竹島 日韓歴史のトゲ 戦後、米が「日本領」通知

2012-08-26 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法/歴史認識〉

竹島 日韓歴史のトゲ 戦後、米が「日本領」通知
中日新聞【核心】2012/08/26
 島根県沖に浮かぶ、東京の日比谷公園ほどの島「竹島(韓国名・独島(トクト))」をめぐる日本と韓国の対立が、日に日に強まっている。日本は「わが国の領土」と主張しているが、現実には、韓国が半世紀以上も実力で支配している。日韓関係に刺さったトゲを抜く方法は、見つかっていない。(編集委員・五味洋治)
■米がお墨付き
 二十四日、領土問題に関して記者会見した野田佳彦首相は竹島について「韓国は、力をもって竹島の不法占拠を開始した」と述べた。
 「不法」の表現に込められた意味は、十七世紀半ばにさかのぼる。日本海の孤島・竹島で日本人が、このころから漁業を始め、一九〇五年、日本政府が島根県に編入した。
 五一年、第二次世界大戦後の平和条約である「サンフランシスコ講和条約」が結ばれ、日本が放棄する地域が列記された。条約草案には竹島が含まれたが、日本側の要請で、最終案から竹島は外された。見直しを求める韓国側に、当時の米国務省が「竹島は島根県の管轄下にある」と答えた書簡が残っている。米国が「竹島は日本領」とのお墨付きを与えたのだ。
■実力行使
 この条約の内容に強い不満を持った韓国は五二年一月、李承晩大統領が実力行使に出る。日韓の間の海上に、「李承晩ライン」を一方的に引き、ライン内に竹島を取り込んだ。
 同年四月にサンフランシスコ条約が発効し、日本は主権を取り戻したが、李承晩ラインは、その直前の隙を突いた形。日本は何もできなかった。
 さらに韓国は、竹島に沿岸警備隊を送り込み、監視所や灯台を次々に建設し、実効支配を強めていった。
 竹島の島根県編入について韓国は、当時韓国が事実上、日本の支配下にあったとし「編入は侵略行為の一つだった」として認めない立場だ。
 さらに韓国は、朝鮮の古い文献などに竹島に関する記述があり、古くから島として認識していたと主張。日本側の見解と真っ向から対立している。
■既成事実化
 その後、韓国は徹底して、竹島領有の既成事実化を進めている。
 学校で「独島は韓国領」と教えるほか、島ではコンサートなどのイベントがある。「独島は我が領土」という歌、独島の名前の付いた焼酎もある。今月十九日には、李明博大統領が揮毫した石碑を島に建て、除幕式を行った。
 一方の日本は、地元島根県以外では、あまり関心を持たれていないのが現実だ。
 日本政府は、領有権についてオランダにある国際司法裁判所(ICJ)に判断を仰ぐため、問題の共同付託を申し入れたが、韓国側は拒否。解決の糸口はつかめていない。
 海洋安全保障問題に詳しい東海大学の山田吉彦教授は「竹島問題は、かつて朝鮮半島を統治した日本への対抗意識が影を落としている。経済や国際問題で日本の後塵を拝してきた韓国が、実効支配という有利な立場にいられるからだ。ICJで解決したいのなら、日本政府は、あらゆる方法を使って韓国を裁判所に引き出す覚悟が必要だ」と述べている。
※竹島 面積約0・21平方キロ。西島、東島などからなる。韓国も島も領有権を主張し、独島と呼ぶ。島根県から約211キロ、韓国の慶尚北道蔚珍から約215キロの距離にある。
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竹島上陸 親書返送 応報の行方 海外注視 2012-08-26 | 政治〈領土/防衛/安全保障〉 
 応報の行方 海外注視
 中日〈東京〉新聞2012年8月26日 朝刊
 李明博・韓国大統領の上陸以降、海外からも注目が集まっている竹島問題。日韓両国と同盟を結び、北朝鮮や中国の動向を注視する米国は、日米韓の結束のほころびを懸念する。欧州メディアの一部も、竹島問題の歴史的経緯などを紹介。東南アジアでは、南シナ海で中国と南沙諸島の領有権を争うフィリピンが「身近な問題」として関心を寄せている。
米国 対北連携乱れを懸念
 米政府は日韓の対立激化にいら立っている。いずれも重要な同盟国だけに一方を擁護するわけにはいかない。とはいえ関係悪化を放置すれば、北朝鮮の核・ミサイル開発問題に対処する日米韓の結束がほころぶ。米国としては、両国に対話を呼び掛けるほかないのが実情だ。
 米国務省のヌランド報道官は二十三日の記者会見で「日韓の不和は気分のいいことでは当然ない」と言い切った。「問題を対話で解決してほしい」と繰り返し日韓両国に要請。「われわれはこの問題で特定の立場を取らない。二国間の解決を望む」とも強調した。
 日本は国際司法裁判所(ICJ)への提訴に米政府の支持を取り付けようとしている。訪米した外務省の杉山晋輔アジア大洋州局長は二十二日に米当局者と相次いで会い、日本政府の方針を説明。米国は中立の立場を崩さなかったとみられる。
 両国との同盟は米国がアジア太平洋重視の政策を進める土台だ。北朝鮮の脅威に加え、台頭する中国をにらんだ米軍再編も日米韓の緊密な連携が前提になる。日韓の対立は米国の世界戦略にも影を落としかねない。(アメリカ総局・竹内洋一)
欧州 仏紙「冷戦の雰囲気」 雑誌 事実に絞り報道
 フランスの日刊紙リベラシオンは十六日付紙面で現状を詳しく伝え、二十四日付でも尖閣諸島、北方領土を含む日本の領土問題について、まるごと一ページを使って報じた。
 「冷戦時代の雰囲気」と、日本と周辺国の緊張関係を形容し、竹島問題の背景に、植民地支配以来の日韓関係がある点を強調。日本は謝罪してはいるものの真剣な反省に欠けるとし、「過去が現在を毒し続けている」としている。
 また、アジア専門家の見方として、韓国などは、日本の野田政権の力をはかっているが、野田政権側は経験に欠け、領土問題で手詰まりになっているとの分析も紹介した。仏ルモンド紙は二十一日付で、竹島問題が日韓経済に悪影響を与える可能性を指摘した。
 ドイツの週刊誌シュピーゲル(電子版)は十日付で李明博大統領の竹島上陸を速報。オーストリアのデア・シュタンダード紙は二十四日付の電子版で、韓国が野田佳彦首相の親書を返送したことを報じ「外交慣例上あり得ない」との藤村修官房長官の発言を引用。両メディアの報道とも事実関係に絞った内容だった。いずれの欧州メディアも記事中で「竹島」と韓国名「独島(トクト)」を併記している。 (パリ支局・野村悦芳、ベルリン支局・宮本隆彦)
フィリピン 中国と摩擦「身近な関心」
 南シナ海で中国と南沙諸島の領有権を争うフィリピン在住の政治学者ラモン・カシプル氏は、日本が国際司法裁判所への共同提訴を韓国に提案したことを評価。中国との領有権問題を国際海洋法裁判所に持ち込もうとしているフィリピンと同じ立場と捉えるからだ。
 「領有権問題は国際機関の判断を仰ぐべきだ。自国の主張が正当ならば、国際機関に訴えることができる」と指摘する。野田佳彦首相の親書が韓国側から返され、日本側も受け取りをいったんは拒んだことを「稚拙」としながらも、「領土問題は、このようなやりとりはある程度避けられない」と、一定の理解を示した。
 一方、地元のジャーナリストは「一般市民が竹島問題に関心を寄せている。中国との領有権問題を抱えているため、身近な問題として受け止めているようだ」と説明する。
 フィリピン外務省は、本紙の取材に対して「まだコメントする段階にない」と、静観する構えを示した。(バンコク支局・寺岡秀樹)


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