ロシアがウクライナでの戦局打開のため核兵器や生物・化学兵器といった大量破壊兵器を使用するのではないか 2022.04.13

2022-04-13 | 国際

大量破壊兵器 ロシアは一線越えるな
 中日新聞 社説 2022年4月13日 Wed.

 ロシアがウクライナでの戦局打開のため核兵器や生物・化学兵器といった大量破壊兵器を使用するのではないか、という懸念が深まっている。強行すれば人類を危機にさらしかねないことをプーチン大統領はわきまえるべきだ。
 第三者による確認はされていないが、ウクライナ南東部の要衝マリウポリ=写真、AP=を死守する準軍事組織「アゾフ大隊」は、ロシア軍が化学兵器を使ったと主張している。
 ロシアは批准した化学兵器禁止条約に基づき、二〇一七年にプーチン氏が国内に残っていた化学兵器の廃棄完了を宣言した。
 ところが、翌一八年に英国で起きた元ロシア情報部員暗殺未遂事件と、二〇年のロシア反体制派指導者ナバリヌイ氏の毒殺未遂事件ではともに神経剤「ノビチョク」が使われた。欧米は両事件ともロシア当局が関与したと断定した。
 ノビチョクは化学兵器禁止条約で使用や生産、保有が禁じられている。ロシアは全廃宣言の裏で条約をこっそり破っていた。
 一方、ロシアは一九九三年の軍事ドクトリンで、核兵器の使用は限定的であっても「破局的結果をもたらす」と否定していた。
 ところが九〇年代後半になると、小型核の限定使用によって敵の軍事行動を思いとどまらせ、紛争が激化するのを緩和する「デスカレーション」という発想が軍部に生まれた。コソボ紛争で北大西洋条約機構(NATO)の圧倒的な通常戦力を見せつけられたのがきっかけだった。
 この考え方が危険なのは言うまでもない。九三年の軍事ドクトリンが指摘するように、全面的な核戦争に発展する危険性はぬぐいきれない。
 ロシアが大量破壊兵器を使用すれば欧米も報復措置を取る構えだ。NATOのストルテンベルグ事務総長は「今回の紛争の性格を完全に変える」と軍事介入もにおわせてロシアに警告している。
 無差別攻撃に加えて民間人の拷問、虐殺と、ロシアの残虐ぶりは極まりない。これ以上ロシアが一線を越えないよう、国際社会は断固たる姿勢を示す必要がある。

 ◎上記事は[中日新聞]からの転載・引用です
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* ロシアのプーチン大統領が「ジェノサイド(大量虐殺)」バイデン氏、初めて明言


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