神戸連続児童殺傷事件 手記『絶歌』が週間売り上げ1位に 販売自粛の書店も

2015-06-16 | 神戸 連続児童殺傷事件 酒鬼薔薇聖斗

〈来栖の独白 2015.6.16 Tue. 〉
  事件被害者遺族の心情を慮って同著を取り扱わない書店もあるなど、否定的な空気も大きいようだが、私は寧ろ、同著は遺族に読んで貰いたいと思った。決して遺族を更に苦しめるような内容ではない。多くの有名人が否定的なコメントを寄せているようだが、果たして彼らは同著を読んだ上でコメントしているのだろうか、と疑問が湧く。メディアが取り上げた僅かのセンテンス(情報)のみに依拠して論評しているのではないか。
 事件以来、元少年Aは、己が犯した事件のことを、来る日も来る日も考えてきた。なぜ過ちを犯してしまったのか、それによって如何ほど被害者遺族を苦しめることになったか、また自分の家族を苦しめたか・・・・。その、じっと考える、考えずにはいられない生き様が赤裸々に、繰り返し綴られている。
 犯行時のことが確かな記憶をもって描かれているので、18年を経てなお遺族には辛いことは否めないだろう。しかし、元少年Aの深い改悛の情に耳を傾けることは「更なる苦しみ」だけには終わらない、と私には思える。元少年Aは決して18年前を忘れて今日まで生きてきたのではない。忘れて生きた日は、1日もなかった。大きな罪を犯した人間が、その後をこのように生きることもできる・・・。多くの人に読んで貰いたいと願わずにいられない。
 附けたりを一つ。表現や文体などについて云えば、精いっぱい背伸びして書いているなと感じさせる。気負いもあったろう。ただ、例えば230頁からの「山地悠紀夫故死刑囚(大阪姉妹刺殺事件)」についてのように、よく調べて書き、その上での著者独自の鋭い洞察には、思わず引き込まれてしまった。
  * 山地悠紀夫・前上博死刑囚(大阪拘)、陳徳通死刑囚(東京拘)に刑執行=森英介法相 2009-07-28 
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 連続殺傷事件の手記「絶歌」が週間売り上げ1位に 販売自粛の書店も
 産経新聞 6月16日(火)13時58分配信
 出版流通大手のトーハンが16日発表した週間ベストセラー(7~13日)で、神戸市連続児童殺傷事件の加害男性による手記「絶歌」(太田出版)が総合1位となった。同書は11日に発売され、版元によると初版10万部。
 同書の販売については書店の対応も分かれ、東京都と神奈川県で38店舗を展開する啓文堂書店では被害者遺族の心情に配慮して、全店で同書を販売しておらず、客からの注文も受け付けていない。また通販サイト「丸善&ジュンク堂ネットストア」では16日正午現在、同書は「現在ご注文いただけません」と表示されている。担当者によると在庫切れの上、版元と連絡が取りにくい状況で入荷の予定がないためという。
 同書の出版をめぐっては、平成9年に男性に殺害された土師淳君=当時(11)=の遺族が同社に抗議し、回収するよう文書で求めている。
 最終更新:6月16日(火)18時39分
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 神戸新聞NEXT 2015/6/16 18:50
神戸連続児童殺傷 「手記」の対応、地元で割れる
 1997年の神戸・連続児童殺傷事件の加害男性による手記「絶歌」について、一部の書店チェーンが遺族の心情に配慮し、店頭での販売を見合わせている。事件の“地元”である神戸市内でも同様の動きが出る一方、あえて販売する店も。また、神戸市立図書館は閲覧の可否を週内にも判断するという。
 事件で殺害された土師淳君=当時(11)=の遺族は「最愛の子が殺害された状況をあらためて広く公表され、いたたまれない」として、発行元の太田出版に手記の回収を求める抗議文を送っている。
 15道府県に「喜久屋書店」を展開するキクヤ図書販売(本社・神戸市)は12日、「遺族の許可を得ずに出版した経緯が分かった」などとして手記を全国33店から撤去した。同社は「遺族の気持ちを踏みにじる本は売れない」と説明する。
 関東を拠点とする啓文堂書店(東京都)は全38店で販売を見合わせ、ネット販売大手のアマゾンでも新品を購入できない状況。同社は「個別商品の取り扱い基準については回答を控える」とする。
 一方、事件の現場があった神戸市須磨区の書店は「地域に大きなショックを与えた事件だけに、加害男性のその後を知りたいという思いに応える責任もある」と言い、店頭には置かず注文販売のみ続けるという。
 図書館も対応に頭を悩ませる。神戸市立中央図書館の松永憲明・利用サービス課長は「市内で起きた事件で、購入しないわけにはいかない」としつつ、閲覧・貸し出しについては週内の「運営会議」で判断するという。
 同市立図書館は98年に月刊誌が同事件の検事調書を掲載した際、「地元図書館としての倫理上の問題」などを理由に閲覧を中止した経緯がある。松永課長は「今回も地元としてのあり方が判断のポイントになる」と話す。
 西宮市立図書館は「市民から数件の所蔵要請があった。裁判所による出版差し止めなどがない以上、閲覧は制限しないだろう」としている。(森本尚樹)
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『絶歌』元少年A著 2015年6月 初版発行 太田出版 (神戸連続児童殺傷事件 酒鬼薔薇聖斗)
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