本田圭佑が所属するCSKAモスクワは「世界で一番脱出が難しいクラブ」:臼北信行のスポーツ裏ネタ通信

2013-09-19 | 相撲・野球・・・など

臼北信行のスポーツ裏ネタ通信:本田圭佑が所属するCSKAモスクワは「世界で一番脱出が難しいクラブ」
 今夏のACミランへの移籍が破談となった本田圭佑。2014年1月には4年契約でACミランに行くとみられていたのだが、どうやらこれも怪しくなってきたようだ。
 [臼北信行,Business Media 誠] 2013年09月19日 07時00分 更新
 まだ、もうひと波乱あるかもしれない。CSKAモスクワ(ロシア)本田圭佑の移籍についてである。ACミラン(イタリア)への今夏移籍が濃厚視されていながらもCSKA側との移籍金をめぐる交渉は不調のまま終わり、2013年9月2日のデッドラインを迎えて破談。しかし2014年1月になればCSKAとの契約が切れ、移籍金も発生しないことから、ミランは冬の移籍市場で本田を獲得する方針を固めている。
 本田側とも今冬の加入で合意しているというが、本当に4カ月後のミラン入りはスンナリと実現するのだろうか。周辺の取材を進めてみると、どうもまだ「?」の文字が拭えない。
 というのも今夏のミラン移籍が破談したのは、本田のチーム残留をいまだあきらめてないCSKA側が仕組んだ深謀遠慮という見方も出ているからだ。どうやら、この先も本田側はCSAの掌で転がされる可能性があるというのである。CSKAとも交渉経験があるFIFA公認の某代理人は次のように打ち明けた。
 「CSKAは本田を戦力として欲している。つまり2014年1月以降もチームに残ってほしいと願っているのです。当初はチームの功労者、本田の移籍を認める方針だったが、穴埋めとなる補強策が失敗に終わった。これで『もう本田を手放すわけにはいかない』となったのです。CSKAのギネル会長もミランとの交渉を続けていましたが、途中から『移籍金1000万ユーロ(約13億円)でも本田を売らない』と言い始めたのも心からの本音。しかも本田の今夏のミラン移籍が消滅し、ギネル会長はクラブの幹部たちとモスクワで祝杯を挙げたとか。CSKAにはまだ、本田残留への逆転のシナリオがある」
 この代理人は「CSKA寄り」で知られていることから話に多少尾ひれがついているかもしれないが、あながちすべてが妄言とは断じられない。
■UEFAチャンピオンズリーグはチームをまたがって出場できない
 ミランは本田の今夏獲得が難しいと見るや、レアル・マドリード(スペイン)からブラジル代表MF、カカを獲得して戦力を整えた。だが、そのカカが9月14日のトリノ戦で左内転筋を痛めて約1カ月の戦線離脱を強いられるなど、現在のミランは中盤だけでなく前線や守備陣、あらゆるところで故障者が続出する憂き目にあっている。
 とはいえ、キーマンのカカが復帰するであろう10月半ばには「チームもそれなりの形になって安定し、ミラン本来の姿に戻るはず」というのがイタリアメディアの一致した見方だ。今冬にミランのチーム状態が好調モードになれば、本田は加入したとしてもポジションがなくサポート的な役回りにされ、ベンチ要員となることもあり得る。いや、各メディアで「合意した」と報じられた2014年1月からの4年契約もミランは「状況が変わった」として破棄を申し出てくるかもしれない。
 一方、CSKAでの本田は、9月17日から始まった欧州チャンピオンズリーグ(CL)の出場メンバーに登録されるなどチーム内での立場が保障されている。本田側は自分が置かれた状況を冷静に見つめ直してミラン移籍をあきらめ、レギュラーが確保されているCSKAに残留することを視野に入れ出すに違いない――。それがCSKAの思い描く「逆転のシナリオ」なのだという。
 何もCSKAの思惑に乗っかる必要はないが、確かに本田にとって今冬のミラン移籍はリスクが大きい。同一シーズンに2つのチームでCLにできないルールがあるため、CSKAでCLに出場した本田はミラン移籍後の欧州カップ戦線を棒に振ることになる。2014年夏のブラジルW杯を目前にして実戦の場が減少するのは、かなりのマイナスだ。
 しかも有識者たちの間からは「チームの強豪度を示すUEFA(欧州サッカー連盟)のクラブランキングでもCSKAが18位であるのに対し、ミランは12位で爆発的なジャンプアップではない。本田が望む『ビッグクラブ移籍』にはならないのではないか」という指摘まで出ている。
■移籍会見で「大変だった……」と号泣したブラジル人FW
 ともあれ、本田の今夏移籍を“阻止”したCSKAは、ここまでシナリオ通りに流れを進めているといえるのかもしれない。「金銭的に余裕があるCSKAは戦力の切り売りを基本的にしない。選手の退団を認めるのはもうチームの役に立たないか、あるいは自分たちが完全に満足できるオファーが来た場合に限られる。本田も、もうすぐ契約が切れるからといって、まだ安心はできないと思う。何をやってくるか分からないからね、このクラブは……。このCSKAが代理人たちの間で『世界で一番脱出が難しいクラブ』と言われているのは、過去にあったいくつかの例が証明している」とは露サッカー事情に詳しい別の代理人だ。
 CSKAには今夏までブラジル人FW、ワグネル・ラブ(現在は中国スーパーリーグ・山東魯能)というエースストライカーがいた。ラブは2004年6月にCSKAへ入団。メキメキと頭角を現し、欧州の強豪クラブから数多くのオファーが舞い込んだが、その度にCSKAはことごとく拒絶した。
 2012年1月にはCSKAからCRフラメンゴ(ブラジル)に推定1000万ユーロ(約13億2000万円)の移籍金で完全移籍(結局、半年後にCSKAへ再復帰)したが、それまでの両クラブ間の交渉も当然のように難航。生まれ故郷の名門チームでのプレーを望んだラブから「僕の給料を減らして、その分を移籍金に上乗せしてほしい」と提案されたことでフラメンゴ側はなんとかCSKAの希望額を捻出し、獲得にこぎつけた。その想像を絶する苦労はラブがフラメンゴの入団会見で「とにかく大変だった……」と安堵とともに号泣したことからも察せられる。これまでCSKAでラブのように長期に渡って“幽閉”されたケースは「枚挙にいとまがない」(前出の代理人)そうだ。
 本田側の代理人もCSKAの執拗な囲い込みには、それこそウンザリしているに違いない。しかし……。何だかんだいってもCSKAは本田残留を最終的にはあきらめなければならないだろう。今冬の「ロシア脱出」を固く心に決めている本田はミランにこだわらず、他の欧州クラブからのビッグオファーも待つつもりだからだ。
 CSKAはCLで昨季の欧州王者バイエルン・ミュンヘン(ドイツ)、マンチェスターシティ(イングランド)と同組。ロシア国内リーグはもちろん、このCLでも強豪クラブを相手に活躍し、上位進出の原動力となれば本田の株は今以上に高騰するだろう。すでに英メディアでは、プレミアリーグのアーセナルやリバプール、エバートンといった名門クラブが今冬の本田獲得に強い関心を示しているとも報じられている。
■オレはCSKAで選手生活を終えるつもりはまったくない
 本田自身も「冬にはたくさんのチョイスがある」と、CSKAとの契約が満了となる2014年1月の移籍先がミランだけに限らないことを明言。残り4カ月弱で自分の価値をさらに高め、ビッグクラブからのオファーを呼び込む腹を固めているのだ。
 「CSKAには感謝している。でもオレはCSKAで選手生活を終えるつもりはまったくない」――これが本田の答えだ。おそらくCSKAは契約が切れる期限ギリギリまで本田を「チーム残留」に変心させようと、さまざまな策を講じてくることだろう。
 だが、日本のエースはCSKAが考えている以上に強い意志を持った男である。「ケイスケは間違いなく強い男だよ。自分が今後どうするべきかという人生設計や目標をしっかりと描いて、それを実践しようと日々努力している。あの若さで本当にたいしたもんだよ。彼は『レアル・マドリードに入る』ということを目標にしているわけだから、CSKAに残ることはないね。今後CSKAから、どんなに強い形で残留のアプローチがあってもケイスケが耳を傾けることはないよ。自分が一度決めたことを破棄したり、妥協することが大嫌いな男だからね。きっと彼は次の冬でCSKAを離れるよ」と語ったのは、今夏までチームメートだったラブの弁である。
 プロサッカー界には、ビジネスが絡んでいるだけに魑魅魍魎とした暗部があることは否定できない。世界を見渡せば「所属選手が離れたくても離れられない」というCSKAのような特異なクラブも存在する。しかしながら、そんな厳しい環境下でも結果を出し、自らの理想郷に向かって突き進む本田は文句なしのスーパープレーヤーだ。キャリアアップを目指すビジネスパーソンたちも、ぜひ本田の生き様に注目していただきたい。
 <筆者プロフィール>臼北信行
 日本のプロ野球や米メジャーリーグを中心としたスポーツ界の裏ネタ取材を得意とするライター。WBCや五輪、サッカーW杯など数々の国際大会での取材経験も豊富。
 *上記事の著作権は[Business Media 誠]に帰属します
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