現代社会の変態に拍車をかけているのは、貧困ではなく富、危機ではなく経済成長である。 ウルリッヒ・ベック
今週のことば
松本 章男
中日新聞 2020.3.10 火曜日 朝刊
世界で起こるさまざまな混乱がますます理解不能となってきた。これは私たちの住む世界が単に変化しているのではなく、変態しているからだと、ドイツのこの社会学者は言う。掲示文は『変態する世界』から。
例えば気候変動も変態の動作主の一つである。気候変動はもはや国家単位の施策などでは抑止できない。国家の枠組みを超えた世界的見地での対応を迫られている。というのも、社会は単に変化・変動・変容してきているからではなく、世界そのものが変態しているからなのだ。
国民国家は世界的なリスクに直面、すでに破綻しつつある。社会も個人も今、様式を変えているのではなく容態を変えてきている。社会の在り方が「国家」を中心とする風潮から「世界」を中心とする風潮へと変態しつつある。
パリ協定の時代だ。石炭火力発電を全廃、原発すべてをも撤退させねばならない。（随筆家）
◎上記事は[中日新聞]からの書き写し（＝来栖）