高1長男が焼け跡に花束
奈良県田原本町(たわらもとちょう)の医師(47)宅が全焼し、母子3人が死亡した火事で、県警捜査本部は7日、殺人と現住建造物等放火容疑で逮捕された高校1年の長男(16)を立ち会わせて現場検証し、犯行状況を調べた。長男は母と弟、妹の冥福を祈って、焼け跡に花束を手向けた。
長男はこの日午前9時半ごろ、勾留(こうりゅう)されている田原本署から乗せられてきた車を降り、ブルーシートで囲われた焼け跡に入った。県警によると、母親らの遺体が見つかった場所に弁護士から差し入れられた花束を置き、うなだれた様子で手を合わせたという。
長男は逮捕当初、家族への恨みを強調していたが、1週間が経過したころから、接見の弁護士に「なんで火をつけてしまったのか。家出だけにすればよかった」などと後悔を口にするようになったという。
「勉強机を燃やしたかった」 奈良放火殺人の高1供述
朝日新聞 2006年 7月 8日 (土) 08:10
奈良県田原本町(たわらもとちょう)の医師(47)宅が全焼し、母子3人が死亡した火事で、殺人と現住建造物等放火容疑で逮捕された高校1年の長男(16)が「勉強をもうしたくないので、1階の自分の部屋の机に、台所にあったサラダ油をまいた」と供述していることがわかった。「サラダ油2本をあちこちにまき、火のついたタオルをおいた」とも話しており、県警の鑑定では、少年の自室以外からもサラダ油成分が検出された。
県警は1階部分の再現模型を作って、放火の手順を確認する方針。
長男は「放火するかどうか迷ったが、やる以上は完全に燃やしたかった」「なかなか火がつかないので紙などをおいた。燃え上がるのを確認してから、家を出た」などと具体的に話している。長男の部屋はもともと2階にあったが、放火前は、1階の父親の寝室の隣に移され、勉強の指導を受けていたという。
放火当日の6月20日には学年保護者会で成績が親に通知されることになっており、「焦りを感じてなんとかしなくてはと思うようになった」という。
7日、現場検証の立ち会いを終えた長男は、接見した弁護士に「現場ではお母さん、弟、妹の顔を思い出して、涙が出た。ごめんなさいと何度も心の中で謝った」「今の生活から逃げたい一心で火をつけた。後のことを考えなかった自分にすごく腹がたっている」と話したという。
逮捕の高1長男に嘆願書1500通以上 奈良放火殺人
朝日新聞 2006年 7月 8日 (土) 22:15
奈良県田原本町(たわらもとちょう)の医師(47)宅が全焼し、母子3人が死亡した火事で、現住建造物等放火と殺人の疑いで逮捕された高校1年の長男(16)の処遇に配慮を求める嘆願書が1500通以上集まっていることを、担当の濱田剛史弁護士が8日、明らかにした。長男が通う奈良市内の中高一貫校の保護者有志が、保護者や卒業生らから集めた。
嘆願書は手紙形式で、「勉強を強いられてつらかったのでは」「彼(長男)だけの問題ではなく、どこでも起こりうる」などの内容が多いという。濱田弁護士が8日、接見した長男に伝えると、「馬鹿なことをしたのに、やさしくしてもらってお礼を言いたい」と話したという。嘆願書について、濱田弁護士は「司法の手続きで、何らかの形で使いたい」としている。