司法：検審議決で起訴の男性に無罪判決 阿寒町死亡事故 釧路地裁
釧路市阿寒町で０５年１０月に起きた死亡事故で、釧路検察審査会から不起訴不当と議決され、業務上過失致死罪に問われた同市の男性会社員（５７）の判決が２４日、釧路地裁で行われ、金子大作裁判官は「被告が事故を起こしたとするには合理的疑いが残る」として無罪を言い渡した。求刑は禁固１年６月だった。
起訴状などによると、男性は０５年１０月１３日午前１１時ごろ、阿寒町の農協駐車場で乗用車をバックさせた際、大森ハナヱさん（当時９０歳）をひいて、死亡させたとされる。男性は「嫌疑不十分」で不起訴処分になったが、不起訴不当の議決を受け、釧路地検が昨年４月に起訴していた。
公判では、検察側が（１）男性の車の底に被害者の衣服で付いた痕跡がある（２）男性は事故当日の供述で事故を起こしたと認めている－－などと主張。男性は無罪を訴えていたが、判決では、車の痕跡について「それほど大きな証明力があるとは評価できない」と指摘。供述調書も「十分な信用性を認められない」と結論付けた。
男性の弁護人は「直接証拠がない中、『証拠に基づいた判断を』との主張が受け入れられた」と評価。一方で、「検察審査会の判断を否定しないが、再捜査・起訴で十分な証拠があったとは思えない。初動捜査ももう少しきちんとやれば（遺族側と被告側の）双方に良かったのでは」と検察と警察を批判した。
事故を巡り約３３００万円の損害賠償を求める訴訟も起こしている、大森さんの長男利雄さん（７３）は「残念。弁護士らとも相談して今後の対応を決めたい」と話した。【山田泰雄】毎日新聞 2011年3月24日 22時53分
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