防衛大綱改定へ まず専守防衛の見直しを

2013-01-28 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法/歴史認識〉

防衛大綱改定へ まず専守防衛の見直しを
産経新聞2013.1.28 03:09[主張]
 平成22年に民主党政権下で策定された「防衛計画の大綱」について、安倍晋三政権が正式に見直しを決めたことを歓迎したい。
 大綱は中長期の防衛の基本方針を定めるものだ。尖閣諸島への攻勢を強める中国や核・ミサイル開発をやめない北朝鮮への抑止力をいかに強化するかが焦点となる。
 新大綱は年内に策定される。外交・防衛の立て直しを掲げる政権として国民との約束を具体化してほしいが、防衛政策をどう転換したいのかという肝心な点となると、曖昧さが残る。
 まずは、相手の攻撃を受けて初めて必要最小限の軍事力を行使できるとしてきた「専守防衛」の見直しに着手すべきだ。第一撃甘受という受け身の政策は妥当ではない。こうした現実離れした、手足を縛ってきた考え方から脱却しなければ、国民の生命・安全を守ることは難しい。
 平成21年の麻生太郎政権の末期、政府の「安全保障と防衛力に関する懇談会」の報告書でも、「自由な思考・発想を止めてしまう要因」として専守防衛の見直しは提言されていた。
 そもそも、専守防衛は政治的スローガンにすぎない。攻撃力や輸送力など能力の高い装備は必要ないとされてきたが、自国を守るために必要な防衛力を整備することを優先すべきだ。
 専守防衛の見直しは、日米同盟強化に必要な集団的自衛権の行使容認に向けた憲法解釈変更と並んで、前の自民党政権時代から先送りされてきた。安全保障環境の変化に対応できる防衛政策構築のため、決断するときである。
 小野寺五典防衛相は就任当初、前政権が打ち出した「動的防衛力」という考え方を見直す意向を示したが、その後、「自衛隊を機動的に動かすという意味でもある」と容認に転じたようだ。
 抽象的議論に時間を費やす余裕はない。領空・領海侵犯を繰り返す中国を抑止するため、南西諸島防衛に必要な装備はどの程度なのか。自衛隊の即応態勢の問題点などをはっきりさせ、改善につなげる必要がある。
 防衛力を裏付ける防衛費については、当初打ち出していた平成25年度予算で1千億円超の増額は伸び幅が圧縮される情勢だ。こんなことで、防衛立て直しの意思を内外に示せるのだろうか。
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