小沢弁護団のまとめ役 辻恵議員に緊急インタビュー/小沢一郎氏裁判26日判決=強制起訴事件で2例目

2012-04-25 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア

謀略判決 あるのかないのか 小沢弁護団のまとめ役 辻恵議員に緊急インタビュー
日刊ゲンダイ2012年4月25日 掲載
  小沢弁護団のまとめ役である民主党の辻恵衆院議員は、あすの判決を前に、「無罪を確信している。小沢さんとも話したが、同じだった」と断言した。
 「もともとが小沢さんの抹殺を狙った謀略事件、政治的裁判だから、100%安心しているわけではありません。ただ、どう考えても、この裁判は、推認に推認を重ね、ネジ曲げても有罪にするのは不可能な裁判であり、続けている意味がないのです」
  万々が一、無罪がネジ曲げられるとしたら、どんなケースが考えられるのか。弁護士でもある辻議員にぶつけてみた。
 「ひとつは、例の“ヤクザの親分”理論でしょう。山口組組長が拳銃を持った子分の共謀共同正犯に問われ、高裁で逆転有罪判決を受けた。小沢さんの裁判で検事役の指定弁護士は、論告求刑でこの理論を最後のよりどころにしていた。具体的な共謀事実がなくても、小沢さんと秘書は親分子分の関係だからアウンの呼吸で分かっていた。共謀関係が成り立つんだと。しかし、これはムチャクチャ。山口組組長の有罪判決そのものに無理があるうえ、小沢さんのケースとは事実関係が全く異なるのです。もうひとつ、懸念材料があるとしたら、裁判長が苦し紛れに間を取って罰金刑の有罪判決を出す危険です。かつて人権派の安田好弘弁護士がRCC(整理回収機構)の謀略によって、強制執行妨害容疑で逮捕され、やはり高裁で罰金50万円の逆転有罪判決を受けた。これは検察のメンツを立てつつ、一方で罰金刑ゆえ弁護士資格を奪わないという政治的な判決でしたが、小沢さんの判決でも、監督責任という軽微な落ち度などを理由にして、灰色の判決を出す可能性がゼロとはいえないのです」
  この監督責任は、小沢氏起訴の訴因にも入っていない。裁判長が拡大解釈して無理やりこじつけたとしたら、自殺行為。笑いものだという。
 「まあ、大丈夫でしょう。検察が起訴した事件と違って、起訴できなかった事件の審理をやり直してみたが、結局、何も出てこなかった。その意味で無罪判決を出しやすいと思います。それよりも、ここで謀略裁判を終わらせることが大事。無罪判決後の控訴を、どう断念させるかが問題です」
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<来栖の独白2012/4/25Wed.>
 明日、小沢一郎氏に対する強制起訴事件の判決がある。
 強制起訴事案に無罪判決では制度の是非が問われるのでは、というのは性急だ。
 那覇地裁における無罪判決が「強制起訴制度」による初めての判決だった。
 だが、この事案と小沢一郎氏への強制起訴事案とは、様相を全くことにする。小沢一郎氏の件は、政治裁判である。証拠がなく立件できないものを、時の権力や検察といった権益を共有する者たちがメディアを使って国民感情をあおり、強制起訴させた。
 繰り返しになるが2点、記しておきたい。
 「市民による」ということでは強制起訴とともに裁判員裁判がある。が、裁判員裁判の目的は、最高裁や法務省が言う「国民の常識を裁判に反映させる」とは書いていない。裁判員法1条は「国民の理解の増進と信頼の向上」と定めている。
 「推定無罪」とは、確定判決までは無罪との意味もあるが、「挙証責任」は検察側にあるということだ。小沢氏裁判で、この責任を検察は果たしただろうか。
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「強制起訴」無罪 制度成熟へ議論深めたい
 西日本新聞朝刊 2012/03/18付 2012年3月18日 10:50
 未公開株の上場話を持ちかけて現金をだまし取ったとして、詐欺罪で強制起訴された投資会社社長に対する判決で、那覇地裁が無罪を言い渡した。
 検察審査会法の改正で2009年5月から導入された「強制起訴制度」による被告への初めての判決だった。
 その判決で、検察審査会が「市民感覚」に基づいて起訴すべきだと議決した被告の「犯罪行為」が、裁判所から「犯罪に該当しない」とされたのである。
 強制起訴は、検察官が「嫌疑不十分」などとして不起訴にした事件を「市民の目線」でチェックし、罪に問うことを可能にする制度として導入された。
 「有罪の確信」を得た容疑者に絞って訴追する検察官による起訴に比べて、有罪率が低くなると予想されていたとはいえ、この無罪判決が今後、強制起訴制度に与える影響は大きい。
 起訴に「法と証拠に基づく厳密な立証が可能であること」を求める立場からは早くも制度の見直し論も出ている。
 「起訴」=「有罪」とみられがちな日本社会の中では、起訴された被告や家族の精神的な負担は計り知れない。起訴によって人権が傷つけられ、無罪になっても大きなダメージが残る。
 今回無罪となった被告も、逮捕から不起訴、強制起訴と翻弄(ほんろう)された、この2年間の精神的ダメージの重さを語った。
 「証拠に基づいた法律論」で判断すべき起訴に、検察審査会議決はどうしても情緒的な判断が入り込むという現実も、見直し論の背景にある。
 市民による検察審査会の議決を受けた強制起訴であっても、起訴は国家権力の行使であり「抑制的な判断」が必要なことは言うまでもない。
 強制起訴された被告の人権を守る仕組みをどうつくるか。審査や議決の在り方を含め、見直すべきは見直したい。
 同時に「起訴=有罪」ではなく、裁判で真実が究明されるまで被告は「推定無罪」である-との大原則を共有できる社会づくりが何より大切だ。
 とはいえ、無罪判決で強制起訴制度が否定されたわけではない。これまで検察が密室で行ってきた不起訴判断の妥当性を国民に見える形で明らかにする意味は、無罪でも失われるものではない。
 市民常識に照らして有罪の可能性があれば、公開法廷での審理を通して真相に迫ることに、この制度の意義がある。
 今後、4月下旬の民主党元代表・小沢一郎被告に対する判決など、強制起訴事件の判決が続く。いずれも有罪立証のハードルは低くない。しかし、そこで無罪判決が続いたとしても、直ちに制度の存廃をめぐる議論にまで踏み込むのは時期尚早だろう。
 市民感覚を司法判断に生かしていく制度は、動きだしたばかりである。同時に導入された裁判員制度と同様、いま必要なのは、これらの制度をより良いものにしていくための議論である。
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小沢元代表に26日判決=強制起訴事件で2例目-東京地裁
 資金管理団体「陸山会」の土地取引をめぐり、政治資金規正法違反(収支報告書の虚偽記載)罪に問われた民主党元代表小沢一郎被告(69)への判決が26日午前10時、東京地裁(大善文男裁判長)で言い渡される。国会議員への判決では、有罪とされれば昨年の石川知裕衆院議員以来で、全面無罪となれば2006年の村岡兼造元官房長官の一審判決=二審で逆転有罪、確定=以来となる。(時事通信2012/04/25-14:26)
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KSD事件・日歯連事件の笠間治雄氏が検事総長に/ 「けもの道」の闇が更に深くなった 2010-12-28 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア 
 次に日歯連事件である。三井環著『検察の大罪 裏金隠しが生んだ政権との黒い癒着』から、みてみたい。(本文29~59ページより抜粋)

               

 “この事件は、大物政治家の関わる事件の検察による捜査が途中で不可解に打ち切られ、当事者は起訴されず、当事者でない人間が起訴された冤罪事件として、特異なものである。
 日歯連とは、全国の歯医者から会費を取って、運営している公益法人である。日歯連は、医者と歯医者との診療費の格差が広がる一方だと危機感を抱き、診療報酬改定を自民党議員に強く要望し、多額の裏献金を続けていた。
 平成一三年一月から同一五年の間に、自民党の国会議員に約二二億円の金をばらまいたとされる。その結果、平成一四年には「かかりつけ初診料」が前年二一〇億円だったのが、一〇七〇億円に増加した。
 日歯連の裏献金システムは、いわゆる「迂回献金システム」ともいわれる。日歯連は特定の自民党国会議員に金を渡すに当たり、最終的に金を渡したい国会議員を指定。まず、自民党の政治資金団体である「国民政治協会」に献金する。「国民政治協会」は献金を受け取って、領収書を発行し、協会への献金として会計処理する。最終的には指定された国会議員に金を渡す。
 事件の発端は、平成一三年七月二日夜、東京・赤坂にある高級料亭「口悦」で橋本龍太郎元首相、野中広務元自民党幹事長、青木幹雄元参議院幹事長が、日歯連の臼田則夫会長らと夕食をともにし、臼田会長から橋本元首相に、額面一億円の小切手が手渡されたことから始まる。
 橋本元首相はこれを受け取り、同派の政治団体「平政研究会」の滝川俊行事務局長が金庫に入れて、まもなく現金化した。
 平成一四年三月が提出期限となっている同一三年分の政治資金収支報告書に、一億円の献金の事実を記載しないで裏金として処理したという。まぎれもない政治資金規正法違反事件なのである。
 東京地検特捜部が、政治資金規正法違反の情報を入手したのは、平成一五年になってからである。同年八月に滝川事務局長を逮捕、起訴。同人の証言を唯一の根拠として、平成一五年三月一三日、村岡兼造元官房長官を在宅起訴した。現場にいた橋本龍太郎元首相、野中広務元自民党幹事長、青木幹雄元参議院幹事長の三人は、起訴せずにである。
 なぜ、このようにゆがんだ捜査となったのか。
 結局、村岡は一審で無罪となった。その判決理由は、「滝川事務局長の証言は橋本氏ら派閥の幹部や自民党全体に累が及ばないよう」虚偽証言をした可能性があるというものだった。
 しかし東京高裁は逆転有罪とし、「禁固一〇月執行猶予三年」の判決を下した。その判決理由の中で「他の派閥幹部も起訴する処理も考えられた」と述べ、検察捜査に異例の注文をつけた。
 また、東京第二検察審査会は、平成一七年一月一九日、橋本、青木、野中の三人を起訴しなかった検察の判断につき、「不起訴不当」の議決をした。しかし特捜部は三人とも「不起訴処分」の判断を下している。
 この事件の検察捜査は、きわめて不透明な形で幕引きがはかられたことで、多くのジャーナリストの見解が一致している。
「本来裁かれるべき巨大な不正の痕跡にはふたをし、引退した老政治家にすべての罪を押しつけるかのような捜査からは、政治と検察との間に沈殿する腐臭すら漂ってくる」
 と評するのは、ジャーナリストの青木理氏だ。
 まず、同違反の事実についてみる。
 一億円の金を、いったい何に使ったのか。それが捜査の最大の争点である。当時は参議院選挙の直前であった。平政研究会には約一〇〇人の議員がいた。それらの議員の選挙活動資金ではなかったのか? そうであるなら、公職選挙法違反事件へと発展する。
 また、当時は診療報酬改定にむけ、日歯連は奔走していた。その依頼の趣旨の金ではなかったのか? そうであるなら、贈収賄事件へと発展する。
 領収書を発行しないで裏金処理したのは、犯罪性があるからではなかったのか? 当然これらの点が、重大な捜査の対象となる。
 ところが、なんらその使途についての捜査をした形跡が認められない。
 橋本元首相は取り調べ時、「一億円の小切手をもらった記憶がない」と供述したが、それ以上突っ込んだ取り調べはなされていない。「記憶がない」というのは、木で鼻をくくるようなことではないか。結局はお茶をにごした捜査だったのだ。その巨大な闇にすべてのふたをしてしまった。通常ではあり得ない、信じがたい捜査なのだ。
 小沢幹事長をめぐる土地疑惑事件では、四億円の原資を追及するため、石川議員らを逮捕勾留した。小沢幹事長を狙った捜査と対比すれば、いかに異常な捜査であるかがわかる。
 日歯連事件は本来、献金を自ら受け取り、秘書が政治資金収支報告書に不記載としたことの監督責任があった橋本龍太郎が主犯格であり、野中、青木も同席したことで関与の責任を問われ、逮捕、起訴を免れ得ない、闇献金事件なのである。
 巨大な闇にすべてふたをした理由は、いったい何だったのだろうか? その回答はやはり、政権と検察との「けもの道」にある。
 実は、私のでっちあげ逮捕直前の平成一四年三月末、京都駅前にある新都ホテルにおいて、私は野中広務と会ったことがある。京都の野中の事務所の青木秘書から、裏金問題で野中が会いたいと言っているという連絡があった。そこで私が新都ホテルに行くと、青木秘書ともう一人の秘書が出迎えてくれて、エレベーターに乗り、だいぶ上の階だったと記憶しているが、ホテルの部屋に行った。そこに野中が待っていてくれた。
 その部屋はホテルを事務所に改築したもので、一対一で一時間くらい裏金作りの実態と、「けもの道」の話をした。
 野中は「裏金問題は改革しないとダメだ」と言われた。当時は鈴木宗男議員の疑惑報道がなされていた。野中は、「北方領土問題解決のためには鈴木宗男は必要な人です。彼がいないと解決できない」と話されたのをよく覚えている。
 このように、野中は法務検察の組織的な裏金作りの実態と、政権と検察がゆ着した「けもの道」を知っていた人物の一人である。
 当時の政権は、平成一三年一〇月末の「けもの道」のやりとりのときと同じ、小泉政権である。検事総長は、「けもの道」当時の法務事務次官であった松尾邦弘検事総長であった。当然、橋本元首相、青木参議院幹事長らも、「けもの道」のやりとりを知っていたものと思われる。
 東京地検特捜部は、野中と村岡元官房長官の二人を起訴したい方針であった。だが、松尾邦弘検事総長は一人でいいと指示し、結局、野中は起訴猶予処分となった。
 野中が「裏金を公表しようかね」とさえ言えば、自らの起訴は免れたであろう。いや、そこまで言わなくとも、匂わせさえすれば十分だ。また、橋本元総理、青木元参議院議員幹事長らに対しても、起訴することはできなかったと思われる。
 どうしてか。
 起訴すればその報復として、法務検察の裏金問題が公表されるかも知れないからだ。そのため、その巨大な闇にすべてふたをしたのではないか。私はそれ以外の理由はないと考えている。
 日歯連事件は、約八ヵ月にわたって捜査が遂行され、大々的に報道された事件である。国会議員一人だけは何としても起訴しないことには、検察のメンツ丸つぶれである。だが、中心人物は「けもの道」により守られ、起訴できない。そこで、目を付けられたのが村岡であった。議員を辞めており、「けもの道」のなんたるかすらも知らない村岡は、いわば「けもの道」の犠牲者である。
迂回献金捜査の打ち切り
 特捜部は政治資金規正法違反の捜査の過程で、日歯連から約五億円が、診療報酬改定をめぐって自民党議員約二〇人に渡っているとの確証を掴んだ。贈収賄事件などの大疑獄事件へと発展する様相を呈した。
 そのまま捜査が進展したなら、小泉政権そのものに大きな打撃を与えただろう。自民党政権が崩壊する危険性もあった。
 ところが、捜査の最終局面において、松尾検事総長が捜査の打ち切りを指示したと言われる。それに反発した特捜検事の一人が辞職したという。検事総長が特捜部の捜査の打ち切りを指示する。通常ではあり得ない。
 松尾検事総長は若手検事の頃から、贈収賄事件などの独自捜査を遂行した。以前は現金による贈収賄事件のみの立件しかなかった。飲食接待の贈収賄事件は立件することもなかった。大蔵省のいわゆる「ノーパンしゃぶしゃぶ接待」を、初めて立件逮捕起訴した人でもある。清廉潔白な人で、大疑獄事件に発展するような政界の大贈収賄事件の捜査を、途中で打ち切るような人ではない。
 というのも、以前、松尾検事総長の松山地検検事正時代に、私は氏と手紙のやりとりをしたことがあるからである。平成一二年四月一七日に送られた手紙には、彼の独自捜査の経験や検察官の心構え、使命感について書いてあった。少し長いが、引用させていただく。
 独自捜査の過程で困難に直面し、安易な道を往けばよかったと、一度ならず思ったものでしたが、そうしたことに懲りずに同じ道を往き、一度は辞表を書くまでに至った こともありますが、このときは検事正、先輩に助けられ、職に止まることになりました。
 大切なことは、事件にきちんと向き合う姿勢を堅持することにあるように思います。送致事件であれ、独自捜査事件であれ、事件の捜査の終局処理を国民から託されている検察官としての誇りを心の底にしっかりと持つことが大切だと思います。
 力強くしたためられた文字を見る限り、彼の本心の言葉であると私は確信している。
 そんな松尾検事総長が、独自の考えで打ち切りを指示したものでない。断じてそれはあり得ない。松尾検事総長は涙ながらの苦渋の決断をしたのだと、私は考えている。検察首脳が「けもの道」という最悪の選択をしてしまったために・・・。
 他方、特捜部では一人の若手検事が辞表を提出し、退職した。彼は「将来の特捜部を背負っていく存在」とまで言われた優秀な人材だったという。退職の本当の理由は定かではないが、「日歯連事件の捜査方針が納得できない」と周囲に漏らしていたという話だ。彼はなぜ捜査が打ち切られたのか、まったく知らないはずだ。
 松尾検事総長が下した判断の「本当の意味」を知っている法務検察幹部は、ごく一部である。特捜部の連中は多分知らないだろう。この事件はそれぞれの立場で苦悩し、人生を歪めた事件だった。
 それではいったい、何があったのか? 打ち切りの闇には何があるのか。
 それは、検察が抱える自らの大罪、つまり政権へのすり寄りという「けもの道」以外にないのではないか。それ以外の理由では、政治資金規正法違反事件において、一億円の闇献金の捜査をしなかったことを説明することはできない。迂回献金疑惑の捜査を打ち切ったことも、説明することができない。
 法務検察は日歯連事件の真相解明よりも、解明をした場合の小泉政権による反撃が恐ろしかったのであろう。個人が犯罪を犯したとき、ひた隠しにする。いつ発覚するかもしれない恐怖を持ち続ける。それは、法務検察組織もまったく同じではなかったろうか。”  

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