なぜ菅首相は退陣するのか 倉山満の政局速報 2021/9/4

2021-09-04 | 政治

なぜ菅首相は退陣するのか/倉山満の政局速報
 2021/9/4(土) 8:29配信 週刊SPA!
 (日刊SPA!)

 本日から「倉山満の政局速報」を短期集中連載します。
 いったい、日本で何が起きているのか? 日本の政治は、自分たちの生活に関係がある話ですし、コロナ禍では自分たちの人生に直撃するので、可能な限り分かりやすく、最前線の動きを解説したいと思います。

 第1回は、「なぜ菅首相は退陣するのか」です。

総裁選挙で勝つために必要なこと
 まず政治のルールを確認しましょう。日本の最高権力者は総理大臣。衆議院の多数に選ばれた人がなります。だから、衆議院議員選挙で勝った政党の党首が総理大臣です。1955年以降、ほとんどは自民党総裁が総理大臣です。
 では、自民党総裁はどのようにして選ばれるのか。総裁選挙で勝った人が、総裁です。その総裁選挙に勝つには、派閥の連合が必要です。
 以下、自民党の派閥と人数です。

細田派97人(実態は安倍晋三前首相が領袖)
麻生派54人
竹下派52人
二階派47人
岸田派46人
石破派16人
石原派10人(実態は森山裕国対委員長が領袖)
 菅首相も無派閥と言われていますが、30人くらいはいます。

選挙に勝てない総理のもとでは戦えない
 昨年の総裁選挙で、安倍・麻生・竹下・二階・森山の5人が菅支持。圧勝しました。今年の総裁選挙でも5人は支持の構えでした。領袖(親分のこと)が子分に「菅を支持しろ!」と言えば従うのが派閥。
 しかし、今回はそうはならなかった。なぜなら、衆議院選挙が近いからです。いくら親分に命令されても、選挙で受からなければ、その子分でいられない。だから「菅総理の下では戦えない!」の大合唱。最も結束が固いと言われた二階派でも、まとまりはない。
 菅首相はなぜ人気が無いのか? 色々と理由は挙げられても、結局はコロナです。

「尾身先生」切りに失敗した菅首相
 前安倍内閣の時から、「なんちゃってゼロコロナ」を続けてきました。本気で「ゼロコロナ」をやる気が無いので「なんちゃって」。
 野党やマスコミの批判なんてワンパターンで、前半は「感染が拡大しているぞ!」後半は「経済対策をしっかりしろ!」って、そんなの誰がやっても上手くいくはずがない。菅内閣の支持率が下がるのは理の当然。
 菅さん本人も「なんちゃって~」をやめたがっていた。しかし、世論は「尾身先生」支持。単なる医者で政府のアドバイザーにすぎない人間が総理大臣や政府に指図、国民を支配している。そして、その国民の大半が「尾身先生」を支持。
 最近は「尾身茂インスタグラム」まではじめた。なんじゃ、そりゃ?
 仮に「尾身先生」を切って「なんちゃってゼロコロナ」をやめようとしたら、その瞬間、世論がさらに敵に回ります。きたるべき総選挙で、自民党の大敗は間違いなし。
 菅首相、なんとか転換しようとしていましたが、尾身切りに失敗した訳です。

次期自民党総裁は4人に絞られる
 ここまで考えると、次期自民党総裁は絞られてきます。派閥の談合で決める可能性もゼロではないですが、基本的には「選挙に勝てる総理総裁」です。

岸田文雄=派閥の数はそこそこ。支持率が上がれば別だけど……。
高市早苗=「日本初の女性総理」の看板になる。
石破 茂=それなりの知名度と人気。
河野太郎=人望ゼロだけど、知名度は抜群。

 野党、特に立憲民主党方面が恐れているのは河野太郎さん。ただし、どんななり方で総理総裁になり、どんな政策を打ち出すかにもよるけど、野党は警戒している。

頓珍漢なニュースに騙されないために
 衆議院選挙は、1つの選挙区で1人しか当選できない。だから、国民世論の風で大きく動きます。
 こういったことを知ってニュースを見ると世の中のことが見えてきます。マスコミや評論家、けっこう頓珍漢なことを言っていますので、自分で賢くなって騙されないようにしてください。

 ―[倉山満の政局速報]― 
【倉山 満】
’73年、香川県生まれ。中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程修了。在学中より国士舘大学日本政教研究所非常勤職員を務め、’15年まで日本国憲法を教える。著書にベストセラーになった『嘘だらけシリーズ』のほか、9月下旬には『嘘だらけの池田勇人』を発売予定。ネット放送局「チャンネルくらら」などを主宰し、「倉山塾」では塾長として、大日本帝国憲法や日本近現代史、政治外交についてなど幅広く学びの場を提供している
日刊SPA!

 ◎上記事は[Yahoo!JAPAN ニュース]からの転載・引用です
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