「朝鮮戦争終結も協議した」 トランプ氏の発言全文 米朝首脳会談に関し 2018/6/2

2018-06-02 | 国際

「朝鮮戦争終結も協議した」 トランプ氏の発言全文  米朝首脳会談に関し
2018/6/2 13:08
 トランプ米大統領の米朝首脳会談に関する発言の全文は次の通り。
 「会談はとてもうまくいった。(金正恩委員長と)6月12日にシンガポールで会う。今はお互いのことをよく知ろうとしている段階だ。マイク(・ポンペオ米国務長官)が2日間取り組んできた。我々は相手のことをよく知ることができた。あなたたちも出張することになる。6月12日にシンガポールにいなければいけないからだ」
 「これはプロセスだ。1回の会合で済むとは決していわない。だが関係はできつつある。重要な進歩だ」
――北朝鮮は一気に非核化を進めようとしているのか。
 「私は北朝鮮が非核化を望んでいると思う。その過程では他のことも実現したいと思っている。国として発展したいと思っている。これは実現できると思う。疑いはない。日本も関与し、韓国も深く関係している。米国はすべてを実現するために関わっている。みんなが米国に関わることを希望している。だから(北朝鮮との交渉を)手伝っているのだ。米国なしでは実現はなかった」
 「たくさんの成果があったと思う。中国もそうだ。中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席はこの件に関していろいろと助けてくれて多くの成果があったと思う。今後の進展に期待しよう」
 「我々は6月12日にシンガポールに行く。それは始まりにすぎない。1回の会合で成果があるとは決して言っていない」
 「多くの国の間に長年にわたる敵対心や問題、嫌悪感がある。だが最終的にはとても良い結果をもたらすと思う。1回の会談からではなく(複数回の会談を通じて)多くの良いことがある」
――先週、金委員長への手紙で彼の誠実さに疑問を持っていた。疑問はなくなったのか。
 「私の手紙は北朝鮮からの手紙に答えたものだ。メディアはそのことを忘れていた。メディアは『会談の計画があった。私はそれをキャンセルした』という。私は会談をキャンセルしていない。北朝鮮側の厳しい声明に反応して会談を取りやめたのだ。私はもう機会は完全に失われたと思っていた。だが今からディールを始める」
 「12日に金委員長に会う。とてもうまくいくと思う。最終的には取り組み全体もうまくいくと思う。今後に期待しよう」
 「私の言ったことを覚えておいてほしい。今後の成り行きを注視するが首脳会談は開くのに値する過程になるだろう。それは重要なことだ。もし会談がなければそれは大きな間違えだ。関係を築けると思う。6月12日から始めよう」
――12日の会談で何を達成できるのか。なぜ北朝鮮が非核化に前向きだと考えるのか。
 「(金英哲・党副委員長との)会談は良かった。この会談で金委員長からの書簡を受け取ったことを思い出してほしい。しかも良い書簡だった。何が書いてあったか見てみたいと思うか」
――教えてほしい。
 「(私が教えるのに)いくら払うのか。いくら払うのか。いくら払うのか」
――部分的にでも教えてほしい。
 「とても興味深い書簡だった。いつか、たぶん、適切なときに渡せるだろう。おそらく公開できるだろう。近い時期かもしれない。書簡を渡すだけのはずの面会が結果的には2時間の会談に発展した」
――なぜそんなに会合が延びたのか。
 「話題が興味深いと感じたからだ。彼らが本気で前進したいと思っていると感じたからでもある。可能であれば我々もそうしたいと思っている」
――北朝鮮側は何を要望したのか。
 「我々がやることの全容は6月12日に分かる。何が起きるか見てみよう。彼らはマイクはとてもうまくやった。これはとても興味深いことだ。会談は単なる書簡の受け取りだったが最終的に北朝鮮で2番目の権力者と2時間の会談になった」
――在韓米軍の規模に関して議論したのか。
 「我々はほぼ全てのことについて話した。たくさん話した。経済制裁についても触れた」
――金委員長とは直接話していないのか。
 「それに関しては言及を控える」
――北朝鮮は完全で検証可能かつ不可逆的な非核化に合意したのか。
「多くのことに関して話し合った。その中で最も大切なことは6月12日に会談するということだ。だがこれは過程だ。6月12日に過去にない署名をするようなことはない。取り組みを始めるだけだ。私は金英哲氏らに(非核化は)ゆっくりやっても良いと伝えた。早くもできるしゆっくりもできる。ただ北朝鮮はなにかが動きだしたことを感じたいと思っていると思う。それがうまくいけば良い。その取り組みは6月12日にシンガポールで始まる」
――金委員長は非核化に本気だと考えているのか。
 「そう思う。金委員長もそうなった場合に何が起きるのかみてみたいと思っている。彼は注意深い。彼がそそくさとかけだして対応することはない。だが、私は金英哲氏に『正直に言おう。我々は経済制裁を科している。とても強い制裁だ。君たちが行動するまで経済制裁を解除することはない。経済制裁がどのぐらい強力なのかはあなた方が知っているはずだ』と伝えた。ある時点で経済制裁を解除できる日を楽しみにしている」
――(拉致問題などを含めた)人権問題に関して議論したのか。
 「話していない」
――首脳会談では協議するのか。
 「ありうる。おそらく取り上げて詳細について話すだろう。きょうは人権問題に関して議論しなかった」
――北朝鮮は制裁緩和を求めたのか。
 「議論した。彼らは制裁に関して要望をしてきた」
――最大の圧力を加える制裁は終わったのか。
 「いまのまま続く。ただ『最大の圧力』という言葉はもう使いたくない。我々はうまくやっているからだ。良好な関係が視野に入ってきた」
 「最大の圧力(の実行)に変更はない。現状のままだ。どこかの時点でディールをしたいと思う」
――今日の会談を踏まえて現在の米朝関係をどうとらえているのか。
 「良いと思う。たしかに米国と他国の関係のようにはいかない。ただ米朝関係がこんなに良好だったことは長年なかった。オバマ前政権では全く関係がなかった、なにもなかった。なにもなし遂げなかった」
 「この問題は私が取り組むべきではなかった。もっと早く解決すべきだった。(北朝鮮の核問題は)重大な局面まできてしまった。オバマ前大統領だけではなく、その前の大統領たちもこの問題を解決すべきだった。いまでなくもっと前に解決すべきだった」
――12日の首脳会談で北朝鮮に経済支援を約束するのか。

  
   金英哲・党副委員長との会談後、報道陣の取材に応じるトランプ大統領(右)。左はポンペオ国務長官=AP
 「米国が資金提供することはないと思う。韓国がすると思う。正直にいうと中国も支援すると思う。日本もすると思う。米国が多額の資金支援をすることはないと思う。北朝鮮は3人の米国人の人質を抱えていた。私が人質1人あたりにいくら使ったと思うのか」
 「米国は(北朝鮮から)とても遠い。日中韓は近い。隣国だ。我々は6000マイルも離れている。日韓には(支援を)準備するように伝えた」
 「日中韓は何かいいことが起きるのを楽しみにしている。日本はそうだ。韓国もそうだ。中国も同様だと思う。彼らは隣国だ。米国はそうではない」
――ロシアのラブロフ外相と金委員長の会談に懸念を昨日は示していた。
 「そうだ。好ましくない」。
――その考えはきょうも変わらないのか。
 「好ましくない。ただこれはポジティブとも言える。ロシアが昨日、会談したことは良いと言えない。『目的は何なのか』と思った。しかし肯定的な会談だったかもしれない。もし肯定的な会談なら良いことだ。そうでなければとても満足できない」
――12日の首脳会談で朝鮮戦争を終結する考えはあるのか。
 「可能かもしれない。それについて(金英哲氏と)話し合った」
――詳細を教えてほしい。
 「我々は戦争を終結することについて話し合った。この戦争はずっと続いている。70年間も続いている。文書に署名するような大事なものだ。歴史的に非常に重要なことだがどうなるだろうか。朝鮮戦争の終結について協議した。朝鮮戦争の終結を議論するなんて信じられないだろう。70年間も続いたのだから」
――朝鮮戦争の終結に関する文書は準備済みなのか。
 「首脳会談前に議論する。会談の結果、そうしたものが出てくるかもしれない」
――朝鮮戦争の終結に関して中国の位置づけをどう考えているのか。
 「中国は前向きな結果を望んでいるはずだ。私は習主席と良い関係にある。良い人だ。中国を愛している。ただ彼は中国にとって最善のことをする。中国と習主席は米朝会談で何か起こることを望んでいると思う」
――金委員長の体制保証をどう実現するのか。
 「保証できるようにしっかりと確認する。戦争が終結したらそれは完全な終わりだ。二度と始まらない」
 「北朝鮮は立派な国になる可能性がある。韓国もそれを援助するだろうし、日本も大いに援助するだろう。中国も大いに手助けするだろう」
――昨年11月のソウルでの講演で北朝鮮が望むなら近代国家に加われるという非常に明るい約束をしていた。
 「そうだ。それはうまくいくだろう。どうなるか見てみよう」
――2回目や3回目の首脳会談の日程についても議論したのか。
 「12日以外にも首脳会談はあるだろうと伝えた。でも数時間の会談で突然すべてが決まるというのはすばらしいとは言えないだろう。そうなるとは思わない。時間をかけてどうなるか見てみよう」
 「私は『(非核化は)ゆっくりで良い』と伝えた。『制裁は続くがゆっくりで良い』と伝えた」
 「多くの追加制裁のメニューがある。ただ金英哲氏は尋ねなかったが私は対話が決裂するまでは発動しないと伝えた。良い対話をしているのに発動するのはおかしい」
――12日はお互いを知り合うだけの会談になるのか。
 「お互いを知り合うというだけでなく、追加できるものもあるだろう。それはとてもポジティブなものだ」
――金委員長の書簡に対して返信したのか。
 「していない。まだ書簡を見ていない。意図的に書簡を開けなかった。金英哲氏の前では開けなかった。『いま開けてほしいか』と聞いたら『後でどうぞ』と言われた。大きなサプライズがあるかもしれないな」
2018/6/2 21:00 更新

 ◎上記事は[日本経済新聞]からの転載・引用です
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〈来栖の独白 2018.6.2 Sat 〉
>「私は『(非核化は)ゆっくりで良い』と伝えた。『制裁は続くがゆっくりで良い』と伝えた」
 トランプ氏をして、ここまで下手に出させている。
 アジアの貧しい小国が、何故これほどアメリカを翻弄できるのか。トランプの意気を高揚させ、消沈させ、再び高揚させるのか。
 それは、「核を保有している」からだ。核とは、それほどの意味を持つ。日本はその現実を知らねばならない。悲しいかな、米朝会談と騒がれる今、日本は蚊帳の外だ。隣国なのに。
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[原発保有国の語られざる本音/多くの国は本音の部分では核兵器を持ちたいと思っているようであり]川島博之 2011.5.10
◇  広島原爆ドーム「核保有国でないから、こんな悲惨な被害を受ける」を心に刻むインド国防相 WiLL2013/5月号


『ユダヤとアメリカ 揺れ動くイスラエル・ロビー』立山良司著 中公新書

  

(抜粋)
p62~
 核兵器に「見て見ぬふり」
 オバマは「核なき世界」を政策目標に掲げ2009年のノーベル平和賞を受賞した。その平和賞授与が発表されるわずか1週間前に、米紙『ワシントン・タイムズ』はイスラエルの核問題に関係して意味深長な記事を掲載している。オバマとネタニヤフはこの年の5月に、就任後としては初の首脳会談を持った。その際、イスラエルの核兵器に関する1969年以来の両国間の秘密了解事項をオバマがネタニヤフに再確認したというのだ。
 この秘密了解事項とはイスラエルの核兵器保有問題に関し、米国は情報開示を求めることも核拡散防止条約(NPT)への加盟を求めることもしないという内容で、1969年9月に当時のリチャード・ニクソン大統領とゴルダ・メイア首相との間で交わされたとされている。両国政府とも了解の存在を認めておらず、了解内容を示す文書も公開されていない。
 ただニクソン大統領記念図書館は2007年に、当時の国家安全保障担当大統領補佐官ヘンリー・キッシンジャーがニクソンに宛てた1969年7月19日付けのトップ・シークレットのメモを秘密解除している。メモの結論部分には「イスラエルの核兵器保有を阻止することが、我々(米国)の利益である。しかし、我々はイスラエルの核開発プログラムを(p63~)コントロールできないし、イスラエルは核兵器をすでに保有しているかもしれない。よって我々が達成すべき目標は、保有を秘匿するよう彼ら(イスラエル側)を説得することである」という一節がある。(略)
 イスラエル南部は砂漠地帯だ。その北端、砂漠地帯が始まる付近にディモナという町がある。町の郊外にはフェンスで囲まれた広大な軍事施設がある。(略)イスラエルはフランスの協力を得て1950年代から、このディモナの施設で原子炉と再処理施設の建設を始めた。当初は秘密裏に行っていたが、次第に隠しきれなくなり、1960年末には「平和利用」の目的で原子炉を建設していることを認めた。
 1961年に大統領に就任したケネディは核拡散防止を重要政策に掲げ、イスラエルに対しても国際原子力機関(IAEA)の査察を受けるよう、強く迫った。イスラエルはこれに激しく抵抗し、結局、妥協の産物としてIAEAではなく米国チームが何回か査察を行った。いわば「お茶を濁した」格好だ。両国関係を「特別な関係」と表現したケネディらしい着地(p64~)点だったのかもしれない。だが米国による査察も1969年以降はまったくおこなわれなくなった。ニクソン・メイア秘密合意の成立以降、米国の歴代政権はイスラエルの核開発にずっと「見て見ぬふり」を続けてきたからである。
 その間、イスラエルはNPTに加盟せず、IAEAの査察を受けることもなく核兵器開発・製造を進めたといわれている。(略)
 当のイスラエルは核兵器の保有に関し、「中東に核兵器を持ち込む最初の国にはならないが、2番目に甘んじることもない」と明らかに矛盾する立場をとってきた。背景にあるのは、核兵器の保有を否定も肯定もしない「不透明政策」「曖昧政策」である。(略)
p65~
 にもかかわらずイスラエルは不透明政策をとり続けている。その理由は、核保有を公然化すると①米国政府としては制裁措置など何らかの対応策を迫られ、両国関係を大きく損なう、②アラブ諸国を刺激し中東に「核のドミノ」が起きる、という2つの危険を回避するためと考えられている。この2つの危険は米国もまた直面したくないものだ。キッシンジャーがニクソンに提言した「秘匿」保持の利点はまさにこの点にある。その意味で、米国の「見て見ぬふり」とイスラエルの不透明政策は表裏一体といえる。
 「核廃絶」を掲げたオバマ政権の登場で、イスラエルの核問題に関し両国関係に一時、緊張が走った。オバマ政権発足直後の2009年5月初めに開催されたNPT再検討会議準備会合で、担当の米国務次官補が「インド、イスラエル、パキスタン、北朝鮮を含むNPTへの普遍的な支持達成が米国の基本的な政策目標である」と発言したからである。この発言でイスラエルは、オバマの核問題への対応に強い懸念を抱いたといわれる。
 それだけに『ワシントン・タイムズ』の報道が正しいとすれば、ネタニヤフは最初の首脳会談でオバマから、核兵器問題で「圧力をかけない」という確約をとることに成功したことになる。おそらく米国の歴代大統領はオバマと同様、1969年の秘密了解事項を繰り返し保証してきたのだろう。まさにイスラエルの核兵器の開発・保有問題でも「特別な関係」が維持されてきたことになる。首脳会談以降、オバマ政権はイスラエルの核問題についてまったく発言していない。
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