経済産業省が引き受け、「もんじゅ」は継続すべき 原子力規制委の批判は「車のバックミラーの裏側についたゴミが怪しからん」と言っているようなもの

2016-09-22 | 政治

20年先…原発技術を中国に頼るつもりか? 「もんじゅ」対応の不明瞭さを憂う   
 SankeiBiz 2016.4.10 17:10 【櫻井よしこ 美しき勁き国へ】
 アメリカはスリーマイル島の事故で原発の新規建設を中止し物づくりの技術継承が断ち切られた。結果、彼らはいま、日本の技術に依拠している。逆に日本は20年先、中国の原子力技術に頼らざるを得なくなるのか。これは高速増殖炉の実験炉、「もんじゅ」をはじめ、わが国の原子力政策の不明瞭さを目の当たりにして抱く危機感である。
 昨年11月、原子力規制委員会がもんじゅを運営する日本原子力研究開発機構(以下、機構)に替わる組織を6カ月以内に見つけよと勧告して以来、もんじゅの存続が危ぶまれている。わが国には機構以外の引き受け手はなく、窮余の策としてフランスの高速増殖炉、アストリッド計画への参加が模索されている。
 だが、それは日本の高速増殖炉の研究開発を事実上諦めるに等しく、核燃料サイクルもエネルギー政策の基盤も揺らぐことになる。
 アストリッドへの参画は研究資金の提供が柱となるが、日仏間には大きな自然条件の相違があり、フランスの技術の導入が、日本の高速増殖炉の技術開発や核燃料サイクルの完結につながるのか、疑問である。
 ちなみに世界の高速増殖炉はもんじゅのループ型と、アストリッドなどのタンク型に大別される。タンク型は液体金属ナトリウムを入れた大きなおけの中に炉心や熱交換器などを浸しているような形だ。ループ型は原子炉を収納した原子炉容器や熱交換器、蒸気発生器などを固定して配管でつなぐ形である。
 日本がループ型を選んだのは地震国だからだが、このことは高速増殖炉の特徴である激しい温度差にも関連する。高速増殖炉で使用するナトリウムは入り口で400度、出口で550度、実に150度の温度差に設備全体が耐えなければならない。そのため、タンクの壁はできるだけ薄くする必要がある。厚ければ急激な温度差で破壊されかねない。
一方、日本では耐震強度のため原子炉容器は小型で堅固に、つまり、タンクの壁は相対的に厚くする。配管は曲げて熱膨張を吸収する。温度差に対して壁は薄く、地震には厚く。相反する二要素を同時に満たすのがループ型である。
 日本の自然条件に基づいて設計されたもんじゅだが、20余年ほとんど稼働できずに今日に至る。もんじゅを横に置き、フランスの計画に乗ると仮定しよう。完成は早くても20年後であろう。その間、フランスから学ぶことがあるにせよ、日本の技術開発は止まると考えてよい。
 世界はいま高速増殖炉の時代に向かっている。ロシアは出力88万キロワットのBN-800を昨年12月に、インドは50万キロワットの原型炉を今年、運転開始した。中国は北京郊外の実験炉を2014年にフル稼働させ、来年、実用炉を建設する。日本は劣位に落ちつつある。
 20年後、フランスの技術導入を目指しても地震国特有の問題がつきまとう。そのとき結局、もんじゅのループ型高速増殖炉の技術開発に再び取り組まなければならないのではないか。これを単なる杞憂と退けられるだろうか。
 そもそも原子力規制委員会が突きつけた批判は、もんじゅの基本設計や安全とは関係のない内容だった。東京大学大学院教授の岡本孝司氏は規制委の批判は「車のバックミラーの裏側についたゴミが怪しからんと言っているようなもの」と喝破した。国際原子力機関(IAEA)も今年1月、規制委に対し、能力を高める必要があると厳しい評価を下した。国会には規制委の判断を専門家が監督する仕組みを作る重大な責任がある。
 その上で、政治家も客観的な目でもんじゅを見るべきだ。同炉は1995年、性能試験中にナトリウム漏れを起こした。原因は温度計の形状にあったことが突きとめられ、原子炉の安全には全く影響のないことが証明された。それでも15年間、運転をとめられた。 2010年に運転再開で臨界に達したが、今度は燃料交換用の中継筒を落下させた。この種の深刻なミスがもんじゅ不信につながるのは当然である。私は関係者に厳しく猛省を促すものだが、同時にここでフランスの例と日本の例を比較して、自戒したい。
 わが国が開発への参加を考慮中のフランスの高速増殖炉では、これまでに30回のナトリウム漏れを起こしている。しかし、彼らの対応は日本のそれとは全く違う。彼らは事故の度、原因を調べ対策を講じ、完成度を高めた。そしていま、日本はその実績に基づくフランスのアストリッド計画に学ぼうとしている。
 なぜ、フランスにできることが日本にできないのか。たった一度のナトリウム漏れで15年間も運転をとめるという非科学的な姿勢を脱し切れないからだ。実験炉だからこそ事故や問題は当然で、問題を乗り越え、知見を深め、技術を完成に近づけるという考えが必要である。国の方針を導き出す政治の場こそ、正論を戦わす場ではないか。
 もんじゅの基本設計が間違っているとの指摘は、私は寡聞にして知らない。逆にその基本設計は正しいと評価する声が専門家の間に少なくない。もんじゅは継続すべきなのである。日本はその技術の継承と発展を必要としているのである。
 機構に替わって、もんじゅを引き受けるのは経済産業省しかないだろう。アメリカのエネルギー省のように原子力政策を一本化して、政府が強い意思と明確な方針を示すことなしには、長期エネルギー戦略は描けない。資源小国日本を支える技術分野で、中国の属国的地位に退かなくてよいように、もんじゅ継続によって高速増殖炉の技術開発を、政府指導で推進せよ。

 ◎上記事は[SankeiBiz]からの転載・引用です
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もんじゅ廃炉方針 「30年協力してきたのに」地元・敦賀は困惑
  産経新聞 9月21日(水)23時11分配信
 政府が21日、原子力関係閣僚会議を開き、高速増殖炉原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)について「廃炉を含め抜本的な見直し」を表明したことについて、地元からは不信や困惑の声が上がった。
  「もんじゅは研究開発のための原型炉。技術を確立させずに廃炉にしては後世にツケを残すだけで、何にもならない」。敦賀市の建具会社社長、堤利市さん(67)はこう憤った。
  もんじゅの廃炉が決まり、稼働可能な原発がゼロの状況に陥れば、地元経済の悪化や税収面への影響が懸念される。書店経営の石黒順二さん(71)は「廃炉にするなら地元の要望を反映した地域振興策を示してほしい」と訴えた。
  同市の渕上隆信市長は21日夜、市役所で報道陣に対し「日本を豊かにする核燃料サイクルを担っているという誇りを持って応援してきた。それが簡単に変わるのか強い怒りを感じる。地元の意見は何も聞いてもらえなかった」と、もんじゅの存続を強く要望。福井県議会も同日、「核燃料サイクルの推進には高速炉の研究開発は不可欠で、長期的視野に立ち、覚悟を持って取り組む必要がある」とする意見書を可決した。
  一方で「ほとんど動いた実績がないのに、1兆円超がつぎ込まれてきたのは異常。廃炉にかじを切るのは当然だ」(敦賀市の自営業男性)と突き放す声もあり、地元の複雑な事情がうかがわれる。
 最終更新:9月22日(木)1時37分

 ◎上記事は[Yahoo!JAPAN ニュース]からの転載・引用です
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