためには加害男性が自分の起こした犯罪に対し、真摯に向き合うべきだ。手紙を書くのは一つの手段だと思う。私たちが手紙を受け取る、受け取らないは別にして、加害男性が手紙を書くというのは重要。ぜひとも書いてほしい。
 -これまで届いた手紙を通して「なぜ」に近づけたか。
 手紙を読むのはつらいが、できる限り、よりよく解釈しようとした。だが彼が5年前に手記を出版し、その思いは完全につぶされた。もう一度、きちんと向き合った上で答えを出してほしい。「なぜ、子どもの命が奪われなければいけないのか」を知るのは、親としての責務。強く加害男性に求める必要がある。
 -加害男性の情報開示については。
 加害男性が、どこで何をしようが興味はない。ただ「会いたい」とは思っていないので、居住地は知っておきたい。そこには近づかない。でも、現在の日本の法律で情報開示を求めるのは難しい。加害者の情報を知りたい被害者や遺族が求めれば、開示されるような法律やシステムを構築してほしい。

 ■犯罪被害者の支援問題について
 -今年に改正、施行された明石市の犯罪被害者支援条例の検討会に参加するなど、犯罪被害者の支援に取り組んできた。
 「淳のためにしないといけない」という思いがあり、ずっと継続してきた。「全国犯罪被害者の会(あすの会)」の活動のおかげで被害者支援は前進したが、経済補償や被害者のきょうだいへの教育支援など積み残された課題は多い。条例がない市町村も多い。条例は遺族や被害者にとってのセーフティーネットだ。早く制定してほしい。今後もできる範囲で活動は続けていきたい。

【神戸連続児童殺傷事件】神戸市須磨区で1997年2~5月に小学生5人が襲われ、3月に小4の山下彩花ちゃん=当時(10)=が、5月に小6の土師淳君=同(11)=が亡くなった。兵庫県警は同年6月、殺人容疑などで中学3年の少年=同(14)=を逮捕。少年は関東医療少年院に収容され、2005年に退院した。

 最終更新:5/22(金) 20:54 神戸新聞NEXT
 
 ◎上記事は[Yahoo!JAPAN ニュース]からの転載・引用です
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【元少年Aを闇に戻したのは誰か 7年2カ月の更生期間が水の泡】杉本研士・関東医療少年院元院長 2015/9/16

    
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元少年A一家は、被害者遺族から損害賠償請求を起こされ、約2億円の負債を背負っている。これまで約8700万円を返済 ※『週刊朝日』 2015/6/26号

『絶歌』元少年A著 2015年6月 初版発行 〈毎年3月に入ると、被害者の方への手紙の準備に取りかかる。〉
『絶歌』元少年A著 2015年6月 初版発行 太田出版 (神戸連続児童殺傷事件 酒鬼薔薇聖斗)


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