三菱自動車、炊飯器や電子レンジに給電可能なEV披露
WSJ 2011/7/8 18:11
茶わん一杯のあたたかいご飯が自動車で炊けるとしたらどうだろう。
電力の供給不足で国民が汗だくの毎日を送るなか、三菱自動車は世界初の量産電気自動車(EV)「アイ・ミーブ」の新たな活用方法の開発を進めている。
完成間近の新技術の1つが、高容量の車載バッテリーを家電製品の電源に使用できるようにする「ACパワーサプライEZ」だ。このアダプターを介してバッテリーに接続することで、炊飯器と電子レンジであればを最長1日半稼働できるという。三菱自動車は6日、この新技術は現在試験段階にあり、今年後半に発表できる見通しだとした。
そうなればタイミング的には絶好かもしれない。現在恐れているとおり、政治的反対や菅直人首相が急きょ要求している「ストレステスト(安全検査)」によって、多数の原発が再稼働できなくなった場合、冬に再び電力不足に直面する可能性があるためだ。
三菱自動車が思い描いているのは、自然災害やその他緊急時に代替エネルギー源として利用可能な先進のバッテリーだ。
同社は6日に発表されたリリースで、EVに対しては「従来の“環境問題への対応”に加えて“エネルギー需給ひっ迫への対応”という観点からの期待が高まっている」と述べた。
企業では工場の稼働時間をずらし、家庭ではエアコンを切るなどして国を挙げて節電に励んでいるときに、貴重な電力を自動車の運転に使用するのは、あまり賢明なことには思えないかもしれない。
だが6日に行われた新技術発表会で、三菱自動車の益子修社長は、EVは将来的に風力や太陽光をはじめとする再生可能エネルギーから生成した電力を蓄えるための、重要なツールになる可能性があると主張した。また、節電ムードによって、どこでも利用可能な電源としてのEVのメリットへの認知が高まったと強調した。自動車は電力が必要な場所があればどこにでも行ける。ただし、お米をお忘れなく。
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自動車メーカーの2人のオサム社長
2011/7/11 20:53 WSJ
7月5-11日の1週間に日本の中堅自動車メーカーを率いる2人のオサム氏がメディアを賑わせた。
スズキの鈴木修会長兼社長は、ウォール・ストリート・ジャーナル日本版の世界が注目する日本の経営者ランキング「Power List」(*)で2位にランクインした。津波被害の軽減を目的に、400億円を投じて生産施設を内陸部に移転させる計画が報じられ、先週の6位から浮上した。
国内メディアの報道によると、スズキは二輪車の開発施設を浜松市内に移設する。現在の施設は海岸に近い場所に立地している。さらに、中部電力浜岡原子力発電所に隣接する工場の生産ラインの分散を進める。
三菱自動車の益子修社長は、電気自動車(EV)「アイミーブ」の低価格モデルを今月発売すると発表し、4週間ぶりにPower Listのトップ10に返り咲いた。政府の補助金制度を利用した場合の購入者の実質負担額は188万円で、現在の価格398万円を210万円ほど下回る。しかし、値下げは妥協を伴う。総電力量を抑制したため、走行可能距離は120キロで、現在のモデルより約40キロ短い。
一方、益子社長によると、同社は8月に機能をより充実させたモデルを発売する予定だ。このモデルは走行距離180キロで、価格は現行モデルより約18万円安い。政府の補助金制度を利用した場合は284万円になる。