
『検察の大罪 裏金隠しが生んだ政権との黒い癒着』 立ち読み電子図書館
著者:元大阪高検公安部長 三井環 講談社 定価1500円(税込)
本書は、検察庁で秘密裏に行われてきた裏金作りを内部告発しようとして、口封じ逮捕された現職の検事による、検察の闇を告発する書です。
「検察の暴走」や「機密費」が、世間を賑わせていますが、社会正義を実現するはずの検察は、内部に「裏金作り」という闇をかかえています。これを隠し通す限り、検察の正義は自己矛盾に陥り、その捜査はゆがんだものにならざるをえません。
そして検察の抱える闇は、政権によっても利用され、政治事件の理不尽な捜査や、国策事件までを生み、検察暴走のもとになっています。
著者は、検察の矛盾を自らの身に引き受け、でっちあげ事件で逮捕され、服役し満期出所したいま、命をかけて検察の大罪を告発しようとしています。本書では、検察がメンツで生み出す冤罪、検察と暴力団の癒着の告発に始まり、検察改革への根本的提言までが詳細に語られています。
そして冒頭には、今回初めて三井環氏を取材し、放映した「ザ・スクープ」キャスターの鳥越俊太郎氏による、渾身の検察批判が掲載されています。
* * *
第一章
「けもの道」を行く検察
検察は終わりだ
私が裏金告発するようになった当初の動機は、加納駿亮大阪地検検事正に対する人事権の濫用に対する不満があったためである。
ある収賄事件で、捜索と差し押さえを先行しないで、いきなり大学の講師を逮捕し、後で無罪の証拠が発見されたことがあった。その暴走を私が咎めたのだが、その捜査の統括責任者が加納だった。加納のメンツを潰したこととなり、それによって私は加納から逆恨みされ、人事や給料での嫌がらせを何度も繰り返し受けた。
そこで私はなすすべもなくなり、検察首脳が組織的に行う裏金作りとその乱用について、加納をターゲットに、最高検察庁に匿名で刑事告発をしたのである。
だが、これに対して、ときの原田明夫検事総長は、平成一三年一一月、加納をろくな捜査もせずに、「嫌疑なし」とした。検察組織全体としてこの問題の幕引きを図ろうとしたのだ。原田検事総長のこの判断に、私は「検察は終わりだ」と思った。
そして私は腹が立って仕方がなくなった。原田検事総長による「けもの道」(後述)の選択が、私が「義憤」に駆られて検察の裏金問題を告発するきっかけとなった。私が検事の職に就いたときに抱いていた、「検事」としてあるべき姿、組織にどっぷりつかって忘れかけていた、「正義を体現する」という姿を呼び覚ますことになったのである。
原田検事総長は、まさか現職の検事が告発するなど考えもしなかっただろう。原田検事総長の選択は、検察自らが正義を捨て、不正義を選択したことと同義だ。犯罪を犯したものがその犯罪を隠蔽するなどという「不正義」「悪」はないだろう。最強の捜査機関が表では犯罪を検挙しながら、裏では自ら犯罪を犯し、これを隠蔽しているのだ。
原田検事総長の心中も複雑だっただろう。自らの決断で「裏金作り、嫌疑なし」として巨悪にふたをし、検察としての存在理由である「正義」を犠牲にしたからである。ここには、過去培われてきた「検察イコール正義」という神話と、検察OBに対する配慮もあったと思う。また、検事総長として天皇から認証され、正義を体現するはずの原田自身が、犯罪に手を染めた事実を自分自身で受け入れたくない、という思いがあっただろう。
そんなとき、私は原田の幕引きを見て、それまでは匿名であったが、現職のまま実名で、裏金問題をマスコミに知らせようと再び動き出したのだ。
しかし、それを原田が察知すればどうするか。「告発されるかも知れない」と知ったときの、原田の恐怖心は想像を絶する。折しも外務省の裏金問題で、世の中が外務省を猛烈にバッシングしていたころだ。それをわが身一身に受ける覚悟など、できるはずもない。彼は、半ば逃亡者のような心境で方法を探した。
「三井を黙らせるにはどうしたらいいか・・・」
そして、これ以上ない悪を自ら抱え込んで、法務検察は動いた。でっち上げで私を逮捕することこそが、彼らの出した答えなのだ。
ドタバタ逮捕
でっちあげ逮捕が私に及ぶことは、私は全く気付かなかった。その気配も感じなかった。それが作られた事件であったから。だが、裏金作りを公表するというからには、検察はなにがなんでも、どんな手段を使ってでも、堀の中に閉じ込めるのではないか。裏金作りを「嫌疑なし」にして、真っ黒を真っ白にしたのと同じように・・・。
法務検察はやろうと思えばどんなことでもできるのだ。そのことに思いを致さなかったのが、私の不徳の致すところである。
このときの原田の焦りを端的に表すエピソードがある。ぜひご紹介したい。悲喜劇とも言えるようなドタバタ劇だ。
平成一四年四月一七日、週刊朝日の山口一臣から、私が勤務していた大阪高等検察庁公安部長室に直接の電話があった。二二日の昼からテレビ朝日「ザ・スクープ」キャスターの鳥越俊太郎氏が取材収録をしたいといっている、とのことだった。私がこれを了承すると、二二日に場所を連絡する、といって、その電話は切られた。
保釈になってから山口一臣から聞いたことだが、この電話をかけたとき、直通電話のはずが、なぜか違うところに転送された、ということだった。おそらくそのタイミングで盗聴なり、何かの細工をしていたのだろう。収録日程や場所の情報は、これによって検察側に筒抜けになっていたのではないか、というのだ。いずれにしても、テレビで裏金問題を「スクープ」されたらまずいと思った検察は、どこからか収録の日程を聞きつけ、すぐに行動に移る。
翌一八日午後三時ごろ、大阪高検の大塚清明次席検事から、それまで眠っていた私のでっちあげ逮捕につながる「荒川メモ」(後述)が大阪地検に手渡された。
しかし佐々木茂夫大阪地検検事正は、私の逮捕に反対したという。原田検事総長が、直接東京から陣頭指揮した逮捕だといわれている。そこで主任の大仲士和検事が急遽、逮捕に向けた諸準備を始めた。そして、第一次逮捕が敢行されることになる。
結局、私は大仲検事の捜査報告書一本で逮捕され、通常は逮捕時に準備される関係者の調書は、一通もない。
私の取り調べをした水沼裕治検事は、逮捕前日の二十一日夕方、日曜日も終わるかというときに召集された。主任検事の大仲が裁判官に令状請求し、裁判官から許可が下りたのが二十一日の深夜である。
読者は、「微罪」ですらなく、関係者の調書もない第一次逮捕の案件(後述)で、令状が裁判官からすぐ出るのか、と不思議に思われるかもしれない。だが、これが裁判官は「自動販売機」と言われるゆえんである。待ち焦がれた令状を取るために、大仲はその日ホテルに泊まったとのことだ。
そして、翌二二日早朝、私は当時の自宅の玄関先で、大阪地検特捜部の検察事務官から任意同行を求められ、車で大阪高検まで連れて行かれることになる。三七階が私の通常の部屋だったが、その日は二〇階あたりに連れて行かれ、何も言わずにいきなり午前九時ごろ逮捕となった
任意同行の情報が検察からリークされ、読売新聞社記者から同行時の写真を撮られた。リークしてもらった見返りに、読売新聞社は悪徳検事ぶりを書き立てた。もちろん、裏金作りの報道は一切しなかった。
私が「口封じではないか」と発言すると、水沼検事はきょとんとした顔をしていた。なぜなのか。検察の裏金作りは次席検事にならないとその実態は分からない。彼はその経験がないため、知り得ない。また、私が裏金作りを公表しようとしていたことも、彼は知るはずもない。だから何のことか分からなかったのだ。急遽前日夕方に召集されたので、彼は事件の内容もさっぱり分からなかった。
当初の取り調べはただ身上経歴を聞くだけであった。身上経歴などは高検にすべての資料が保管されている。それを見ればいいことなのだ。事件の内容の取り調べができないので、このような調べをしたのだと思う。
その後も毎日、夕方から一時間くらい取り調べがあっただけで、二〇日間の勾留中、二~三日間はまったく調べのない日もあった。私から供述を引き出すという捜査ではなく、でっちあげ贈収賄事件の相手である企業舎弟・渡真利忠光らの供述だけを固める捜査であったようだ。
この水沼検事であるが、その後鹿児島地検次席検事になったようだ。私がそれを知ったのは、鹿児島県志布志で県議選に絡む公職選挙法違反事件が起こった、との報道からだ。この志布志事件は架空の選挙買収事件で、すでに無罪が確定しており、まったくの冤罪事件である。その捜査手法にも問題があった。これは鹿児島県警と検察の大失態事件だ。その捜査責任者が、この水沼検事であったのだ。
水沼検事は現在高松高検次席検事である。同次席検事は検事二号俸。これは、検事の給与階級では上から二番目の位にあたる。つまり、次は検事正になる、ということだ。大失態を演じても、処遇にはなんら影響を及ぼさない典型的な事例ではないか。法務検察の体質とはこういうものである。
裏金作りの実態
話を「けもの道」に戻し、その全容をじっくり振り返ろう。これを暴き、告発していくことでしか、正義を全うすることはできないからである。
その前にまず、法務検察の裏金作りの実態を簡単に説明しておこう。
裏金の原資となっていたのは法務省予算である調査活動費である。本来は情報提供者に謝礼として支払う予算である。だが、これがすべて裏金に回っている。
そのからくりはこうである。
架空の情報提供者をでっちあげて領収書を偽造し、支払ったことにして金をプールする。領収書偽造のほかにも、架空の支出伺い書などの虚偽の公文書を作成する。その金をプールした金は、地検であれば事務局長、高検の場合は事務局次長が自分の部屋の金庫に保管する。裏金を使えるのは地検であれば検事正、高検であれば検事長、最高検であれば検事総長、法務省であれば事務次官、刑事局長、官房長だけである。
したがって、次席検事や事務局長などは、領収書の偽造や裏金の保管などにはかかわっていても、一切使うことができない。その裏金は検事正などの遊興飲食費、接待費ゴルフ代、マージャン代、観光代等に使われる。一晩に四〇万円くらい使う場合もある。マージャン代として一〇万円を毎月その裏金からもっていった検事正もいたほどだ。
全国一律に、このようなからくりで裏金作りが行われていた。年間調査活動費予算は、全国の検察で約六億円ないし七億円であった。一円も本来の用途には使われていない。すべてが裏金として使われていた。
この裏金は国民の血税であることを決して忘れないでほしい。一〇年間で約六〇億円ないし七〇億円、二〇年間で一二〇億円ないし一四〇億円。これらが遊興飲食費などに使われたのだ。
樋渡利秋現検事総長は、刑事局長当時、参院予算委員会(平成一六年三月一九日)において、
「裏金作りは業務上横領、詐欺、私文書偽造罪などが成立する」
と、犯罪であると明確に答弁している。
私は昭和四七年に検事に任官し、昭和六三年に高知地検次席検事になった。そのとき初めて裏金作りを知った。以来三年、平成五年から高松地検次席検事の三年、合計六年間、裏帳簿などの決済をした。検事正のお供で接待などもしてきた。したがって裏金作りの実態とからくりは十分承知している。裏金作りは虚偽公文書作成、同行使、私文書偽造、同行使、詐欺などの犯罪である。したがって、私も"共犯者"である。
ちなみに、いまの検察庁の調査活動費予算は七五〇〇万円くらいのようだ。私のころと比べると一〇分の一程度になっている。これはさまざまな告発の成果といえるだろう。だが、法務省全体の調査活動費予算は変わっていない。つまり、その一〇分の九はどこかでダブついている状態と考えられる。まだ、私が知っている裏金の使われ方は、変わらない悪習として残っているといえる。
だからこそ、私はこの裏金をめぐる真実を伝える義務がある。先に述べた検察の組織的な裏金作りという犯罪の分岐点は、平成一三年一〇月末にあった。原田検事総長の判断の誤りが、後に大きな災いをもたらすことになる。そのきっかけは、大阪にあった。
加納を辞めさせるか、検事長にするか
私は平成一三年三月と五月に、私の盟友である四国タイムズ社の川上道太社長を表向きの告発人として、大阪地検の加納駿亮検事正を裏金作りの犯罪(虚偽公文書作成、同行使、私文書偽造、同行使、詐欺)で最高検察庁に刑事告発していた。そして週刊文春(平成一三年一一月八日号)、週刊朝日(平成一三年一二月七日号)が大々的に私への取材により、報道していた。
週刊文春は「現職幹部がすべてを語った 最後の聖域 検察庁組織ぐるみ 『機密費』横領を告発する!」「公金を私的に使っての贅沢三昧が国民の怒りを買った外務省の機密費事件。だが、信じられないことに、それを捜査する立場の検察庁でも、まったく同様の「裏ガネ横領疑惑」が発覚した 最強の捜査機関における、この重大疑惑を断じて看過するわけにはいかない!」などと報じていた。
また、週刊朝日は「現職幹部が衝撃告発!! 検察「裏ガネ」の全貌」「組織ぐるみの裏ガネ「調査活動費」の驚くべき実態」「裏ガネづくりどころか、高検検事長人事をめぐって自らの「罪」がバレそうになると、驚くべき隠蔽工作に走った」と、原田検事総長による「嫌疑なし」などの判断を報道したのだ。
平成一三年一〇月、法務省は加納を福岡高検検事長にすべく、森山真弓法務大臣に上申していた。しかし森山法務大臣は、加納が刑事告発されていることを理由に、この人事に難色を示した。小泉内閣としてこの人事を承認し、刑事告発が「黒」であれば、その責任は内閣が負わなければならないからだ。法務省は内示がなかなかできなかったため、報道が過熱し、大手新聞まで報道しかねない状況下にあった。
複数のジャーナリストらの報道によれば、原田検事総長は、加納大阪地検検事正を辞職させればそれでことが収まる、と考えた時期もあったらしい。なぜなら、私と加納との人事をめぐる確執であったから・・・。加納が辞職さえすれば、私が矛を収めるだろうと考えたようだ。
だが、元検事総長である土肥孝治が動いた。原田検事総長に対し、加納を検事長にすべしと、検察OBが人事に口を出したのだ。
苦渋の選択
そこで原田検事総長がしたのが「けもの道」という苦渋の選択だった。それは法務検察幹部が一堂に集まって決めたことではない。
検察の組織的な裏金作りの犯罪は、内部では「公知の事実」である。それゆえ原田検事総長は自ら国民に謝罪し、ある程度の処分者を出して使った金を国に返還するだろう、それ以外の選択肢はないだろうと私は考えていた。
そうすれば検察の信用は一時的には失墜するかも知れない。だが、さすがは他の省庁とは違うと評価されただろう。私はそれを期待していた。ところが「けもの道」という最悪の選択をしてしまった。
原田検事総長は、平成一三年七月二日の総長就任時の記者会見で、
「広く国民の胸に落ちる検察を念頭に努力したい」
と表明した。自らの組織内部の不正を強権によって隠蔽する行為の一体どこに、「広く国民の胸に落ちる検察」の姿があるというのか。
原田検事総長は法務省を中心に異動した、いわゆる赤レンガ派の代表格で、捜査現場はほとんど経験がない。これが現場派総長であれば、このような選択はしなかったのではなかろうか。
一〇月末、法務検察の世紀最大の汚点が実行された。
元法務大臣の後藤田正晴氏に近い筋からの情報によると、原田検事総長と松尾邦弘法務事務次官、古田佑紀刑事局長が、他界された後藤田氏の事務所を訪ね、加納人事が承認されないと裏金問題で検察がつぶれると、泣きを入れたと言われる。これを後藤田氏は後に「けもの道」と名付けたと言われる。
検察がときの政権にすり寄って、貸し借りを作る。これは検察が政権に対して取るべき道ではない。人が取る道でなく、私が「けもの道」というゆえんなのである。
政権側も、検察が隠し持つ毒を「飲み」、表面的にはうまくおさめる。そうするとその共犯の行為が、検察と政権のその後の関係を決定していくことになるのである。
なぜ、このような選択をしたのか。
多分、検察の組織的な裏金作りの犯罪が公表されると、約七〇名の検察幹部の懲戒免職、国民からの刑事告発、使った金の国への返還、検察幹部OBへの波及など大問題に発展し、検察の信用は一気に失墜し、一時的にその機能が麻痺すると考えたのだろう。
「真っ黒」な事件を「真っ白」に
検察の原点は、
(一) 真実のみを追究し、それを確定する
(二) 政権に貸し借りを作らない
という二点にある。
(一)、(二)を破ってしまえば、政権への捜査が進む中、検察最大の弱点である「裏金作り、公表しようかね」と一言いわれたら、捜査を打ち切りせざるを得ない。
(一)についていえば、検察の裏金作りの犯罪は、内部では公知の事実である。それなのに原田検事総長の指示により、最高検から加納氏への刑事告発事件を回された大阪高検と高松高検は、「嫌疑なし」と裁定し、「真っ黒」を「真っ白」にした。検察自らがほとんど捜査もしないで、「真っ黒」を「真っ白」にしたのだ。自らの犯罪を隠蔽するために、検察自ら正義の全うを否定した。
逆に言えば、検察が暴走すると「真っ白」な事件を「真っ黒」にすることもできる。検察はやろうと思えば何でもできる。それを検察自らが実証したのだ。私の事件がまさにこれである。えん罪と言われている事件を検証すれば、このような事件は多い。「嫌疑なし」としたことは、原田検事総長らに犯人隠匿罪が成立する。加納氏は裏金作りの犯人である。検察は自らの捜査権を盾に取り、完全犯罪を犯した。
(二)についていえば、結局、時の政権への原田検事総長が選択した「けもの道」により、小泉内閣は加納人事を一一月一三日に承認した。そして一五日、人事が発令され、天皇を欺して、犯罪者を認証式で認証させた。
さらに平成一四年四月二三日、私の逮捕の翌日に原田検事総長、森山法務大臣は記者会見をして、
「検察の組織的な裏金作りは事実無根である。そもそも存在しない」
と国民に大嘘をついたのである。
それが出発点となって、仙台オンブズマンによる裏金作りの情報公開裁判(平成一四年)では、裏金についてまったく言及しないという虚偽の準備書面を提出した。また、法務委員会での社民党の保坂展人議員による追及でも、法務省幹部検事が「裏金は一切存在しない」という虚偽答弁をするにいたった。オンブズマン裁判でも私の裁判の控訴審でも、検察の裏金作りの犯罪は一部認定された。
それでもその裁判を無視して、平成二〇年三月、鈴木宗男議員による福田内閣への質問趣意書による追及でも、内閣は「以前調査済みで、調査の必要はない」と回答したのである。検察から政権への「けもの道」を選択したことにより、法務検察最大の弱みである検察の組織的な裏金作りの犯罪を、政権に握られてしまう。そこで自民党政権と法務検察とが一体となった。そこに貸し借りができたのだ。
検察と政権の両者は後ろめたい関係となり、両者はゆ着して検察権はゆがむ。これがその後の特捜部捜査に、大きな影響を及ぼすのである。
法務検察は政権への「けもの道」によって、加納人事を乗り切った。だが自らの組織的な犯罪を隠蔽し続けなければならなくなった。犯罪者が犯罪を隠蔽しようとすることは、ままよくあることである。だが、検察という最強の捜査機関が自らの犯罪を否定し、隠蔽を続ければ一体どうなるであろうか? それを政権は利用するであろう。また、弱みを握られているため、検察は本来の検察権の行使ができなくなる。 ⇒『検察の大罪 裏金隠しが生んだ政権との黒い癒着』〈2〉
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◆検察の裏金が暴かれる日は来るのか
◆暴走検察の果て 「罪なき罪」をつくる検察の大罪
◆暴走する「検察」
◆仙谷氏の政敵、小沢一郎が屠られた経緯「検察は政権と取引をした」三井環元検事
◆鳥越俊太郎に「検察の裏金問題」を内部告発しようとして逮捕された三井環元大阪高検公安部長