「元夫にそっくり」「もう面倒見ていられない」青葉真司被告と母親、ギクシャク関係の果てに
【京都アニメーション放火殺人事件・公判速報】
2023年9月6日 16:44
36人が死亡、32人が重軽傷を負った京都アニメーション第1スタジオ(京都市伏見区)の放火殺人事件で、殺人などの罪に問われた青葉真司被告(45)の裁判員裁判の第2回公判が6日、京都地裁(増田啓祐裁判長)で行われた。検察側は、青葉被告の母親の供述調書を読み上げた。夫との離婚が原因で青葉被告と離ればなれとなり、被告が成人してからも関係をうまく築けなかった母親の葛藤が浮かび上がった。
■両親、兄、妹と5人暮らし
青葉被告は埼玉県内で生まれ、両親、兄、妹と5人で暮らしていた。
母親は「子供の頃は可愛らしい元気で活発な子で、コミュニケーションを取って友達を作ることもできた。手がかかる子ではなかった」。学校の成績は普通で、面倒くさがりな一面もあったが、「手伝いをすると『お母さんやったよ』と得意げに報告していた」。
青葉被告が小学3年の時、夫と離婚。親権は父親が持ち、母親は3人の子どもと離ればなれになった。再会したのは元夫が亡くなった1999年。「3人とも家を出て行った私を恨んでいるようで、険しい表情だった」
■面会に行ったが、会ってもらえなかった
次に会ったのは、2006年。青葉被告が埼玉県内で下着泥棒をして、逮捕されたと聞いた。面会に行ったが、会ってもらえなかった。妹となら会うのではないかと思って一緒に連れて行ったが、青葉被告は自分を見るなり「何しにきた。それはないだろ」と怒って退室したという。
この事件後、母親は再婚相手の夫と住む茨城県内の家に青葉被告を引き取り、一緒に住むようになった。
ところが青葉被告は夫に「夢はないのか」と問われ、口論に。その時、青葉被告は「犯罪を犯したからやりたいことをやる立場にはない」と早口でまくし立てた。「気に食わないことがあるとまくし立てるところは、元夫とそっくりだと思った」
■自室に引きこもるようになり
青葉被告は自室に引きこもるようになり、母親は部屋の前に食事を置くなどしていた。青葉被告は半年後「仕事を見つけたい」と言って家を出た。
青葉被告は茨城県や栃木県内で職に就いたが、いずれも長続きしなかった。
■「小説を書いている。女子高生がキャピキャピするもの」
母親は、雇用促進住宅に住む青葉被告に週1回、2~3千円や1週間分の食料をもっていくようになった。「低カロリーの納豆は体に良い」と言っていた息子は「小説を書いている。女子高生がキャピキャピするもので、会社とやりとりしている」と明かしていた。
その後も金銭や食料の援助を続けていたが、青葉被告は2012年にコンビニ強盗事件を起こした。
奪った金額は2万1千円。一部は母親がコンビニに弁償した。
「もう面倒は見ていられない」
以来、母親は被告と会うことも、連絡を取ることもやめたという。
◎上記事は[京都新聞]からの転載・引用です