公立福生病院 透析中止 感謝伝える家族も 次第に「自信を持って」選択肢提示

2019-03-13 | Life 死と隣合わせ

公立福生病院 透析中止は5人 次第に「自信を持って」選択肢提示
2019/3/13(水) 7:01配信  毎日新聞
 公立福生病院(東京都福生市)の人工透析治療を巡る問題で、2014年ごろ以降、新たに2人が外科医(50)から治療をやめる選択肢を提示され、いずれも死亡していた。昨年8月に亡くなった女性(当時44歳)も含めて計5人が治療の中止を選び、うち4人が亡くなった全容が判明した。これとは別に病院では13年4月~17年3月、最初から透析治療をしない「非導入」で計20人が死亡したことが分かっている。
 透析治療をやめた5人とも終末期ではなく、治療を続ければ「年単位で生きた」と外科医は話している。外科医と腎臓内科医(55)によると、14年ごろ、腎不全のため意識不明で運ばれた80代女性に緊急的な治療を実施。意識が戻った女性が「(透析を)やめてくれ」と申し出たため、外科医が「やめたら死につながる」と説明。本人と家族の承諾を得て翌日に透析を中止し、女性は自宅に戻って死亡した。
  外科医らは「驚いた。(最初は中止に)積極的ではなかった」と振り返る。だが、「(患者が治療を)よく理解しないまま(医師側に)お任せ」するのは「正しい医療ではない」と考え、継続か中止かの選択肢を提示することに決めた。
  初めて治療をやめる選択肢を示したのは15年ごろ。導入後2カ月の男性(55)に「継続するも自由、やめるも自由」と提示。男性は「やめる」と言って自宅に帰った。男性は食事制限を受けていたがステーキを食べて亡くなったといい、家族から感謝されたという。
  昨年に入ると、「より具体化し、自信を持って」治療をやめる選択肢を示すようになった。80代女性の透析用血管の分路が不調で持病もあったため、外科医が「どうするかを考える時期だ」と中止を含めた選択肢を提示。家族も同意して治療は中止され、女性は約2週間後に自宅で死亡した。さらに、30代男性から「あと何年治療したら(体が)良くなるのか」と問われ、外科医は、一生続ける必要があることを説明すると同時に、やめる選択肢を提示。男性は「ようやく分かった。透析をする意味も価値も感じない」と話して紹介元のクリニックに戻った。生死は不明だという。
  外科医は、透析治療をやめると心臓や肺に水がたまり、「苦しくなってミゼラブル(悲惨)で、見ているこちらも大変。透析の離脱(中止)はしてほしくない」と話す一方、「『透析したくない』というのは立派な主張。患者にとってメリットだという信念で、適正な選択肢を示している」と話している。【斎藤義彦、梅田啓祐】
 最終更新:3/13(水) 7:01 毎日新聞

 ◎上記事は[Yahoo!JAPAN ニュース]からの転載・引用です

  * 透析中止、院長が容認 「どういう状況下でも命を永らえることが倫理的に正しいのかを考えるきっかけにしてほしい」2019/3/10
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透析中止の女性、死の前日に「撤回したいな」 SOSか、夫にスマホでメールも
 毎日新聞2019年3月7日 05時01分(最終更新 3月7日 08時33分)

  
  女性のスマホの画面。死の前日の昨年8月15日に「何時来るの?」と夫に付き添いを催促。容体が悪化した翌16日午前7時50分、「とう(父)たすけて」と読めるメールを送ったのが最後になった=2019年2月10日午前8時43分、東京都内で斎藤義彦撮影
 「とうたすかかか」。スマートフォンに残されたメールの平仮名7文字は、助けを求める最後のSOSだったのか。公立福生病院(東京都福生市)で明るみに出た「死」の選択肢の提示。亡くなった腎臓病患者の女性(当時44歳)の夫(51)が毎日新聞の取材に胸中を明かした。
 「(死亡から)半年過ぎてもダメ。何とか気持ちの整理はつけたつもりだけど、だいぶ引きずっている」。そう夫は明かす。同じ団地に住んでいた女性と知り合って約30年。結婚後は3人の子どもを2人で育てた。女性が人工透析治療を始めてからは医療機関への送り迎えなどで支えた。
 昨年8月9日、病院から突然呼び出された。見せられたのは透析治療をやめる意思確認書。いっぺんに力が抜け、受け入れるしかなかった。「透析に疲れちゃったのかな……」。迷ったことは覚えているが、承諾した理由ははっきりしない。
 死の前日(同15日)のことを悔やむ。夫によると、病室で女性は「(透析中止を)撤回したいな」と生きる意欲を見せた。「私からも外科医に頼んでみよう」。そう思って帰宅しようとしたところ腹部に痛みが走った。ストレスで胃に穴が開き、炎症を起こしていた。外科医に「透析できるようにしてください」と頼み、同じ病院で胃潰瘍の手術を受けた。翌16日、麻酔からさめると女性は既に冷たくなっていた。
 「透析治療の中止は『死ね』と言っているようなものだ」と夫は言う。治療を再開しなかった外科医に対する不信感は消えない。「医者は人の命を救う存在だ。『治療が嫌だ』と(女性)本人が言っても、本当にそうなのか何回も確認すべきだと思う。意思確認書に一度サインしても、本人が『撤回したい』と言ったのだから、認めてほしかった」
 今も胸を締め付けるのは、助けを求めたとみられる女性からの1通のメールだ。夫は手術の際、自分のスマホを病院に預かってもらった。退院して電源を入れるとメールが届いていた。「とうたすかかか」。死の当日(16日)の午前7時50分の発信。自分も病室で横たわっていた時刻だ。「とう」は「父ちゃん」の略で、夫の愛称だという。死の間際、「父ちゃん、たすけて」と打とうとしたのではないか――。
 形見になった平仮名の7文字。「あの時すぐにメールを見ていれば、助けに行って、透析治療を受けられるようにしてあげたのに。今も生きててほしかった」【斎藤義彦】
■都が立ち入り検査 「自己決定ゆがめられなかったか」など調査へ
 東京都医療安全課は6日午後、医療法に基づき公立福生病院を立ち入り検査した。同法は病院の設置許可や管理・運営を規定。都道府県知事などは必要があれば検査を実施し、カルテなどの資料を提出させる権限がある。
 同日午後3時40分ごろ、都医療安全課の職員数人が病院に入り、検査は午後6時20分ごろに終了した。
 医療法は、患者に対する正確で適切な情報提供を病院側に求めている。外科医らの行為について都は今後、▽標準的な医療に基づいて治療の選択肢が提示されたか▽適切でない情報で、死亡した女性の自己決定がゆがめられなかったか――などを調べるとみられる。
 都は2016年5月~17年3月、都内の計240病院を立ち入り検査し、安全管理体制などについて181病院を文書や口頭で指導している。【矢澤秀範、梅田啓祐】

 ◎上記事は[毎日新聞]からの転載・引用です
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◇ 透析中止、院長が容認 「どういう状況下でも命を永らえることが倫理的に正しいのかを考えるきっかけにしてほしい」2019/3/10
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