死刑「仕方がない」…連続殺傷被告の父、被害者に直接謝罪
6月1日7時49分配信 読売新聞
茨城県土浦市のJR常磐線荒川沖駅などで9人が殺傷された通り魔事件で、殺人などの罪に問われた土浦市中村東、無職金川真大(かながわまさひろ)被告(25)の父親(60)が、事件後初めて、複数の被害者の自宅を訪れ、息子の犯行を直接謝罪していたことがわかった。
訪問は5月半ばすぎから1人で行い、「大変申し訳ありませんでした」と頭を下げ、「(息子は)死刑になっても仕方がないと思っている」などと話したという。父親は3日に水戸地裁で開かれる金川被告の第3回公判に証人として出廷する予定。
複数の被害者によると、金川被告の父親は検察側を通じて訪問の意向を被害者側に伝え、了承した被害者のもとを訪れている。訪問を断った被害者もいた。
被害者宅を訪れた父親は、「大変申し訳ありませんでした」と繰り返し謝罪。訪問した理由について「精神的にまいっていて、これまで訪問できなかった。今はだいぶ落ち着いた」などと説明した。この時期になった点は「いろいろあって(今になった)」と答えたという。
金川被告からは今も被害者への謝罪や反省の言葉がないが、父親は「死刑になっても構わない。減刑は望まないと検事にも伝えた」「せがれも説得して謝罪させるようにする」などと伝えたという。
金川被告の公判では、家族の供述調書が読み上げられ、希薄な家族関係が事件の背景にあったことが浮き彫りになっているが、父親は「育て方が間違っていました」と話したという。
父親は事件後の昨年4月、被害者らにあてて「息子にはこれから法の裁きを受け、改心し、自らの罪をみつめ、皆様に伏しておわびし、取り返しのつかない罪を償ってほしいと思います」などとする謝罪文を送っていた。
ある被害者は「親にも育てた責任があるから、訪問は当然。親の声をきちんと聞けたことは良かったが、謝罪文以上の真心は感じなかった」と話し、別の被害者は「(父の姿に)誠意は感じられたが、被告本人に対する怒りや処罰感情は変わらない」と話した。 最終更新:6月1日7時49分
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◆ 土浦8人殺傷事件 金川真大被告の判決公判 死刑言い渡し 2009-12-18 | 死刑/重刑/生命犯 問題
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◆ 土浦9人殺傷事件判決文要旨 金川真大被告「完全勝利といったところ・・・」 2009-12-19 | 死刑/重刑/生命犯 問題
金川被告、控訴取り下げへ…土浦連続殺傷
茨城県土浦市内で昨年3月に9人が殺傷された事件で殺人罪などに問われ、水戸地裁で18日、死刑判決を受けた無職金川真大(かながわまさひろ)被告(26)(土浦市中村東)は同日午後、水戸拘置支所で本紙の接見取材に応じ、近く控訴を取り下げる意向を改めて語った。
弁護人は、判決後に即日控訴している。
金川被告は笑みを浮かべ、「完全勝利といったところでしょうか。(死刑願望が)変わることはない」と話した。判決は、金川被告を「浅はかな信念に強く執着」と指弾したが、「常識に縛られている側からみてそう見えても仕方ない」と述べ、「後は(死刑)執行までの時間をいかに短くするか。(国が執行に)動かなければ、裁判に訴える」とした。
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土浦8人殺傷事件 判決文要旨(産経ニュース2009.12.18)
【主文】被告人を死刑に処する。
【第1の犯行に至るまでの経緯】
金川被告は公立の小、中学校を卒業後、私立高校に進学したが、高校時代に友人に対し「死にたい」「生きていてもしようがない」などともらすなど、人生に生き甲斐を感じないので自殺したいとの思いを強く抱くようになった。高校は卒業したものの、進学も就職もせず、自宅に引きこもりテレビゲームにふける生活を送るようになった。
人から称賛される仕事をしたいと考えたが、自分にそのような能力がないことは自覚していた。テレビゲームの主人公が才能にあふれていることにあこがれてファンタジーの世界に魅力を感じたが、実際の自分には才能がないと感じており、実際にはファンタジーの世界が存在しないことも十分理解していた。
金川被告は平成20年1月ごろ、つまらない毎日と決別するために具体的に自殺を考えたが、痛い思いをするだけで確実に死ぬことができるかどうか分からないなどとして自殺をあきらめた。それほど苦しまずに確実に死ぬ手段として死刑になろうと考え、そのためにできるだけ多くの人を殺害することにした。
金川被告は20年1月上旬ごろから、約2カ月かけて犯罪計画を練った。態度が気に入らなかった同居の妹、自分が通っていた小、中学校や高校の生徒と教師、ネットオークションでトラブルとなった相手を殺害対象として想定し、これらの者を殺害した後は、資金がある限り各地を転々として、行く先々で人を殺すというものであった。
この計画に沿って、凶器とする文化包丁、サバイバルナイフを購入して、その切れ味を確かめたり、逃走や潜伏生活のために変装用のスーツなどを買いそろえたりし、逃走や潜伏の資金として預金残高のほぼ全額である40万円を引き出して、犯行の準備を整え、同年3月18日に犯行を決行することにした。
ところが、金川被告が同日の朝起床すると、同居の妹はすでに外出していたので、犯行の結構を1日延期したが、翌19日の朝も妹はすでに外出していた。そこで、凶器の包丁や変装用具を入れたリュックサックを背負い、サバイバルナイフも持って母校の小学校に向かった。しかし、小学校に着いてみると、その日は終業式で校門付近には数人の大人がいたことから、小学校で犯行に及ぶとすぐに捕まってしまうと考え、学校での殺害計画を変更することにした。
金川被告は、せっかく計画を実行し始めたので何とかしてその日のうちに人を殺したい、もともと殺す相手は誰でも良かったのだから簡単に捕まらないように気をつけながらとりあえず人を殺そうなどと考え、民家を訪れて自転車がパンクしたから空気入れを貸してほしいなどと言って民家を訪ねたが、留守だったためその近所の三浦芳一さん方のインターホンを押した。
応対した三浦さんに対し、「自転車のタイヤがパンクした。空気入れがあったら貸してくれませんか」とうそをついて空気入れを借り、自転車に空気を入れるふりをして返したが、同人がこれを物置に戻すために金川被告に背を向けたところ、第1の犯行に及んだ。
【第2の犯行に至るまでの経緯】
金川被告は第1の犯行後、三浦さん方前の路上に自転車を残したまま逃走したが、着衣に返り血が付いたことに気づき、自宅に戻って着替えをした。そして、電車で秋葉原に向かい、理髪店で丸刈りにして髪形を変え、電気店のトイレでスーツに着替えた後、ホテルに偽名で宿泊した。
同月21日までホテルに連泊し、ゲームをするなどして過ごしたが、同日夕方になると次の犯行を考え始め、土地勘のあるJR常磐線ひたち野うしく駅から荒川沖駅まで歩いて通行人を狙って殺害するという計画を立てた。そして同月22日、実際にひたち野うしく駅から荒川沖駅まで歩いたが、殺害できそうな通行人がいなかったため、計画を断念した。
金川被告は、また秋葉原に戻って別のホテルに宿泊したが、申し込みの際、うっかり本名を書き始めてしまった。すでに指名手配されていたことから、通報されて逮捕されてしまうと1人しか殺していないので、死刑にならないと焦りを募らせた。そして、荒川沖駅であれば乗降客が多いので、一度に多数の人を殺害できると考えて、両手に文化包丁とサバイバルナイフを持ち、駅の通路を走りながら通行人の首を次々と刺し、近くの玩具店でさらに客らを殺害する計画を立てた。
同月23日午前9時40分ごろ、サバイバルナイフと文化包丁を隠し持ってホテルを出て、電車に乗って荒川沖駅に向かった。そして、荒川沖駅に到着すると改札口を出て、自由通路の西側階段付近で、人目につかないように滑り止めのゴム手袋を両手にはめ、右手にサバイバルナイフ、左手に文化包丁を持ち、自由通路などを走りながら次々と通行人を襲い、第2の犯行に及んだ。
【量刑の理由】
本件はわが国の犯罪史上でもまれな凶悪重大事案である。被害者らは、第1の犯行においては、自転車のタイヤがパンクしたといって訪ねてきた金川被告を応対しただけであるし、第2の犯行においては、たまたまJR荒川沖駅付近の通路にいたにすぎない。日常生活を送っている中で、突如としてその生命を奪われ、あるいは生命を奪われる危険にさらされたのである。まことに理不尽であり、社会に大きな衝撃を与えたのは当然である。このような無差別連続殺人は、殺人事件の中でも最も重く処罰されるべき1類型といわなければならない。
金川被告は、本件各犯行の約2カ月前から無差別に大勢の人を殺すことを計画し、凶器を購入するなどして準備している。本件各犯行は計画的なものである。
第1事件で殺害された三浦芳一さんは、退職後、平穏な生活を送っており、その優しい人柄は被告人に空気入れを貸そうとしたことにも表れている。その優しさを踏みにじられ、必死に助けを求めながら絶命したのであって、その際の恐怖、苦痛はいかばかりであったかと察せられる。
第2事件で殺害された山上高広さんは、仕事に打ち込んで充実した毎日を送っていた。そのまじめな仕事ぶりは高く評価されており、多くの友人に慕われる性格であった。それにもかかわらず、27歳の若さで突然その生命・生来を奪われた無念さは計り知れない。
遺族がそろって被告人の極刑を望むなど、その処罰感情が峻烈を極めているのは当然である。
第2事件で負傷した被害者らは、いずれも頸部という体の枢要部を狙われ、深い傷を負ったのであって、その肉体的苦痛や、突然襲われた恐怖感には大きなものがある。被害者らが被告人の厳重処罰を求めているのは当然である。自らの死刑願望を達成するため他人の生命を奪うというその発想は身勝手極まりないものである。
金川被告の刑事責任は誠に重大であって、罪刑の均衡、同種事犯の抑止の観点からすると、死刑の選択はやむを得ないものといわざるを得ない。金川被告の生育歴、家庭環境および本件犯行に至るまでの経緯をみても、同情に値するようなものは見いだせない。
本件各犯行は、単純に死刑になりたいがために行ったものであって、その点に大きな特殊性がある。そして、遺族感情、被害者感情は非常に厳しいものの、金川被告の希望どおりの判決となることに複雑な心情もあるようである。しかしながら、死刑になるために他人の生命を奪うという動機は身勝手極まりなく、強い非難に値するのである。本件の動機は刑を加重する要因であって、刑を軽減する事情となりうるものではない。
弁護人は、金川被告は若年で犯罪歴もなく、犯罪傾向・反社会的傾向は顕著ではない上、死刑願望の背後にある思想は根深いものではなく、死刑願望が消滅する可能性があるなどと主張している。しかし、被害者に対する謝罪の言葉はないばかりか、拘留中に問題行動を起こしたり、法廷で机を倒して制裁裁判を受けたりするなど、反省の態度は全くない。父親が本を差し入れているが、そもそも文字面しか読めない金川被告に、読書により内省を促しても効果はないように感じられる。
金川被告の父親が一部の被害者に対して総額1千万円を支払っていること、金川被告に犯罪歴がないことなどの事情もあるが、いずれも死刑を回避すべき事情となるものではない。刑事責任は誠に重大であり、死刑を回避すべき事情も見いだせないのであるから、罪刑の均衡、同種事犯の抑止の観点から死刑を選択することはやむを得ないものといわなければならない。
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◆ 土浦8人殺傷事件 被告人質問1 (第3回公判)
◆ 土浦8人殺傷事件 被告人質問2 (第3回公判)
◆ 土浦8人殺傷事件 被告人質問3 (第3回公判)
◆ 土浦8人殺傷事件公判 金川被告の父親に対する証人尋問 1
◆ 土浦8人殺傷事件公判 金川被告の父親に対する証人尋問 2
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◆ 秋葉原殺傷事件 地裁 判決文要旨/ 土浦8人殺傷事件(金川真大死刑囚) / 安田好弘著『死刑弁護人』 2011-03-25 | 秋葉原無差別殺傷事件
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◆ 谷垣法相の命令により 死刑執行 小林薫(奈良女児誘拐殺害)・金川真大(荒川沖駅)・加納恵喜の3死刑囚 2013-02-21 | 死刑/重刑/生命犯 問題
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