首相ポストへの執着、微動だにしない菅氏を辞めさせられるか/“小沢首相”が首位=産経とFNN世論調査

2011-04-25 | 政治

「絶対に辞めない菅首相」を辞めさせる方法 統一地方選後の政局は「政権VS野党」から「菅VS与野党」へ
現代ビジネス「ニュースの深層」2011年04月25日(月) 田崎史郎
 菅直人を首相の座から引きずり降ろす「菅降ろし」は成就するのだろうか?菅降ろし勢力の中核、民主党元代表・小沢一郎は「民主党政権うんぬんのレベルではない。傍観しているのは歴史の批判に堪えられない」と従来にない、意を決した言葉で菅打倒を誓う。
 しかし、首相を辞めさせるには大義名分と強いパワーが必要である。最終的には野党が提出する内閣不信任案に民主党が同調し可決できるかどうかが焦点となろう。
統一地方選が4月24日に終了したのを受けて、今週から菅降ろしが再開される。東日本大震災の復旧対策費を盛り込んだ今年度第1次補正予算案が5月2日に成立すれば、この動きはさらに激しくなるだろう。
 菅が己の限界を悟り自ら身を引くことが、有権者からの強い非難の前線に立っている民主党議員にとってベストシナリオだ。しかし、退陣の可能性を取材して回っても「あの人は辞めない」という声ばかりである。
 18日の参院予算委員会でも、たちあがれ日本の元総務相・片山虎之助が「あなたには心がない。身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ、というが、身を捨てるところがない」と痛烈な言葉で退陣を迫ったのに対し、菅はこう答えた。
「私も60数年生きてきましたから、わたしなりに私の心は持っているつもりだ。私としてはやはりここはまずは復旧、復興、できればその前から議論をしていた財政の再建を含めて与野党で共通の青写真をつくって、そして最終的には(衆院議員の)任期が2年半後には来ますから、そこまで、このねじれ国会の形の中から、与野党共同での形が取れれば、私は歴史的な使命を果たした、そこまで来れば本望だと思っております」
 不思議なことに、菅の発言には民主党代表としての任期が来年9月で切れ、代表選が行われるという政治日程が入っていない。代表選で再選される可能性は極めて低いのだが、菅の発想はいきなり、2013年8月の衆院議員の任期に飛ぶ。再選は当たり前と思っているかのようだ。
 菅は21日、避難所となっている福島県田村市総合体育館を訪れた際、避難民から「もう帰るんですか!」と呼び止められた時、とっさにこう反応した。
「すいません、あの、知らなかったものですから…」「いや本当にごめんなさい。そんなつもりであのー、通りすぎるつもりじゃなかったんです。すいません…」
 この時の姿に官僚をしかり飛ばしたり、野党議員に反ばくしたりする「強い菅」の面影はなく、おどおどする惨めな菅が立ちあがった。
 しかし、首相ポストへの執着においては微動だにしない。市民運動家から衆参合わせ計3度の落選を経てようやく衆院選に当選、最高権力者の地位に上り詰めた菅の権力への執着は、2世議員、いや自民党のどの首相よりも強いのかもしれない。
 こうした首相を辞めさせるのは、日本の政治制度上、実に難しい。参院での問責決議案は法的根拠がなく、唯一、憲法69条でこう規定されているだけだ。
「内閣は、衆議院で不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決したときは、十日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職をしなければならない」
 つまり、内閣不信任案が可決された場合、首相は衆院解散か総辞職かの選択を迫られる。被災地の現状や、09年総選挙に関する最高裁大法廷の違憲判決(3月24日)を考えれば解散は事実上できず、総辞職となるだろう。
 民主党と国民新党、民主党系無所属の合計議席は313議席。これから過半数の240(欠員1なので総議席は479)を引くと、73人だ。73人以上が造反すれば、不信任案が可決されることになる。
 はたして、こんなに造反者が出るかどうか。野党・自民党の見方は2つに分かれる。
「『加藤の乱』(00年11月)で、野党が提出した森喜朗内閣不信任案に対して加藤紘一元幹事長らが欠席にとどまったように、与党で不信任案に賛成するのはなかなか難しい」
「いや、今回は菅が解散できないことが歴然としているから、不信任案に賛成する同調者が相当出るだろう」
 どちらの見立てが当たるか… それは「菅降ろし」が世論の支持を得られるかどうかにかかっている。
 震災から約1カ月間は「危機だから首相を代えられない」という空気が支配的だった。しかし、震災発生後の政権の対応が不十分だったことが次第に明らかになる一方、統一地方選で民主党が惨敗し、有権者が民主党政権を見放していることが浮き彫りになった。
 このため、「危機だから首相を代えなくてはならない」と考える与野党の議員が増えてきた。
 政界は「政権vs野党」ではなく、「菅vs与野党」の構図になってきているのだが、不信任案を可決するほどの数に達するのかどうか… それはまだ読めない。(敬称略)
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【世論調査】
〝小沢首相〟が首位 剛腕期待か、人材難か… 本人ははしご酒で側近を鼓舞
産経ニュース2011.4.25 23:51
 産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が23、24両日に実施した世論調査で「今の首相にふさわしいのは誰か」との質問に、民主党の小沢一郎元代表が9・2%で首位に立った。東日本大震災や東京電力福島第1原発事故をめぐる菅直人首相への批判の裏返しとして、首相の政敵「剛腕」に目が向いたようだが、小沢氏は党員資格停止中の身。代表選に立候補すらできないにもかかわらず首位になったことは、民主党の人材不足を象徴している。(坂井広志)
 小沢氏は2月26、27両日の前回調査では7位(4・1%)だったが、今回5・1ポイントアップした。前回10・2%でトップだった前原誠司氏は外国人献金問題で外相を辞任し、4・6%で6位に。8・1%で2位だった岡田克也幹事長も5位に急落、小沢氏の存在感が相対的に増している。
 当の本人は25日夜、都内の居酒屋で大久保潔重氏ら小沢系参院議員6人と日本酒を飲み交わした。
 「未曽有の大災害だから与野党を超えてなすべきことをなさないと後世に説明がつかない。国家の危機だ。政治家は覚悟を持て」
 小沢氏は決起を促すかのようにこう語り、側近たちを鼓舞。この後、小沢氏は樋高剛環境政務官ら小沢系政務三役約10人と日本料理店で膝をつき合わせた。
 26日には小沢氏に近い山岡賢次副代表らが「総調和の会」を発足させる。趣意書には「民主党は一連の選挙に連戦連敗している。菅政権は国民の支持を失っている」と明記し、公明党との連携を軸にした連立政権を構築すると強調。公明党とのパイプがある小沢氏の「出番」を暗示した。
 25日の参院予算委員会でも、福島県選出の民主党の増子輝彦氏は「有能な人材を使うことが危機管理では大事だ。小沢氏の力を活用する度量の深さが首相の評価を高める」と小沢氏の要職での起用を求めた。
 だが、首相は「党としてまとまって対応する重要性は痛感している」としながらも「増子氏の言われたようなことを実現するために努力したい」と述べるだけ。小沢氏の名前が出ることはなかった。
 統一地方選も幕を閉じ、勢いづく小沢グループを中心とした「反菅」勢力。世論調査で小沢氏がトップに立ったことをグループの議員は一斉に歓迎した。
 「小沢さんが首相にふさわしいのは当然だ。安定感のある小沢さんへの期待感の表れではないか」
 松木謙公前農水政務官は25日、産経新聞の取材にこう語った。小沢氏支持の衆院1年生でつくる「北辰会」の黒田雄代表世話人は「決断できる小沢一郎に期待する声は大きい。早く新しい体制を作るべきだ」と首相の早期退陣を促した。
 これに対し民主党執行部の一人は危機感を強める。
 「そんなことがあるのか? カネの問題を抱える小沢氏と鳩山由紀夫前首相が党を出ていくことが菅政権への最大の支援だ」
 野党側も納得がいかない様子だ。総調和の会から秋波を送られた公明党幹部はこう皮肉った。
 「悪名は無名に勝るということか…」


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