元死刑囚・正田昭の本 刊行

2023-09-27 | 死刑/重刑/生命犯

サハラの水 正田昭作品集

元死刑囚・正田昭の本 刊行

 2023/09/26 Tue. 中日新聞夕刊

「バー・メッカ殺人事件」の主犯で、作家の故加賀乙彦さんの代表作『宣告』のモデルにもなった元死刑囚の正田昭(1929~69年)が獄中で執筆した小説をまとめた『サハラの水 正田昭作品集』(インパクト出版会)が刊行された。編集した文芸評論家の川村湊さん(72)は「『宣告』とは別の視点から、死刑囚・正田昭の思想を解き明かしたかった」としている。(樋口薫)

 2021年、加賀さんの保管していた正田の遺品の中に、未発表の小説が含まれていたことを本紙が報道。発見された6編のうち、終戦直後の学校の剣道場を舞台にした「二少年」の全文を紙面に掲載した。以前から正田の作品を評価していた川村さんがこれを読み、関心を抱いたことが刊行のきっかけとなった。
 加賀さんとも親交があった川村さんは「四半世紀前から正田の作品集を編みたいと思っていたが、加賀さんに相談すると困ったような顔をされた。事件の被害者遺族など関係者が存命のうちは出せないという考えのようだった」と明かす。1月に加賀さんが死去したことで「誰も正田の小説を顧みる人がいなくなる。殺人という大罪を犯した者が、残りの人生を懸けて書き続けた作品を埋もれさせたままにするわけにはいかない」と考え、正田の著作権継承者の許諾を得た上で刊行に踏み切った。
 作品集には、群像新人文学賞の最終選考にも残った中編「サハラの水」、カトリック誌に生前発表した短編8作のほか、未発表の6編を「習作」として習作として収録。執筆の舞台裏が記された獄中手記「夜の記録」も収められた。
 正田は1953年に東京・新橋駅前の「バー・メッカ」で知人男性を金銭目的で殺害。3か月の逃亡生活を経て逮捕され、アプレゲール(戦後派)の典型的な犯罪として報じられた。強盗殺人罪に問われ、63年に最高裁で死刑が確定した。公判中にカトリックの洗礼を受け、獄中で小説を執筆していたが、69年に死刑が執行された。精神科医で東京拘置所の医務部技官を務めていた加賀さんとは深い交流があった。

 ◎上記事は[中日新聞夕刊]からの書き写し

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〈来栖の独白 2023.09.26. Tue.〉
 いつも感じることだが、既に執行された死刑囚を「元死刑囚」というのは違和感を禁じ得ない。「故死刑囚」と言うのは拙いだろうか。


正田昭故死刑囚、獄中の純文学 加賀乙彦作品のモデル 中日新聞 2021/10/23

    

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* 加賀乙彦さん死去 93歳(2023.01.12 Thu.)


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